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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(44)

「むー?」 「だ、大丈夫だよ。里香さんのお母さんとも一緒に帰るんだし、そもそも俺にそんな気は無いから」 「……ならいいけど」  ふぅ、何とか疑いは晴れたようだ。  このように、ミオは同い年である里香さんとの浮気疑惑には敏感だが、彼女のお母さんである、これまた美人の怜香さんと談笑していた事は、何ら気にならないらしい。  ショタっ娘の如月兄弟とリゾートホテルで出会った時も、ミオにはどっちが好きなのか問い詰められたし、最近の俺は年下専門だと思われているのだろうか。 「どうしたんですか? ミオちゃんとお兄さん」  俺とミオが小声でやり取りしているのを見た里香さんは、不思議そうに問いかけてくる。 「え! いや、別に大した話ではないんだ。それじゃあ帰ろうか」 「そだね。帰ろ、里香ちゃん」 「はーい! じゃあママ呼んでくるね」  里香さんは、お面屋のおばさんと世間話をしていた怜香さんのもとへ駆け寄っていくと、袖を引っ張って、こちらへと連れてきた。 「柚月さん、申し訳ございません。里香が無理を言ってしまったみたいで」 「あ、いえいえ。夜道は何かと危険ですから、ボディーガード代わりにでも使ってやってください」 「ありがとうございます。女二人で帰るのは心細かったので、そう言っていただけて頼もしいですわ。……ほら、里香。ちゃんと柚月さんたちにお礼を言いなさい」 「はぁい。義弘お兄さん、ミオちゃん、ありがとうございまーす」  里香さんはそう言いながら、隣の怜香さんに倣い、姿勢を正して深々とお辞儀をする。  しゃべり方は現代っ子そのものではあるが、おしとやかさは母親譲りで、実に慎ましやかだ。きっと、日々の躾が行き届いているんだろうなぁ。 「さ、まだ人の多いうちに帰りましょう。ミオ、忘れ物は無いかい?」 「うん。綿飴はここにあるし、ボヨンボヨンもちゃんと持ってるよー」  ちなみにミオが言うボヨンボヨンとは、さっきまで里香さんとシェアして遊んでいた、水ヨーヨーの事である。  俺が執念の射的で獲得した、ミオに着けてもらう猫ちゃん変身セットは、来たるその日まで、俺が厳重に保管しておくつもりだ。  忘れ物が無いのを確認した俺たち四人は、楽しいひと時を提供してくれた神社の鳥居に一礼し、石段を降りていった。

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