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42.田舎に帰ろう!(11)

 しかし、ミオが率先して、そんなかわいい子たちの話題を出すのは不思議だな。一体、どういう風の吹き回しなのだろう。  俺がちょっとでも女性と親しくしていたら、浮気をしているのではないかと思い込んで、厳しく追求してくる性格だというのに。 「で、レニィ君たちがどうかしたの?」 「えっと。ボクたちが帰る時、レニィくんから連絡先を貰ったでしょ? だから、そろそろお手紙を書いてみようかなって思って」 「なるほど、それはいい考えだね。残暑見舞いと、連絡先の交換も兼ねて、ハガキにメッセージを書いて送ってみようか」 「うん。みんな元気にしてるといいねー」  うーむ。やっぱり何か調子が狂うな。  ハガキを送ろうと提案したのはミオだけど、お相手は、自分の恋敵になりかねないショタっ娘なんだぞ。  特に兄の方であるレニィ君は、恋する乙女の瞳で俺を見ていたようなんだが、気づいていないのかな?  もしかすると、ミオの中にある浮気ボーダーラインで、連絡先の交換まではOK、という決まりが存在するのだろうか。  ……って考えるのはさすがに野暮かなぁ。  ミオとしてはただ単純に、あのホテルで仲良くなった友達と交流を深めたいだけなのだろう。その純粋な思いに対して、俺の余計な詮索を挟んでも仕方がない。 「じゃあ明日は、商店街でハガキと花火を買って帰ろう。て事で、五時半くらいには駅前に集合でいいかな?」 「はーい。道を間違えないように頑張るぅー」  ミオはこう言ってはいるが、デパートの案内図を見て、目的地への最短コースを導き出せるほど賢い子だ。  なので、我が家のマンションから駅前へのルートも、完全に頭に叩き込んでいる事だろう。  ちゃんと防犯ブザーも携帯させているし、人通りの多いところを通れば、怪しい奴に声をかけられる危険性もないはずだ。  とにかく明日は定時で帰って、最速でミオと合流し、商店街で花火セットとハガキを買う。  それから、レニィ君たちに宛てたハガキは、実家へ帰る日の朝、最寄りのポストに投函しておこう。  あとは、帰省用として持っていくキャリーバッグに、衣類などを詰めれば準備は万端だ。  天気の心配もいらないし、この分なら、万事うまくいきそうだな。  ――と、楽観視していたのが翌日までの事。  帰省当日は、とある現象によって、大幅な時間のロスを強いられる事になるのであった。

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