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43.ロングドライブの果てに(2)
「ミオ。実はさ、その計画は立ててあるんだよ。もちろん、今すぐにってわけじゃあないんだけどね」
「そうなの?」
「ああ。もう予約も済ませてあるんだ。だから楽しみにしててよ」
「分かったー。ありがとね、お兄ちゃん!」
普段ならば、俺に抱きついて無邪気に甘えてくるシチュエーションなのだが、さすがに運転中という事もあって、ミオの中で自制が働いているようだ。
それにしてもよく混む道だな。ミオも同じ姿勢で座りっぱなしはきついだろうし、一旦、最寄りのサービスエリアで途中休憩を挟んだほうが良さそうだ。
「なぁミオ。ちょっと腹も減ってきたし、寄り道して、ご飯食べに行こっか」
「うん。ご飯食べるー」
渋滞の煽りを食らい、ノロノロ運転を続ける事およそ三十分。
俺たちは、建物が大きくて、かつ、うまい飯が食えそうなサービスエリアへと侵入し、駐車場に車を止めた。
「わぁ、車とかバスがいっぱい止まってるねー」
「な。たぶん俺たちと一緒で、ダダ混みの渋滞から逃げてきた人が多いんじゃないか?」
「じゃあ、あの大きなバスも?」
「あれはツアーバスだから、たぶんトイレ休憩のために立ち寄ったんだろうな」
「つあーばす?」
「そう。連休を利用して、いろんな観光地を巡りたい人を乗せて運行するんだよ」
「なるほどー。サービスエリアに来る人たちには、いろんな事情があるんだね」
ミオが胸の前で両手のひらを合わせ、納得した様子を見せる。
「さ。せっかくサービスエリアにやって来たんだし、あっちのレストランで、うまい飯を食べていこうよ」
「うん。ボク、ハンバーグを食べてもいい?」
「もちろん。ミオの好きなものを頼んでいいからね」
とは言ったものの、ここのレストランで、ハンバーグを調理しているのかどうか、俺は知らない。
ハンバーグセットくらいなら、市街地にあるファミレスならザラにあるメニューなのだが、ここはご当地グルメも取り扱った店のようだし、ひょっとすると変わり種が出てくるかも分からないのだ。
もっとも、こんなに人の流れが激しいサービスエリアに店を構え、今日まで経営を続けてこれたくらいなんだから、それが当たって繁盛しているのだろう。
かと言って、あまり過度な期待を抱くのもよくない。多少値が張っても、うまけりゃそれで合格、くらいの気持ちで飯を食うことにしようじゃないか。
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