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43.ロングドライブの果てに(7)

「ふーっ、ごちそうさま。初めて鴨南蛮そばを食ったけど、鴨肉ってこんなに柔らかかったんだな」 「ボクもごちそうさまでした! ハンバーグおっきかったから、もうお腹いっぱーい」  それぞれが注文した料理の感想を述べた後、温まった体をお冷やで冷ます。  ふと時計を見ると、現在の時刻は昼の十二時半ちょい過ぎを指していたが、高速道路の渋滞はまだ解消されていないように見える。  今はそこまで焦るような時間でもないし、ちょっとサービスエリアの建物をブラついて、ついでに渋滞の具合を調べてから再出発するとしようかね。 「なぁミオ。ちょっと腹ごなしに、あっちの売店でも回ってみようか」 「うん。どんなのを売ってるのか楽しみだね」  会計を済ませた俺たちはレストランを後にして、すぐ隣に併設された売店へと足を運ぶ。  さすがと言うか何と言うか、建物の大きさに比例して、売店も多くのスペースを確保してあるもんだから、とにかく品揃えが多い。  その豊富なラインナップの中で、最も俺たちの目を引いたのは、やっぱりその土地の名物として売り出されている、お菓子のおみやげだった。  甘いものに目がない俺とミオにとっては、どれもこれも食べたくなっちゃうくらい魅力的だから、ついつい目移りしてしまうのだ。  もしここで何かを買うなら、ほっぺたが落ちそうになるくらいおいしくて、かつ、話のタネになるようなお菓子がいいよなぁ。 「ねぇお兄ちゃん」 「ん?」 「これ見て! 猫ちゃんのになってるお菓子だよー」  ミオが指し示したところに積み上げてあったのは、猫のおてて、正確には前足の形に焼き上げた、一口サイズの饅頭(まんじゅう)だった。  その名も『ミィちゃんまんじゅう』と言うそうだが、ミィちゃんって誰だ?  こういうみやげ物屋とか売店って、たまに由来の分からない物を置いているから不思議なんだよな。 「おお。かわいいお菓子だね」 「でしょ? 包み紙にも、小さな猫ちゃんが描いてあってかわいいの」  なるほど、この三毛猫がミィちゃんか。イラストがほどよくデフォルメされていて、とても愛らしい。  この饅頭は、俺みたいな猫好きの人にはたまらないだろうな。それこそ、包み紙を破くのがもったいないと思えるくらいに。

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