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43.ロングドライブの果てに(11)
今からスーパーで買い物という事は、たぶん、ミオのためにたくさんのお菓子と食材を買い足し、腕によりをかけて、豪勢な料理を作って食べさせてあげようと思い立ったのかも知れない。
ミオが少食だって話はすでにしてあるんだが、それでも、美味しいおやつとご飯を振る舞って、かわいい孫を喜ばせてあげたいんだろうな。
何しろ、お袋の料理の腕は天下一品だからね。
――ところで。
さっき見た交通情報のおさらいをすると、今走っている高速道路の渋滞に、さほど変化はないのが分かった。つまり、まだ二十キロは道が混んでいるということ。
一体、皆どこに行っているんだ?
この連休を利用して、某夢の国へ行くのなら話も分かるが、それなら反対方向に北上しないよなぁ。
家に帰ったらお袋にでも聞いてみるか。
「お兄ちゃん、お待たせ!」
遠く離れた交通情報をぼんやりと眺めつつ、あれこれ考え事をしていると、ミオがトイレから戻ってきた。
「お帰り。ジロジロ見られなかった?」
「ん? どして?」
「いや、ミオって女の子っぽいところがあるから、他の人たちが勘違いしたんじゃないかと思ってさ」
「特に、そんなの無かったと思うけど。やっぱりボクって、女の子に見えちゃうのかなぁ?」
「あ。いや、ごめん。俺が勝手に言い出した事だから、気にしないで」
「うーん……でも、いいよ! ボク、お兄ちゃんになら、女の子に見られても」
ミオはそう言うや、人目もはばからず、俺の腕に抱きついて甘えてきた。
夢中になって、自分のほっぺたをこすり付け続けるその様、まるで子猫のごとし。
ミオは自分が中性的だという自覚に乏しく、ゆく先々で女の子と間違われては言葉を失っているのだが、俺にだけは、どっちに見られてもいいらしい。
たぶん、大好きな俺のお嫁さんになれるなら、性別を変え、女の子になる事もいとわないのだろう。
まぁ極度のショタコンな俺に言わせれば、今のままで、たまに女の子のような格好をさせて、恥じらうミオを眺めるのが、至上の楽しみなんだけどな。
某キャラメルのキャッチコピーを拝借して言わせてもらうならば、そっちの方が、「一粒で二度おいしい」から。
「よし。じゃあ、そろそろ出発しようか」
「うん! 渋滞が減ってますようにー」
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