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44.子猫と大型犬(4)

「ところでお袋。今日、高速がダダ混みしてたんだけど、咲真の先に何かできたの?」 「ああ。それは皆、たぶん北条湖ドリームランドに行ってるのよ。あっちじゃニュースになってなかった?」 「いや、初耳だなぁ。ミオは知ってた?」 「んー? そういえば、テレビのCMで見たような気がするけど。お宝ハントがどうとか言って……」 「そう、そのCMよ。すごく大きなテーマパークでね、古い遊園地を改装して作ったんだって」  お袋の話を詳しく聞くと、さすがにドリームランドというだけあって、お花畑やドラゴンを模した乗り物とか、サバイバルゲーム風の宝探しなどのアトラクションが目白押しなのだそうだ。  あまりにも広大なテーマパークなため、待ち時間の長さも相まって、一日で全てを回り切れない人が続出しているらしい。そこで運営会社は、ツーデイチケットのような連日使える入場券に加え、テーマパークの周辺に有名なホテルを誘致したのだそうだ。  古くさびれた遊園地を、大型テーマパークとしてリニューアルオープンさせたのが今年の梅雨入り前だから、まだ開園して三ヶ月にも満たない。  できたてホヤホヤなテーマパークは、新しもの好きな人たちの好奇心をかき立てたのだろう。だからこそ、この盆休みを利用して、皆こぞって遊びに行こうとしているんだ。  その証拠が今日の渋滞というわけ。  どうやら経営も順調だそうだし、たぶん夏の夜は盛大に花火を打ち上げ、年末年始にはカウントダウンイベントなんかもやるんだろうなぁ。  俺たちも二人で遊びに行けば、思い出にも話の種にもなるだろうけど、人混みの苦手な人間が訪れるなら、できるだけ空いている時期を選びたいかな。 「ところで義弘、今年は三日くらい居られるの?」 「え? 今日を含めて二日のつもりで来たんだけど。三日分も着替え持ってきてないし」 「着替えは洗えばいいじゃない。休みは充分取れたんでしょ?」 「まぁ、一週間くらいは」 「じゃあ、あっちに戻るのはもう一日延ばして、ゆっくりしていきなさいよ。せっかく長い時間をかけて、顔見せに帰ってきたんだから。ねー、ミオちゃん」 「ふえっ!?」  おいしそうにクッキーを頬張っていたミオが、突然お袋から、滞在期間の延長を迫られ、驚きの声を上げた。

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