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45.一家団欒(15)
「……つまり、あんたとミオちゃんは、普通の親子じゃないという意味なのね?」
「うん。親子であり、将来結婚する事を約束した、恋人同士でもある。これ以上、もう何も隠している事は無いよ」
ウサちゃんのぬいぐるみは二人の子供だと認めてから、俺とミオがただならぬ関係ではないかと察知したのは、女性ならではの第六感が働いたのだろうか。
事の真相を聞かされたお袋は虚空を見つめ、しばし沈黙した後、探るように言葉を選びだした。
「あなたたちの事は、他の人には話しているの?」
「いや、お袋が初めてだよ。俺が弱い男なばっかりに、ミオにまで隠し事をさせてしまったんだ。すごく申し訳ないと思ってる」
「そんなことないよぉ……」
とめどなく溢れる涙をこぼし、俺の腕にすがりつくミオの頭を優しく撫でながら、俺は、ミオとの出逢いから今に至るまでの、全てを打ち明けた。
男の子のミオが、同じ男である俺に恋をして、お嫁さんになりたいと思うことは、何ら悪いことではない。
当初は自分の恋心に迷いがあったミオに対して、恋愛の形は自由だからという考えを述べたのは、誰あろう、ミオの養育里親になる事を申し出た俺だ。
自分が一番好きな人の言葉には、何よりも影響力があるのだろう。少なくともそう思ったミオは、その時を境に、俺に対する恋心を隠さなくなった。
そして、ひょんなことから結婚する約束まで果たし、現在に至る。
でも、俺が周りからショタコンだと呼ばれるのを気にしたばっかりに、甘えたい盛りのミオには、今日まで、いろんな事を我慢させてきてしまったんだ。
その罪滅ぼしというわけでもないが、お袋に全てを打ち明けたのは、自分なりのケジメのつけ方だったのだと思う。
「話はよく分かったわ。ミオちゃん、四年も待っていて辛かったでしょう。ずっと義弘の事を想っていてくれて、ありがとうね」
自分が待たせたわけでもないのに、どことなく申し訳なさそうにしているのは、息子に代わって謝りたい……そんな意味合いもあるのだろうか。
とにかくお袋は、俺とミオの関係を否定する事も、拒絶する事もなかった。
即座に二人の関係を祝福するのは難しいけれど、孫ほど歳の離れた幼い男の子の、初めて抱いた恋心を無下にはできないとも思ったのだろう。
というか我が子の口から、十七歳年下のショタっ娘と付き合っているという事実を告白されて、一体どれだけの親が平然を保っていられるのか。
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