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45.一家団欒(27)

「うわ! 袋の厚みが、とんでもない事になってるな。こりゃ確かに大容量だね」 「だろう? 手持ち花火だけじゃ物足りなくなるかも知れないから、見て楽しむ置き花火も入ってるものを買ってきたんだ」  背の高い親父をして、両腕で抱え込まないと落としかねない大きな袋の中では、確かにどこかで見たような置き花火が、カラフルに色付けされ、眩しいほどに自己主張している。 「ミオくん、今日はこれで遊ぼっか」 「うん! いろんな花火があって面白そうだねー」  やはり色合いというものは大事なようで、各種の花火それぞれに、派手な包み紙を用いてある。その派手さが童心をくすぐり、ミオだけでなく、三十路が近い俺をもワクワクさせてくれるのである。 「じゃあ、わたしは後でスイカを持っていくわね。よく冷えてるから、花火の合間にいただきましょ」 「スイカがあるんだ! 懐かしいなぁ。いいデザートになりそうだね」  スイカと聞いて、ますます気分が高揚した俺の顔を見上げながら、ミオがこんな事を尋ねる。 「お兄ちゃん、スイカを食べるのは久しぶりなの?」 「ああ、実はそうなんだ。家を出て一人暮らしを続けていたら、ついつい他の果物に目移りしちゃってね」 「義弘はこんな調子だけど、ミオちゃんは、スイカは好きかしら?」 「うん、好きだよー。施設にいた時、三時のおやつでスイカを食べさせてもらった事があるの」 「夏のスイカは、おやつにもデザートにもなるからいいわよね。後で食べやすい大きさに切って持っていくから、楽しみにしててね」 「ありがとう、お祖母ちゃん! お楽しみがいっぱいで嬉しいなぁ」  花火にスイカという、夏の定番に期待を寄せるミオは、満面の笑みを浮かべながら、隣に座る俺の腕に抱きついてきた。  こういうミオの笑顔を見るにつけ、やはり実家へ連れ帰ってきたのは正解だったというか、我ながら良い判断を下せたと思う。  何しろ、成り行きでああなったとは言え、俺とミオの恋仲を、親父とお袋に認めてもらえちゃったしね。 「じゃあスイカは母ちゃんに任せるとして、俺たちは花火で遊ぶ準備をするか」 「そうだね、そうしよう。俺はバケツに水を汲んでくるよ。親父、火はある?」 「ああ。マッチとろうそくは買いだめしたやつがあるから、着火には困らんだろ」 「ねぇお兄ちゃん。ボクもお手伝いできること、ある?」  ミオは、花火の段取りについて話をしている俺と親父の顔をキョロキョロと見比べた後、自ら手伝いを申し出てきた。

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