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46.花火で遊ぼう!(3)

「へー、蚊取り線香って、缶缶の蓋に刺して焚くんだね」 「いいアイデアだよな。これ一缶あれば、あとは火を点けるだけで、燃え尽きた灰の処分までできるように作ってあるんだから」 「すんすん。何だかちょっと、お仏壇で嗅いだ、お線香とは違う匂いがするー」  ミオは鼻で吸い込む音を鳴らし、火の点いた蚊取り線香から漂う、特徴的な煙の香りを確かめている。 「一応この煙は、俺たち人間には害が無いらしいんだけど、蚊の退治にはてき面な成分がふんだんに練り込んであるそうだよ。たぶんその匂いが強いんじゃないかな」 「そうなの? 不思議だなぁ。こういうのって、自由研究の題材にしたら面白そうだね!」  さすがは現役小学生で勤勉なミオだ。目の付けどころが、大人の俺たちとは違う。  ちなみに、今年の夏休みに課された宿題の自由研究では、ミオはリゾートホテルのグラスボートで出会ったアオウミガメがなぜ青く見えるのかを、いくつもの文献を読み漁って、その神秘的な秘密を解き明かしている。  なので蚊取り線香の特性や効果については、来年の自由研究で使えるネタとして温めておくのもいいだろう。 「こうやって、蚊取り線香を焚いて縁側に座っていると、俺の子供時代を思い出すよ」 「お兄ちゃんも子供のころ、お庭で花火を遊んでたの?」 「うん。うちは俺だけの一人っ子だったから、親父が遊び相手も兼ねて、火傷しないよう見守っててくれたんだ」 「それ、お祖母ちゃんもさっき言ってたけど、花火って、火傷しそうな危ない遊びなのかな」  蚊取り線香の煙が辺りに漂う中、俺の隣で外縁に腰掛けるミオが、まだ遊んだことの無い花火に対し、少し不安を抱いた様子で尋ねてきた。 「いや、大丈夫だよ。遊び方を間違えたり、おふざけで、他の人に向けたりする悪ガキがいるから、見守る大人が必要になるって話さ」 「人に向けるのはボクも絶対にやらないけど、遊び方を間違うのは心配だなぁ」 「はは、最初は皆そんな気持ちになるだろうな。俺が一緒に遊びながら教えてあげるから、適度に気をつけつつ、目一杯楽しもうよ」 「うん。ありがと、お兄ちゃん」  そう言って俺の肩に頭を寄せたミオの、爽やかなブルーの髪の毛からは、お袋が選んだと思われる、ヘアシャンプーの甘い香りがした。 「二人とも、ほんとに仲がいいなあ。邪魔するようで悪いけど、もう遊ぶ準備はできてるぞ」 「あっ! ごめんごめん。ミオといろいろ話をして、花火の遊び方を教えてたところなんだ」

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