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46.花火で遊ぼう!(4)
うっかり親父の見ている前で、いつもの調子でイチャイチャしてしまうところだった、いかんいかん。
もっとも、両親公認の仲だから何が悪いってこともないんだけれど、親父たちの目の前で、二人の世界に入り込み、のめり込み過ぎるのは、さすがに自重した方がいいだろう。
「ようし、んじゃさっそく遊ぶか。ミオ、まずは俺が遊び方の手本を教えるから、見たとおりにやってごらん」
「はーい。どんな花火があるのかワクワクするなー」
俺は、親父が買ってきた大容量花火セットの袋に手を突っ込み、お手頃で、ミオにも扱えそうな花火を探す。
置き花火や打ち上げ花火は、どっちかというと遊びのシメに用いるものだと思うし、ねずみ花火は危険なので、肌の露出が多いミオが火傷するリスクを考えると回避せざるを得ない。
以上の事を鑑みて選ぶならば、やっぱりまずは初歩的で扱いやすく、かつ安全度の高い、無難な手持ち花火がいいだろう。
「ミオ、はいこれ。まずはこの、手に持って遊ぶ花火を体験してみようか」
「うん。……あれ? 何だろこれ。ねぇねぇお兄ちゃん、この花火、先っぽの方にヒラヒラした紙が付いてるよー」
ミオはそう言いながら、手持ち花火の先端に取り付けられている、桃色の和紙で作られた〝花びら〟を指の腹でなぞっている。
「そのヒラヒラは、花火の詰まった筒から火薬が露出してバラけないように、という意味で取り付けられるそうなんだけど、それをちぎるかどうかは、メーカーによるんだよな」
「んー? どゆこと?」
「ヒラヒラをちぎって火を点けるのか、あるいは付けたまま、導火線代わりとして燃やすのかは、花火を作った職人さんによって異なるんだよ」
「ふんふん。じゃあ、この花火はどっちの遊び方になるのかな?」
俺たちがその場にかがみ込んで、手持ち花火の仕組みを調べていると、それを遠間で見ていた親父が、花火の詰まった袋を抱えてやって来た。
「二人とも、これ見てみな。どうやらここの花火は、ヒラヒラをちぎらないで遊ぶらしいぞ」
親父が花火セットの袋を地面に置き、くるりと回転させると、その袋の裏側には、詳しい花火の遊び方が明記されていた。
「あ、確かに。『この花びらはちぎらないで着火してください』って書いてある」
「それじゃこの花火は、ヒラヒラに火を点けて燃やしてもいいって事なんだよね?」
「そうだな。よっしゃ、遊び方がハッキリしたところで、改めて着火して遊ぶとしますか」
「うん! ボクは、お兄ちゃんのお手本を見せてもらってから遊ぶ事にするね」
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