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48.ショタっ娘とスローライフ(1)

 俺は現在勤めている会社に就職して以来、土日祝の休日は、基本的に、目覚ましのアラームをセットしないようにしている。なぜなら、長く寝たいから。  もっとも、通勤日は通勤日で、別にアラームに頼らなくても、体内時計さえ狂っていなければ、それなりに早起きはできる。  だが、万が一の寝坊による遅刻は、いち社員としての評価に傷がつく。それを防ぐためにこそ、保険として、大音量のアラームを鳴らすのだ。  あのマンションで一人暮らしをしていた時、自分を起こしてくれたのは、結局自分だけだったからね。  でも、ミオを里子として迎え入れてからは、アラームよりも早起きなミオが、優しく目覚めさせてくれるようになった。  俺が悪夢を見てうなされていた時も、その小さな体でのしかかって、全力で起こしにかかってくれたし、うちのショタっ娘ちゃんには、かなり助けられている。  そんなショタっ娘ちゃんが起こされる側に回るのは、前日の疲れが相当溜まっていた時くらいのものなのだが、今日もそのパターンらしい。  無理もないよなぁ。帰省初日となる昨日は高速道路の渋滞に巻き込まれ、長時間、窮屈な姿勢で助手席に座っていた事だし。  さらに、夕食後の花火遊びで思いっきり楽しんで、残り少ないスタミナを使い果たした部分もあるのだろう。  まだ幼く育ち盛りなミオは、たかだか二時間くらい昼寝したくらいでは、疲労が抜けなかった。だから今は、天使のような、安らかな表情で熟睡しているんだな。  昨晩は、初孫であるミオと同じ床につきたがっていた、俺の親父とお袋による争奪戦が勃発しそうになったが、俺が一緒にいてくれるなら……という条件付きで、結局大部屋にて、四人揃って眠る運びとなった。  ミオがずっと大事にしている、ウサちゃんのぬいぐるみも加えれば五人? なのだが、ともかく祖父母でミオを挟み、〝川の字〟で眠る事ができたため、親父とお袋は、晴れやかな寝覚めを果たす事ができたようだ。  天使のような寝顔から離れるのは相当名残惜しかったようだが、朝一番で届く、新聞と牛乳を取りに行ったり、飯の準備をしたりするために、親父たちは俺にミオを託して、各々の役目を果たしに行ったのであった。 「お兄ちゃん……すき……」  ミオの隣で寝転んで、その穏やかな寝顔を見守っていると、ミオは突然、俺への愛の言葉を口にした。どうやら寝言のようだ。 「好き」という寝言から夢の内容を察するに、うちの子猫ちゃんはおそらく、夢の中でも側にいる俺に甘えてくれているらしい。  はぁ。寝言だとはいえ、こんなに真っ直ぐで屈託のない想いを伝えられたら、そりゃあ惚れ直しちゃうに決まってるじゃん。

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