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48.ショタっ娘とスローライフ(21)

「むー。もしかしてお兄ちゃん、水着の女の子がいっぱい載ってる本を買ってたんじゃないの?」 「な、なぜそれを……って言いたいところだけど、当時の俺は、とてもじゃないけど手を出せなかったんだよね」 「そうなんだ。お小遣いが足りなかったの?」 「まぁそれもあるけど、何より小っ恥ずかしくてさ。当時のレジを打つ店員さんが女性だったから尚更持って行きにくくて、結局買ってたのは、無難な漫画とか小説ばかりだったよ」 「でも、水着の本もエッチなのじゃなかったんでしょ?」  この書店が図書館並みに静かな事を察しているからか、他の客や店員さんたちの迷惑にならないよう、ミオはささやくように問い確かめてくる。 「うん。あくまで水着姿の写真集だからね。ただ、店員さんにも受け取り方があるじゃん? もしも、店員さんが清廉潔白(せいれんけっぱく)な女性だったら、軽蔑の目で見られかねないんだよ」 「セーレンケッパクがよく分かんないけど、お兄ちゃんの事を、エッチな人だと思い込むかも知れないってお話?」 「そういう事。もしそんな目で見られたら、次からこの本屋には来れないなーって思うと、ついつい尻込みしちゃってたんだよね」 「うーん……」  俺の学生時代と、グラビア写真集にまつわる事情を聞かされたミオは、小さくうなり声を上げて目を閉じ、頬に指を当て、何やら考え込み始めた。 「じゃあ、ボクが水着を付けるから、お兄ちゃんが写真を撮ってみるってのはどう?」 「え! ミオが女の子の水着を!?」 「そうだよー。写真でも、ずっとボクの事を見ててくれたら、他の子に気がいっちゃったりしないかなぁって思って」 「あ? ああ、なるほど。それはいいアイデ……ア……?」  ん? ちょっと待てよ。今の話を整理すると、つまり、ミオがグラビアアイドルとなって、俺のために女の子用の水着を着用し、好きなポーズで撮影させてくれると?  いかんいかん! 嬉しい申し出だし、一瞬心が揺らいだけれど、さすがそりゃマズイだろう。  いかにミオからの提案だとはいえ、かわいい里子を水着姿にして写真を撮るだなんて、里親としての越権行為(えっけんこうい)も甚だしい。  俺たちがいくら仲むつまじい恋人同士だとしても、里子のミオにそんな事をさせて、それが明るみに出ようものなら、俺は里親の資格を剥奪(はくだつ)され、一生離れ離れになってしまう。  なので俺は、リゾートホテルに行った時や、初めての観覧車で撮ったツーショットで充分だからと説明し、ミオが申し出た、水着姿でのグラビア撮影は、決死の説得で思い直させたのだった。

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