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48.ショタっ娘とスローライフ(23)

 ミオに意思確認をした結果が希望通りで、ホッと胸を撫で下ろしている。そんな自分が、何となく器の小さい男のように思えてきた。  でも彼氏としては、付き合っている彼女が、他の男と仲良くするのはいい気がしないし、ましてや、赤の他人に水着写真を撮られるなんて言い出したら、普通は何としてでも止めるよな。  だって、独り占めしたいくらい愛している恋人の、肌をあらわにした水着写真が、たった一回シャッターを切るだけで、全国の書店やウェブの媒体に残るんだぞ。そんなの嫌だよ。  グラビアアイドルを彼女に持つ男の心境を推し量る事はできないけれど、少なくとも俺は、自分が関われない空間で、ミオが何をしているのかと思うと、とても気が気じゃなくなるタイプだ。  さすがに一日中とは言わないけれど、できる限りの事ならば、好きな人には、ずっと自分のそばにいて欲しい。  ……なーんて願望を抱いてしまった時点で、俺はもう里親という枠を飛び越えて、一人の男として、心底ミオに惚れちゃっているんだろうな。  今更な話だけど、この恋心は、純粋にミオという同性の子が好きなのか、あるいはショタコンであるがゆえに抱いたものなのか。  まぁ、どっちも含めて俺はミオが好きなんだと思う。  ネットの某サイトにおいて、よく、「男の娘は男とは別物だから」という主張を目にするのだが、その主張が通るのならば、ミオやレニィ君、ユニィ君のようなショタっ娘も、やはり男性とは別物だろう。  よって、そんなショタっ娘たちに心を奪われた俺は、一周回って女性が好きだという結論に行き着きはしないだろうか?  ……やっぱり、しないよな。街中で、無作為に選んだ百人に声をかけ、同意を求めてみても、ほぼ全員から「んな訳ないだろ」と一蹴されるのは火を見るより明らかだ。  そもそも、ミオに対して「恋愛の形は自由である」という自分の意見を聞かせておいて、ショタっ娘に惹かれた自らを偽り、俺だけ世間に対して体裁を取り繕おうだなんて、虫のいい話があるわけないし、あってはならないんだ。  だからもう、そんなセコい事を考えるのは止めにして、今日は世界一キュートな恋人であるミオとの、スローライフな街ブラデートを目一杯楽しむとしようじゃないか。 「どしたの? お兄ちゃん。行こ?」 「あ、ごめんごめん。今行くよ」  この書店にはふらりと立ち寄ってみただけだから、ダメ元なのは心得ている。けれど、それを承知の上で、俺はあえて祈願したい。  うちの愛しいショタっ娘ちゃんの探している本が、どうか無事に見つかりますように。

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