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49.初めてのお子様ランチ(2)

「ん? 漫画?」 「そ。ボクがいつも読んでる方だよ」  ミオの返事と、指で示した先にあるものを見て、この子が言う漫画の意味を思い出した。  先ほど思い起こしていた事の繰り返しになるが、ミオは『魔法少女プリティクッキー』の、アニメを漫画風にコマ割りしたコミックは読むんだけれど、漫画家が描いたものには興味を示さない。  その理由(わけ)は、毎週いつも見ている、アニメならではの描写や色塗りが気に入っているからなのだが、絵柄が違うってだけで、こうまで好みが分かれるものかねぇ。  まぁアニメコミックはフルカラーだし、絵は動かないけど、基本的に脚本通りの進行をするようにコマ割りをするから、ミオ本人にとっては、再放送を本で読んでいる感覚なのかも知れないな。  それなら録画した本放送を見返せばいいのでは? と思われるかも知れないが、我が家に迎え入れたミオがプリティクッキーを見始めたのは、第一期の終盤からだったからなぁ。  DVDもなぜかプレミア価格だから、子供のお小遣いじゃ買えないし、ミオはミオなりに妥協点を模索した結果が、アニメコミックを集める事になったってわけだ。 「確か、ミオが欲しいのは七巻だったよな。本棚にありそうかい?」 「ちょっと待ってね。えーと、最初が一巻で、その右は……あれぇ?」  ミオが独特の嗅覚でもって見つけたお目当ての本は、女の子向けの漫画本が多く並ぶ本棚の、一番上の棚にあった。これじゃあ、小さな子は手が届きそうにない。  ミオはその本棚で、特徴的な背表紙を目印にして、お目当てのアニメコミックを見つけたのだが、その背表紙に描かれた、この本は何巻なのかを示す数字を指差し確認していたミオが、いかにも不思議そうな声をあげた。 「んー? あれれ?」 「ミオ、どうしたの? 探してる本じゃなかったのか?」 「ううん、そうじゃないの。このお店のプリティクッキーって、一巻がいーっぱい置いてあるんだよ。見て見てー」 「どれどれ? ……あ、ほんとだ。一巻だけで四冊も並べてあるじゃん」 「でしょ? だから変だなーって思って」  本屋さんって、同じ巻をこんなにいくつも並べるもんだったっけ? と、子供時代の記憶を引っ張り出してみたが、古本の買い取りもしている店なら、確かにこういう風だったような気がする。  でも、ここは新品だけを取り扱っているお店だからなぁ。もしかして、子供たちの取っ掛かりとして、一巻だけを買って様子を見る親が多いとか?  あれこれ推測しつつ、本棚の下に視線を落としてみると、やはりプリティクッキーのアニメコミック第一巻が、帯付きで五、六冊ほど平積みされていた。  その視線に気がついたミオも、異様に目立つ第一巻の山を見つけるや否や、いかにも物珍しそうな顔をするのだった。

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