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49.初めてのお子様ランチ(9)
「ねぇねぇお兄ちゃん」
「ん? 何だい?」
「えっとね、二人で書いたお手紙のことなんだけど。もう、レニィ君たちのお家に届いたかな?」
「うーん、どうだろ。昨日の朝、郵便局に持っていったばかりだしなぁ。一日やそこらじゃ着かないんじゃないか?」
「そうなの?」
「うん。あの子たち、結構離れたところに住んでるみたいだから、尚更にね。速達ならそれなりに早く届くけど、そうするほど急ぎの用じゃないし、まぁ短めに見積もっても、三、四日後くらいだろ」
という予測を聞いたミオは、ちょっと残念そうな顔で、浮かした腰を下ろし、深く座り直した。
レニィ君というのは、俺とミオが佐貴沖島 という離島に建てられた、島唯一のリゾートホテルで出会った双子のお兄ちゃんの事であり、ブロンドヘアーとお花のカチューシャが特徴的で、うちのミオと双璧をなすほど、美麗で可憐なショタっ娘ちゃんだった。
歳はミオと同じくらいだと思うのだが、なにぶんにも、ちょっとお茶をシバいて、一緒にカラオケを歌ったくらいの仲でしかないので、お互い、詳細なプロフィールを知らないままお別れする事になり、今に至る。
だが、その出会いだけで終わらせたくないと思ったレニィ君は、自分たちが暮らしている家の住所や携帯電話の番号を紙にしたため、俺たちに渡してくれたのだ。
で、その住所を頼りに、俺とミオは、あの子たちへ手紙を書き、再度交流を深めようと思い立ったのである。それが昨日のこと。
「俺たちが出したあの手紙には、連絡先ってわけじゃあないけど、俺の携帯電話の番号を書いて送ったから、もしかしたら返信よりも、先に電話を鳴らしてくるかも知れないなぁ」
「それって、レニィ君たちも、お兄ちゃんみたいに〝すまーとふぉん〟を持ってるってことだよね」
「そうだな。あの時貰ったメモの電話番号だけ見れば、携帯の番号だとは分かったんだけど、一台分しか書いてなかったのを考えると……」
「考えると?」
「たぶんだけど、レニィ君たちは、弟のユニィ君と二人で、一台のスマートフォンを共有しているんじゃないかな」
「えー!?」
お冷の注がれたグラスを両手に包み持っていたミオが、俺の推測を聞き終えるや否や、目を丸くして驚愕 の声を上げる。はて、今の話のどこに、ミオが驚くほど意外な事があっただろうか。
「ボクには普通の事が分かんないけど、クラスメートの子たちは、きょうだいがいても、一人に一台、すまーとふぉんを持たせてもらってるって聞いたよー」
「そうなのか? 案外皆リッチなんだな」
という感想を口にしてすぐ、またも俺は、ミオが苦手な横文字を使ってしまった事に気がついた。
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