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49.初めてのお子様ランチ(26)
……あまり、こんな話を食事時にするもんじゃないからミオには黙っていたが、エビの尻尾を蛇蠍 のごとく嫌う人の一部には、こんな事を口走る傾向がある。
エビの尻尾に含まれるキチン質に目をつけ、やはり同じキチン質で構成されるらしい、害虫として有名な「G」の羽を引き合いに出すのだそうだ。
せっかくうまいものを食っている時に、わざわざ気分を害するような「G」の話をして、一体何がしたいのか、俺にはさっぱり分からない。食事中のマナーもへったくれもない、デリカシーが欠如している言動に対して、何かしらの自覚は無いのだろうか。
エビの尻尾でアレルギー反応が出る人もいるから、安易に全部食えというのは危ない……なら話は分かるが、キチン質を「G」の羽に結びつけて、何がどうメリットに繋がるのか、俺には分からない。
もし、「キチン質が含まれるエビの尻尾を食ったから、お前はGの羽を食ったのと同じだ」と主張したいのなら止めはしないが、十中八九、鼻で笑われるか、相手にされなくなるだけだと思う。
そういう意味のない難癖をつけるよりも、Gが某国で料理として出されている事に目を向け、声高に危険だの不衛生だのと訴えた方が、まだ聞く耳を持たれる可能性があるんじゃないだろうか。
もっともGの一種は、某国では漢方としても活用される虫なだけに、「大きなお世話だ」だの「内政干渉」だのと言われて、一蹴されるのが関の山だと思うけど。
……さ、そんな無益で建設的でない考え事はこの辺で止めておいて、うまい飯を食う事に集中しよう。
「あー、おいしかったぁ。デザートも食べちゃお」
プレートにひとまとめにされた、子供心をくすぐる数々の料理は、うちのショタっ娘ちゃんにも好評だったようだ。
「ミオの一番のお気に入りは、やっぱりエビフライかな?」
「んー、エビフライも良かったけど、一番おいしかったのはハンバーグかなぁ」
「ああ、分かるよ。焼き目も食欲をそそる色になっているから、バクバクいけちゃうんだよな」
「うんうん。でも、お兄ちゃんのくらい大きいハンバーグだったら、ボク、食べきれなかったかもー」
「はは、ミオは少食だからね。とは言え、ここのハンバーグは、学生時代の俺でも腹いっぱいになったくらいだから、結構なボリュームなんだろうな」
うっかり横文字で答えてしまったが、話の流れが流れなだけに、ボリュームが何なのかをうっすら理解したようだ。
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