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49.初めてのお子様ランチ(27)

 ここのハンバーグは、俺の学生時代からずっと肉厚なままで、肉汁もたっぷり。付け合わせのフライドポテトも相変わらず、ゴロゴロしたうすしお味でうまい。  これだけ食っても、千円でお釣りが来ちゃうんだから、コストパフォーマンスが尋常ではないんだよな。  午前様で学校が終わった日や休日、友達と遊びに行った折、飯をたらふく食いたいと思った時は、このお店でハンバーグ定食を頼んでおけば間違いなかった。  自家製のデミグラスソースもハンバーグと相性が良く、肉本来の持つ旨味がより一層引き立つので、量だけでなく、質においても大いに満足できる定食なのだ。  かようにリーズナブルで味も良く、何より腹が膨れるもんだから、休日にこのお店へ訪れる客の割合としては、家族連れよりも学生が多かったような記憶がある。  しかしまぁ、とても満足げに、デザートのプリンを口に運んでいるミオを見ていると、心がほっこりするな。  なぜか二尾盛られていた、ホクホクのエビフライだけは半分こにしたものの、それ以外を残さず食べきったという事は、よほどミオの好きなメニューが揃っていたんだと思う。  実家でスマートフォンを使って、事前にこのお店がまだ健在であるかどうか、下調べをしておいて正解だった。  いつか、大人になったミオを連れて、二人で揃って、ここのハンバーグ定食を食べられる日が来るといいな。 「お兄ちゃんにもプリンあげるー。あーんして!」 「あ……あーん」 「どう? お兄ちゃん」 「うん、甘くておいしいよ。でも、こんなにいっぱい食べても良かったのかい?」 「いいの。お兄ちゃん、デザート頼んでないでしょ? だから半分こにしようって思ってたんだよ」  優しいなぁ、ほんと。やっぱりこの子は天使だよ。ミオ自身も甘いもの大好きだろうに、俺にここまで気を回してくれるんだから。  ミオが分けてくれた、生クリームがふんだんに盛られたプリンは、苦味のあるカラメルとの相性が抜群だった。この苦味はちょっぴり大人の味だな。  あーんするのはちょっと照れくさかったけど、そもそも俺とミオは結婚を前提に付き合っているんだし、恥ずかしがるのも今更だろう。何より、その照れくささを吹き飛ばすくらい、プリンがうまかった。  今日は俺が慣れ親しんだ、アーケード商店街の案内も兼ねたデートなんだし、佐藤と出くわす心配もないから、目一杯イチャつくとしますか。

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