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55.事後処理(7)
「はーい。じゃあ、正解の発表だよー!」
ミオは俺の胸板から顔を離すと、とびっきりの笑顔で、長い丈のシャツをめくってみせた。
その瞬間、俺の視線は、ミオの下腹部に釘付けとなった。勢いよくめくったからか、ショーツの全貌 はおろか、くびれと同じくらいの位置にある、ミオのおヘソまでが露出している。
ミオが企画したクイズだとはいえ、いくら何でも刺激が強すぎるだろ。まだ朝だというのに。
俺は理性を保つべく、素数を数えてごまかそうと思ったが、そもそも素数を覚えていない。とにかく深呼吸をして、あくまで「クイズの回答」として、その色を確認しよう。
「お兄ちゃん、惜しかったねー。すっごくいいところまで来てたんだよ」
ヒントに次ぐヒントを踏まえて熟考した答え合わせの結果は、確かに縞パンであった。
が、肝心の色が違う。ミオが穿いているショーツの色はピンクではなく、薄紫の濃淡で、アクセントのリボンも、両サイドに一つずつ縫い付けられている。ちと風変わりなデザインではあるが、リボン自体の布地を隠す程の邪魔にはなっていない。
「ああ、薄紫だったんだ! リボンが真ん中にあるのだけを想像してたから、ピンクしか浮かばなかったなぁ」
「んー。でも、半分当たってるから、お兄ちゃんは五十点あげる!」
ミオは嬉しそうな様子でシャツから右手を離し、大きく広げてみせた。ジャンケンならパーになるこの形で、五十点の獲得を示してくれたようだ。
男の子が女の子用の下着を穿く。言わば女装やコスプレといったジャンルに分類される見せ方なのだろうが、うちのミオは普段使いで着用している。
だが、俺はその事に対して異常だとも不相応だとも言わなかった。自分の価値観を押し付け、多様性を否定するのは誤りだし、何より時代にそぐわないと考えているからだ。
しかしまぁ、ここまで違和感が無いものかね。中性的を超え、美少女よりの顔だからってのもあるけど、ショーツを着用した状態そのものに不自然さを抱かないのは、つまりそういう事なのだろう。
「このクイズ、百点で満点?」
「そだよ。でもお兄ちゃん、縞パンなのを当ててくれたから、半分あげたのー」
「うーん、惜しかったなぁ。でも薄紫なら、リボンもかわいく映えるね。外した俺が言うのも何だけど」
「ほんと? ボクも好きなショーツだから、かわいいって言ってくれるの嬉しいな。嬉しいから、お兄ちゃんには、もう五十点あげる!」
お、思わぬところで百点満点獲得!
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