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55.事後処理(8)

 ちなみに、解答に出なかったもう一枚のショーツは、上部に青と白のギンガムチェックの布地を被せる、というデザインだった。ミオが言うには、ギンガムチェックであるなら、赤リボンの邪魔にはならない、との事だ。  いやー、さすがはショタっ娘ちゃん。自分なりに確立したセンスの軸がブレていない。ジャケットとチノパンだけで街をうろつく俺のような、無頓着な男とは訳が違う。 「ところで、ミオ」 「なーにー?」  自分が出題した「ショーツ当てクイズ」の正解を、一生懸命考えてくれた事がよほど嬉しかったのか、上機嫌なミオは俺の胸板で甘え続けている。  そんなもんだよな。子供が頭をフル回転させて作ったモノは、その出来が褒められるか、助言をもらうか、とにかく何らかの反応が欲しいんだ。有形・無形を問わずにね。 「もし、俺がピンクの縞パンって当ててたら、何かあったの? ……その、ご褒美みたいな感じのやつが」  まずい! すっかりのぼせ上がって、思わぬことを聞いてしまった。理性のスキ間から頭をもたげた欲望が悪さをして、何らかのご褒美が貰えるのでは? という期待を寄せた挙げ句がこれだ。  もっとも、今の俺はされるがままに甘えられているし、正答で百点満点を取ったわけではないので、このままイチャついているだけでも充分なんだけどな。 「いいよ。お兄ちゃんが好きなことをお願いしても」 「え!? そ、それは、俺がミオに、制限なしって意味で?」  俺の胸板に横顔をうずめたミオは、質問の意味が正しいと言わんばかりに、動きを止めて、コクリと頷いた。つまりミオは、俺が何らかのおねだりをしても、絶対に叶えてくれると言っているのである。  さすがにそりゃまずくないか? だってミオみたいな麗しいショタっ娘ちゃんが、俺のなすがままに……って、そりゃいつもの事だな。  ソファーで抱っこしながらテレビを見たり、お風呂でも互いに背中の洗いっこしてるし、同じベッドで体を寄せ合って寝てる。ゆえにボディータッチという意味では日常茶飯事だから、今更何かお願いしても、ただよそよそしいだけに終わる。  それ以上の事を望んでもなぁ。そもそも俺とミオは恋人同士であると同時に、養育里親と里子の関係にあるわけで、度を超えたスキンシップは教育上正しいとは言えない。  ミオがまだ十歳だからというのもあるし、いかに俺が重度のショタコンであっても、自らの欲望を一方的にぶつけるのは、ショタコンの風上にも置けない蛮行である。  さりとて、何らかの物欲があるわけでないし、そういうのは年長者の役目だからなぁ。今月末で二十八歳になる俺が……あっ、そうだ! 「えっと、あのさ。俺、今月の三十日が誕生日なんだよね。もし良かったら、ミオにも一緒に祝ってもらえたら嬉しいかなぁって」 「はぇ? お兄ちゃん、今月が誕生日だったんだ? ボク、全然知らなかったよー」 「はは、何つっても、三十路に近づいたって証拠だからさ。同期の奴らもめでたくなさそうにしてるし、あんまり言うもんじゃないのかなーって」

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