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第14章 二年次・12月(4)

 先に入るように言われて、高志はシャワーを浴びた。高志が出ると、入れ違いに茂が入る。座卓の上は茂が片付けてくれていたので、高志はテレビ台からゲーム機を取り出し、ぷよぷよをセットした。  やがて茂も出てきたところで、二人は対戦を始めた。  ゲームに集中していると、それだけ頭の中が空っぽになって楽になった。もちろん茂はそれを分かって誘ってくれたのだろう。気付けばいつものように夢中になり、悲鳴を上げたり悪態をついたりしながら笑い合っていた。 「はあ。ちょっと休憩」  何回か勝負した後、高志が詰んだところで茂がそう言い、立ち上がって冷蔵庫に新しい缶を取りに行った。 「お前も?」 「いや、まだある」  高志の返答を聞いてビールを一本だけ手に持って戻ってきた茂に、高志は、ふとさっきのゲーム中に思い出したことを聞いた。 「そう言えば、別のことって何だ?」 「え、何が?」 「さっき言ってただろ。俺が変だったの、別のことが原因だと思ってたって」 「ああ」  茂は少し言い淀みながら、高志の横に座った。 「いや、何でもない」 「ふうん」  高志は特にそれ以上聞くつもりもなかったが、茂はプルトップを開けた後、飲まずにしばらく缶を眺めていた。 「……ていうか、俺とあんまり話したくないのかと思ってた」 「え?」  予想外の答えに、高志は茂を見た。 「何で」 「軽蔑されたかと思って」 「は?」 「いや、そこまで大袈裟な感じでもないけど。まあ、ちょっと距離を置かれたかと思ってた」  全く意味が分からない。 「何で俺がお前を軽蔑するんだよ」 「いや、違ったんならいいんだけど」 「どうしてそう思った?」 「だから、俺が」 「うん?」 「……適当に彼女作るやつだって思われたかなって」  茂はぼそっと答えた。 「思われたっていうか、まあ実際そうなんだけど」 「何でだよ。お前は」  淋しいからって言ってたじゃないか。  その言葉を高志は飲み込む。 「……お前が今カノと付き合ったの、だいぶ前だろ」 「うん」 「そんなに前から、俺、態度おかしかったか」 「いや……そんなこともないけど」  茂は首を振る。 「はっきりとおかしいなと思ったのは最近だけど。まさか彼女と別れてると思わなくて」  それは、言わなかった高志のせいだ。 「俺が彼女できたって言った時、藤代怒ってたみたいだったし。色々考えたけど、それしか思い付かなかったから」  高志は、茂がどうして彼女の話をほとんどしないのかを理解した。 「怒ってない」 「うん、まあ、なら良かったけど」 「お前を軽蔑とかする訳ないだろ」 「うん、そっか」 「……ばかか」 「はは。ごめん」 

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