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第2話
ひとり歩いてドルシウ学園へ向かうレオネル。ふと立ち止まり、緊張で強ばる頬を冷えた手のひらで揉みほぐしながら、頭の中で今日のことをシミュレーションする。大きく深呼吸をし、よし、行こう――。そう足を踏み出そうとした時、車のエンジン音と共に聞き馴染みのある声がした。
「よっ、レオネル」
声のした方を振り向くと、そこには高級車に乗る幼なじみのアレクがいた。
「アレク……、おはよう」
「はよ。一緒に乗っていくか?」
「いや……」
遠慮する、と言いかけたレオネルの言葉を遮るように、アレクが道の先へ視線を向ける。
「あれ。捕まるとかなり面倒だぞ」
その視線の先を辿ると、目的地までまだ幾らか距離があるにも関わらず、既にたくさんの記者、見物人が正門の前に溢れかえっているのが見えた。
無意識に顔をしかめたレオネルをみたアレクが、もう耐えられないと言わんばかりに吹き出した。
「ッハハ!!ウゲェって顔してるな。ほら、乗りなよ」
そう言うと、運転手が素早く後部座席のドアを開けた。
「どうぞ、レオネル様」
「すみません、ありがとうございます……」
高級な車を汚さないように気をつけながら、アレクの隣へ座る。初めて乗る訳では無いが、いつもの事ながら緊張してしまう。
「アレク……。あの、黙っててごめんね。同じ学園のこと」
黙っていようと決めたのはレオネル自身だが、普段から仲が良く常に一緒にいたので気を悪くしてるんじゃないか、とずっと気になっていた。
「俺が貴族だから、学園では話さないでいようなんて思ってたんだろ。お前の考えそうな事だけど。別に貴族も庶民もそう変わりねぇと思うんだけど」
(まさにその通りで……。)
自分の考えが全て筒抜けだったことに少しだけ驚いたが、アレクのことだから、となんとなくバレている気がしていた。
先程アレクが言ったように、アレクは貴族の生まれ。中でも階級が高く、とても有名な家系だ。両親同士がとても仲が良く、普段は身分の違いを気にしたことがなかった。
だが、これまでとは違い、有名な貴族達がこぞって通う学園ともなれば庶民の存在は浮いてしまうだろう。誰もが知る貴族と仲が良いと知られれば余計に。
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