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第6話:安心
綺麗な顔が、時折苦しそうに歪む。
その表情が更に感覚を高ぶらせる。
あの夢はこれだったのかも知れない。
これから起こることを指していたのかもしれない。
だったら、俺は本当に変態だ…。
「はぁっ…あ、ぅ」
「ん…っ?身体…さっきよりも反応してる…っ。イきそう…?」
吸い込まれそうな程綺麗な眼。
黒くてサラサラとした髪。
日焼けとは無縁そうな白い肌。
そんな奴が、俺にこんなこと…。
「あ、…!だ、だめ…っ、もうっ」
進藤はさっきよりも動きを早めた。
そのおかげで、あの感覚が俺を襲う。
「いいよ…イって」
「あああぁっ…!」
…頭が真っ白になるとは、まさにこの事。
1人でしたり、女とヤるときに感じたことの無い感覚。
何も考える余裕なんてない。
「んぅ、あ…」
「上手にイケたね」
感覚が過ぎ去ることはなく、あの感覚を未だに貪るように身体が反応する。
なんだよ…これ…。
「っ、う…」
「…まだ反応してる。気持ちよかった?」
「うるせえ…」
「可愛かった。ますます好きになっちゃった」
進藤は俺の隣に座ると、俺に抱きついてきた。
ふわりと、柔軟剤と汗の匂いが香る。
「…お前は」
「え?」
「…それ」
「…俺はいいよ。家帰ったら、国村くん思い出してするから」
「…うぜえ」
大きな感覚と安らぎのおかげで睡魔が襲う。
思わずベッドに横たわる。
「眠い?」
「…ちょっと」
進藤の暖かな手が、俺の頬を撫でる。
今までなら考えられなかった事が、一度に起こりすぎてパニックになっていた。
だけど、今は不思議と落ち着いている。
進藤が俺に与えてくれようとする暖かさのせいなのか。
「…もうこんな時間。じゃあ、俺はそろそろ帰るね」
「…ん、下まで送る」
「え、いいよ!疲れちゃったでしょ?ゆっくり休んで」
「うるせえ」
重たい身体を起こして着替える。
こんなになるのは初めてだ。
頭がぼーっとして、身体もふらふらする。
「…ごめんね、急にあんな事して」
「ホントだよ。ふざけんな」
「でも、国村くんが可愛いからダメなんだよ」
「意味分かんねえ」
マンションのエントランスまで進藤を送り、俺たちは解散した。
まだ頭がぼーっとする。
…ありえねえわ。
…フェラが上手い男ってなんだよ。
「あ…」
つまり、他の男とも経験があるってことなのか?
もしくはめちゃくちゃ研究したとか?
いや…やめよう。
この頭がぼーっとしてる状態で考えても無駄な気がする。
とりあえず寝て、体力を回復させねば。
、
ただ、俺は重大な事に気づいていなかった。
軽い気持ちで家に進藤を連れていった。
それが、あんなに大事になるとはこの時の俺は知る由もない。
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