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第5話

鎧を着て、槍を手にしていて…ちょっと怖くて戸惑ったがこの人達しかいないから仕方ない。 「あの、ちょっと道を聞きたいんですが」 「…ん?何者だ?」 門番が俺の方を向いて俺は自分の住んでいる住所を聞いて、何処に行けばいいのか聞いた。 しかし、門番は突然俺の腕を掴んできて驚いた。 ブレスレットを見つめていて、掴む力があまりの強さで痛くて眉を寄せた。 「離してください!」と言ったが離してくれる気はなさそうだった。 兜で相手の顔は分からない、それが余計に怖かった。 やっと手を離したかと思ったら、館の扉が開かれて背中を押された。 後ろを振り返ると、門番が扉を閉めるところだった。 「ちょっと待って…」 「ようこそ地獄へ、悪役」 そう一言言われて、硬い扉は大きな音を立てて閉められた。 悪役?地獄?いったい何の話をしているんだ? さっきから分からない事だらけだ、俺になにが起こっているんだ? 扉を叩いたり、ドアノブを掴んで引いたり押したりしてもビクともしなかった。 内側から鍵を開ける事が出来なくて、鍵穴があった。 閉じ込められた、そう思って目の前を見ると大勢の人がいて驚いて固まった。 同じ服を着ている、制服っぽいが学校の集まりだろうか。 皆俺を見ていて、肌に視線が突き刺さってくる。 「やーっとお出ましか、悪役の分際で待たせないでもらいたいものだね」 誰かの声がエコーになって聞こえて、周りの生徒達は道を開けるように端に避けていた。 開かれた道の真ん中を歩く二人のフードを深く被った人が俺の両サイドに来て、腕を掴まれた。 引きづられるように歩かされると、奥にステージが見えた。 そこには二つの椅子があり、一つにはもう誰かが座っていた。 その人物は近付くと顔がはっきり分かり、顔が青ざめるのが分かる。 なんでここに…そんな気持ちでいっぱいだった。 「さぁ、君はこちらの椅子に座りなさい」 さっきのエコーの声は髪をオールバックした、緑色の髪のメガネの男だった。 マイクを握りしめていて、まるで司会のようだ。 フードの人達に椅子に無理矢理座らされて、フードの人達はステージ脇に行ってしまった。 隣に座る花蓮を見ると、花蓮は俺の方をチラッと見ていてチッと舌打ちをうったかと思ったらにやりと笑っていた。 花蓮はここが何処だか分かっているようだった。 花蓮に嫌われているとはいえ、この状況を説明してもらいたかった。 しかし俺の声は大勢の歓声によって掻き消された。 司会の男は、一つ咳払いをしてからステージを見ている生徒達に声を掛けた。 「さぁさぁ今年度の主役が出揃いました!」 明るく司会が始まり、注目されるのに慣れていない俺は居心地が悪かった。 そんな俺に誰も気付く事なく、話が進んでいく。 「まずは自己紹介をしましょう!可愛らしい顔だが、正義感は人一倍強い花蓮くんです!!」と花蓮の説明が始まり、まるで王様のように軽く手を振って歓声に応えていた。 もしかしてここが俺達の通う高校?花蓮も同じ高校だったし、ありえなくはない。 でも、受験受けた高校はこんな場所じゃないし…そもそも制服が違う。 花蓮は受け入れているが、俺にはまだ分からない。 「えーっと、それでこちらが度重なる悪事を働いた罪人です」

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