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第6話

俺の説明は適当だが、俺は驚いて司会の方を見た。 俺は罪人だと言われるような事は一つもしていない。 なのに、なんでこんな事を言われなくてはいけないのか。 「俺は何もしていない!」と言ったが「罪人は必ずそう言うものだ」と全く聞いてくれなかった。 何もない手から本が出てきて、手品なのか不思議な事が目の前で起こった。 本を開いたら、俺の方を見て全体に聞こえるように大きな声で言った。 「この男は罪のない同族の人間を大量虐殺を繰り返し、捕まっても看守を殺し脱獄した極悪人だ」 え……本当に何の話?俺の話じゃないよね? 見に覚えが無さすぎて、つい花蓮を見るが花蓮は俺をチラリとも見ようとしていなかった。 俺は首を横に振り「違う!!俺じゃない!!」と言っても、罵声により掻き消された。 周りの人の目が、憎悪や嫌悪に変わっていく。 俺じゃない、なんで誰も信じてくれないんだ? 唯一真実を知っているはずの花蓮は椅子から立ち上がった。 何をするのか見ていたら、俺の方を指差してこう言った。 「早く悪役を処刑してくれ!」と…… 処刑……それって死ぬって事なのか?訳の分からない罪で俺は… 俺は椅子から立ち上がり、そのままステージから降りて逃げ出した。 このままここにいたら殺されてしまう、そんなのは嫌だ。 俺が殴られて、心を傷付けられても頑張ってきた意味がなくなってしまう。 足が震える、花蓮に殺されそうになった事もあったがそれなんかよりもずっと怖い……本気の顔だ…俺を殺そうとする顔。 誰かが捕まえろと声を上げて、無数の手が伸びてくる。 なんで、なんで俺は殺されないといけないんだ?人を殺したから?…俺は人殺しなんてしていない! 手を振り払うと、ブレスレットが光って…ブレスレットに付いていた鎖が伸びてきて天井や壁に突き刺さった。 どうやって止めるか分からなくて、ブレスレットを掴んだ。 すると鎖が俺目掛けてやってきて、首に巻きついた。 一瞬、息が出来なくなり首に触れると硬い感触がした。 鎖の感触ではない、ブレスレットと同じ感触がする。 もしかして、これは首輪?ますます囚人のようではないか。 周りの人は俺から離れて、手をかざしていた。 腕を通り、手のひらが光ったと思ったら炎や水や風などが手をまとっていた。 これは……本当に手品か?まるで、魔法のようだ。 そこで手紙の中身を思い出した、エトワール魔術学園……まさか、本当に魔法使いが存在するのか? 「手足をもいで、処刑してやる!!」 腕を振り上げようとしているのが見えて、止まっていた足を動かして扉に向かった。 俺の周りに人が居なくなってくれて良かった、自由に動ける。 後ろで熱いのと冷たいのが腕に掛かって痛みに顔を歪ませるが、止まらなかった。 さっきまで何をしても開かなかった扉は、呆気なく開いた。 何処でもいい、誰にも見つからない場所に逃げないと… まだ追いかけてくる気配がする、走っても走っても枯れ木しかない。 俺は家に帰る事も出来ないのか?こんな場所で、死にたくない! 枯れ木に隠れて、身を縮ませて座り込むと走り去る足音が聞こえてとりあえずやり過ごせた。 花蓮は大丈夫だろうか、あの場で花蓮には誰も攻撃しなかったから大丈夫なのだろう。 ホッと一安心したら、目元に涙が溜まってきた。 ずっと、泣く事が許されなかった…泣いたら殴られるからだ。

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