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①:4 *微
すると。
真宵君が、瞳を輝かせた。
「──そ、そのようなご褒美……っ! よろしいのですかっ!」
この状況を見て、ボクをヘンタイだと思う人がいるかもしれない。
……だけどね? そんなボクから見たらさ。
「──あはっ。男のブツを男が咥えることの、いったいなにがご褒美なの?」
──真宵君だってよっぽど、ヘンタイだと思う。
先端を真宵君の口に擦りつけると、真宵君の瞳が一層輝く。
「なに、その嬉しそうな表情? ……萎えるんだけど?」
明らかに喜んでいる真宵君が、見ていて面白くない。
「気持ち悪い。ヤッパリやめようかな」
「そ、そんな……!」
「真宵君って、変わっちゃったよね。最初の頃なら、そんなだらしない顔しなかったのにさ」
初めて、真宵君を壊した日。
口の中に何度も何度も精液をぶちまけると、量と濃さと乱暴に口内を蹂躙された苦しさからか、泣かせてしまった。……それもそうだ。男の精液なんて、好んで口にするものじゃない。
何度も喉の奥を圧迫されれば苦しいだろうし、涙も出る。
──だけど、ボクは分かっている。……真宵君は実際、あの頃からなんにも変わっていないって。
「ボク自身で確認してほしいなら、それ相応の誠意を見せてもらわないとね~?」
真宵君はボクの顔と下半身を交互に見やって、唇を噛んだ。
それは決して苛立ったからではないというのを、ボクは理解している。
すると真宵君は突然、躊躇いなく服を脱ぎ始めた。
制服はきちんと畳み、靴も下着もなにもかもを脱ぎ捨てて。身に着けているのはメガネだけという、滑稽な状態になる。
するとその額を、土で汚れた床に擦りつけた。
「家畜の分際で、当たり前のように佐渡様の男性器をしゃぶれると勘違いしてしまった私のことを、どうかお許しください!」
──それは、美しすぎる土下座だった。
……真宵君は、どうしようもないヘンタイだと思う。
初めての時だって、そう。みっともなく、思わずこのボクが哀れんでしまうほど、シクシクと泣いていたくせに。
──彼は決して、イヤがっていなかったのだから。
ボクは冷めた目で、その土下座を見届ける。
そして、その頭を。土で汚れた靴で、強く踏みつけた。
「必死過ぎ」
「っ!」
踵でグリグリと踏みつけると、真宵君が息を呑む。
それでも、頭を動かそうとはしない。真宵君は抵抗もせず、僕の踏みつけを受け入れている。
「真宵君、そんなにボクので確認してほしいの?」
「は、はい……っ」
「ふ~ん?」
踵を押し付けたまま訊ねると、真宵君は遠慮がちに肯定した。張り切って肯定したら、ボクが萎えると思ったからだろう。
普段は頭がいいくせに、今やっていることはあまりにも幼稚。ボクに対してどう接するのが正しいのか、ちっとも分からないんだ。
……そんな、バカみたいな真宵君を見ているのが。
「──うん、いいよ」
──凄く楽しい。
「えっ? よっ、よろしいのですかっ?」
頭から靴をよけてまた椅子に座ったボクの言葉を聞き、真宵君が顔を上げる。
──その目は、期待に満ちていた。
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