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第1話 《2》
「このウサギか? 珍しいっていうピンク色の」
今日のお客様はこちらのハイエナの獣人。
このタイプのお客様は暴力ふるうのが好きな人だ。
なんとか、ご機嫌を損なわせないようにしないと。
「左様でございます。うちの店一番の人気でして……おい、耳!!」
不安になるとつい癖で自分の垂れた右耳を掴んで甘噛みしてしまう。
子供っぽいので辞めるようにと何度もオーナーに注意さていたけど無意識でしてしまうから睨まれて慌てて手を離す。
「で、こいつのミルクがどんな病気や傷をも癒すっていうのは本当か?」
「はい。疲労回復は勿論、折れた骨や持病が治ったというケースもあります。馬鹿なこいつの親はこいつの価値も分からず持て余しているからと破格の値段で売ってくれましてね」
「それで商売やっているのか。随分悪どいな。ほら、自分で服めくって俺がミルク飲みやすいようにしろ」
オーナーとゲラゲラと笑いながら指示をしてきたお客様に従って胸を出す。
「女みたいに膨らんでいるわけでもねぇ、普通の男の乳首の様だが……見られただけで尖らしてるのか? そんなに吸って欲しいのか?」
「ひっ!!」
「最近吸わせていませんでしたからね。金を出し惜しみする奴には一滴足りとも味あわせておりません」
「守銭奴ってあんたみたいなこと言うんだろうな……甘いな」
「んっ……」
右の乳首を咥えられてゆっくりミルクを吸われる間大人しくしている。
因み、ミルクを予め絞っておいてそれを他人が飲んでも効果はあるけれど自分の傷には何故か効かない。
「確かに最近の疲れがとれていく。この効果は確かにあるようだな。じゃあ次はこっちを癒してもらうか」
腕を引っ張られてお客様の足元に跪かされる。
モタモタしていると怒り出すお客様がいるから恐怖から震える身体を動かしながらスーツのファスナーを下ろす。
「お前も自分で脱げ」
「は、い……」
「上手に俺を満足させてみろ。歯はたてるなよ? 上手くできなかったら……わかってるな?」
粗相をしたら痛いことされる。
特にこのお客様は痛めつける事を楽しんでするタイプだ。
慎重にお客様のモノに手を添えてそっと舌を這わせる。
「口小さくて焦れったいな」
特有の香りと味、嫌悪感で自然に流れる涙を拭う余裕もなくお客様をイかせることだけ考える。
「もっと奥まで咥えろ」
「ぐっ……」
髪を乱暴に掴まれて無理矢理喉の奥まで咥えさせられ嘔吐いてしまう。
口から出して足りない酸素を吸い込みながら何度も咳き込んだ。
「げほっ!!けほっ……」
「誰がやめていいって言った?」
バチンと頬が熱くなるのと同時に身体が吹き飛んでいた。
肉食動物の、しかもアルファの力は強い。
頬を打たれるだけで僕の身体は支えられず倒れてしまう。
「ごめ、なさ……」
耳を捕まれ上を向かされる。
暴力を振るった後なのに笑っているのがとても怖い。
「なるほど、これは嗜虐心擽られるな」
「皆様にそう言って頂いています。親にも捨てられて訴えられる心配もありませんからね。好きに使ってください」
「フェラはあまり上手くないが色気はあるし何よりフェロモンが強い……もういいからそこで脚広げろ」
「ふぁ、い……」
ほっぺ、痛い……涙が止まらない。
四つん這いになって脚を少し開く。
「ひゃ!!」
腰を掴まれると一気に太いお客様のモノを挿れられる。
内蔵を突かれる感じが気持ち悪い。
「狭くて何だこれ……気持ちいいな」
「や……やぁ……いた……」
「知ってるだろうが俺のペニスは孕ませる為に射精するまで抜けないぞ?棘が気持ちいいだろ?」
無理矢理抜こうとすると裂けて更に痛い思いをするらしいから僕にできるのはなるべく早くお客様がイッてくれるの待つだけ。
「ぴゃ!!」
突かれる度にお尻をパチンパチンと打たれる。
「孕ましてやりてぇ……」
「やぁ!!」
「ヒートが来るまでは妊娠させられないので毎日ピルとアフターピルを飲ませています。調べた所このナリですので身体の中の方も妊娠に耐えれる様になるまで待たないと直ぐに壊れるらしく」
「確かにこのナリじゃな」
「あぁ!!」
ぐるりと身体を反対にされてお客様の顔がみえる。
顔や瞳から覗く様々な感情を見るのが嫌で後ろからさるている方がまだマシなのに。
「コイツがヒートを迎えた暁にはアルファの子供を孕んで産んでまた孕んで……壊れるまでその繰り返しですよ」
「それはそれは可哀想な事だな。そんな可哀想なウサギには俺がうんと優しくしてやろう。」
「優しいお客様でよかったな」
行為中の優しい言葉を信じてはいけないってこの10年で嫌という程思い知った。
案の定提案された言葉に僕はドン底に落とされる。
「噂によるとお前とのおいかけっけは相当楽しめると聞いたんだが部下たちも呼んで遊んでやろうか?」
「や!!……あれは、いや……ゆる、して……」
「走れないお前を追いかけるのじゃ醍醐味がないな。体力回復するまで待ってやるが、その前にもう少し付き合え」
おいかけっこするのは決定なんだ……こ、わい……やだ……
おいかけっこは文字通りお互い獣型になり僕が逃げてお客様がおいかける。
捕まったらそのまま犯される、おぞましい遊び。
逃げても敷地の外に逃げれる訳じゃないし身体も痛くてそんなに走れない。
獣型だと人型の時より体格差は大きくなり受け入れるのが苦痛を伴うけどオメガ故に受け入れる身体ではあるみたい。
こんな身体、望んでいないのに……
「それにしても、こんなに気持ちいい穴は初めてだ……一度イッてからと思っていたが、うっかり獣型になりそうだ」
「や!!……まっ、て……」
僕達獣人は獣型で産まれる。
そこから成長して初めて人型になる。
小さい頃に自分の意思で変われるようになるけれど感情が大きく刺激された時無意識に獣型に変わってしまうことがある。
僕も痛かったり急に脅かされたりすると無意識に獣型に変わってしまうことはあるけれど、気持ちよくて変わった事は一度もない。
今お客様に獣型に変わられてしまったら僕が辛い。
「はや、 く……イッて……」
僕の願いも虚しく、お客様が獣型のハイエナに変わる。
『 グルッ……』
「い、たい……」
伸びた爪で身体を押さえられ鋭い牙で腕や脚を噛まれ身体を揺さぶられる。
もう、嫌だ……
僕は一生このまま、ここで犯され、傷つけられ、アルファの子供を産むだけの道具として生きていくのだろうか。
神様、一生はあとどのくらいですか?
もう半分は終わっていますか?
「オーナー!!」
「なんだ、ノックもなしに!! お客様がいらっしゃるんだぞ!!」
「国王軍の摘発です!! し、しかも、王自ら!!」
急に部屋が、店全体が騒がしくなったのだけど体力が限界だった僕は状況が把握できていなかった。
『動くな!!』
聞き覚えのない、それでも朦朧としていたはずの僕の耳に入ってきた声。
その声がした方を見ると……獣人の王様、ライオンが唸り声をあげていた。
普段の僕なら他人は怖い存在。
今は何やら怒っているようだから余計。
それでも、怖さよりも別の感情が浮かんだ。
「おひ、さま?」
いつも監禁されている部屋から見上げるだけだった遠いとおい太陽にみえた。
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