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第2話《1》
「おはよう、ルー」
生まれて初めて、朝が来た事を嬉しく思った。
「ライアンさん……おはよう、ございます……」
ライオンさんで王様のライアンさん。
僕に『ルーク』という名前をくれた。
ライアンさんに「ルーク」とか「ルー」って呼んでもらう度に嬉しくなる。
「あ……腕……ごめんなさい……」
一緒のベッドで寝かせてもらえるだけでも有難いのに、寝ているうちにライアンさんの腕に頭を乗せて寝てしまっていたみたい。
ライアンさんの身体に包み込まれる体勢で安心できるけれど長時間乗せていることで腕が痺れてしまったら……
頭を退けてスリスリとライアンさんの腕をさする。
「僕が起きるの遅かったから……ライアンさん、起きれなかった……ですよね……ごめんなさい……」
「ルー……謝らなくていい」
申し訳なくて下を向いていた僕の頭にそっと手を乗せて撫でてくれた。
ライアンさんの手は大きくて温かい。
「ルーは羽根のように軽いから腕も痺れていない。起きていないのだって可愛いルーの寝顔を堪能していたんだ」
「かわ、いい?……でも僕、夜もライアンさん起こしちゃった……」
お店に居た時の夢をみて、また嫌なことされてライアンさんと会えたことの方が夢だったのかと怖かった。
怖くて眠りながら泣いていたらライアンさんが起こしてくれて大丈夫だと抱き締めてくれながら身体を撫でてくれた。
「ライオンは少しくらい睡眠が少なくても問題ない。今ルーに大事なことは良く寝て良く食べて良く遊ぶ事だと言っただろ? ルーが安心して眠れるならそれに越したことはない」
「……迷惑ばかりかけて、ごめんなさい」
こんなに優しくしてくれるライアンさんに迷惑ばかりかけて嫌われちゃったらどうしよう。
癖で耳を噛んでいるとライアンさんにそっと口から離すように促され口を離すと毛並みを整えるように撫でてくれる。
「迷惑だとは思っていない。俺がしたい事をしているだけだ。嫌なことがあった時は教えてくれるか?」
嫌な事はない。
僕には勿体なさすぎて……
「ルーが気に病むことは無い。それでもどうしても気になるなら『ごめんなさい』ではなく『ありがとう』というのはどうだ?」
『謝罪』ではなく『感謝』
今まで圧倒的に謝る事が多くて自分では思いつかなかった。
そっか……まずは感謝を伝えなきゃいけないよね。
「ライアンさん、ありがとうございます」
「よくできました」
優しくしてくれるライアンさんに感謝の気持ちを伝えたくて目を合わせて言うと正解だというように褒めてくれた。
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