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第3話《2》

「俺の背に乗せてもいいのだがまだルーの体力が完全に戻っていないので途中で落ちたら不安だからな。馬に乗って行くが怖いか?」 朝食を食べて初めて宮殿からお城に繋がる回廊に向かいそこから外に逸れる。 本当なら警備の人が立っているそうだけど今の時間だけ見えない場所に移動してくれてるそうだ。 「お馬さん……見たこと、ない」 僕達獣人とは別に人の姿に変わらない動物たちがいるのは知っている。 もちろん会ったことはないけれど。 ライアンさんに手を繋いでもらっていたけれど初めての場所で落ち着かずキョロキョロ周りを見渡しているとエリオットさんが白い動物を連れて歩いてきた。 「エリオットさん……」 「ライアン様、エリーをお連れしました」 手網をライアンさんに引き渡すと白い動物がライアンさんの身体に顔を擦り寄せた。 びっくりして思わずライアンさんの後ろに隠れてしまった。 「びっくりしましたね」 エリオットさんがしゃがんで僕と目線を合わせてくれる。 「彼女はライアン様の愛馬でエリーと言います。ライアン様以外は絶対乗せなく気が強いのでここまで連れてくるのも大変でした」 「俺の本性がライオンだから他の馬は恐れて乗せてくれない。扱いにくいかもしれないが賢い子だ」 顔だけだしてエリーさんを見上げる。 真っ白で綺麗な毛並み。 気が強いってエリオットさんが言っているけれど暴れる事はなくしっかりと立っている。 「こん、にちは。初めまして。ルークです」 言葉はわからないけれど優しそうなエリーさんの瞳に励まされて挨拶をした。 すると一歩近づいて顔を近づけてくれたからそっと撫でさせてもらった。 「今日はエリーに乗せてもらって出かけよう」 「でも……エリーさん、ライアンさん以外乗せたくないって……」 嫌なのに無理矢理乗ったら申し訳ないからと断ろうとするとエリーさんがグイグイと身体を押し付けてくる。 「ほら、ルーには是非乗って欲しいと言っているぞ」 「……ほんと?」 そうだよ、と返事の様に鳴いてくれた。 ライアンさんがエリーさんの鞍に片足をかけて(足を乗せるところは鐙って言うんだって)乗るとエリオットさんに脇の下に手を入れて持ち上げられた僕を引き上げて乗せてくれた。 「わぁー……高い」 「怖いか?」 優しいエリーさんだし何よりライアンさんが後ろから抱きしめてくれている。 首を横に振るとゆっくりと歩き出した。 「何かあれば呼びに来てもいいが今日はルーとゆっくりしたい。どうしても、という時だけにしろ」 「かしこまりました。ルークにこれを……」 エリオットさんから帽子を受け取ってライアンさんが被せてくれる。 僕の頭にピッタリだ。 「日に当たりすぎると良くないので」 「ありがとうございます、エリオットさん」 「楽しんで来てください」 「はい」 嬉しくて頷くとエリオットさんが笑ってくれてライアンさんもほっぺを撫でてくれた。 きっと僕、笑えてたんだね。 走るエリーさんはとても早くて、あっという間にお城が遠くなっていく。 天気がよくて綺麗な青空。 僕一人じゃ見られなかった景色。 エリーさんのスピードがゆっくりと落ちていく。

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