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第3話《3》

「到着だ」 エリーさんが足を止めるとライアンさんが地面に降りて僕を降ろしてくれた。 「そこの丘を越えた先だ。少し傾斜があるがゆっくりでいい。ルーのペースで歩こう」 「はい」 急な傾斜ではないし距離も長くないけれど珍しい外の風景に目移りしてしまって何度か躓いてしまう。 その度に手を繋いでくれていたライアンさんが支えてくれた。 「ごめんなさい……」 「ルーが喜んでくれているのが嬉しい。怪我はさせないから気にしなくていい」 「……ありがと、ございます」 ギュッと手に力を入れると握り返してくれる。 転ばないように下もみて少し大きめな石を避けて…… 「さあ、ここだ。よく頑張ったな」 ライアンさんの足が止まり僕も足を止めて顔をあげる。 「……黄色い、太陽がいっぱい……」 目の前に現れたたくさんの黄色い太陽。 お空を見上げると太陽はちゃんとそこにあって、でも僕の目の前にも太陽があって…… 「これは、この国の国花で『ひまわり』。他国では太陽の花と言う意味で『サンフラワー』と呼ばれている所もあるそうだ。庭で花を楽しそうに見ていたのでこのひまわり畑をルーに見せたかったんだ」 ライアンさんが教えてくれた様に傍に寄ってみると黄色い花びらがついていて太陽に似たお花だった。 太陽に似ているからライアンさんにも似たお花。 黄色い花びらはライアンさんの綺麗なブロンドの髪。 しっかり真っ直ぐと高くたくましく咲いていて、そこにあるだけで太陽の様な暖かさが伝わる所もライアンさんと同じ。 一瞬でこのひまわりというお花が大好きになった。 「あまりにも身近にありすぎて俺の宮殿の庭には植えていなかった様だがルーが気に入ったのなら来年は種を蒔いてみるか?」 「……うん!!」 当たり前の様に来年も一緒にいることを前提でお話ししてくれて、なんだか胸の辺りがポカポカする。 「小さい頃は自分の身長より高いひまわりに囲まれていると迷路を迷っているようだったが、今見ても壮大だな」 「ひまわり、少しもらってもいいですか? エリオットさんにお土産……でも可哀想かな」 「エリオットも喜ぶだろうし花も愛でてもらえれば本望だろう。好きな物を選んでやれ」 「はい」 1本いっぽん見たいけれどひまわり畑が大きすぎて僕の足では時間がかかってしまいそうなので諦めて何となく気になる方に向かって歩き出す。 綺麗で大きなひまわりを何本か選んでいると少しだけ空間が空いてる場所にたどり着いた。 「あ、れ? これ……」 そこに一本だけ咲いていたのは小さなピンクのひまわりだった。

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