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第3話《5》
それから小さな湖の近くに移動してシートを敷いてエリオットさんが作ってくれたお昼の準備をした。
外で食べるから食べやすいようにサンドイッチやご飯を三角に握ったおにぎりを用意してくれた。
サンドイッチの具もジャムやハムの他にたまごやかつが入ったもの、イチゴやバナナなどのフルーツが入ったものなどたくさんの種類がある。
おにぎりの具もツナマヨ、おかか、昆布など。
ここ数日で僕が食べられた物ばかり入れてくれた。
ライアンさん用の物よりも小さく作ってもらった方が僕用の物。
直ぐにおなかいっぱいになってしまう僕が色々な物を食べれる様にっていうエリオットさんの優しさ。
「ルー、疲れていないか?」
敷いたシートは大きいけれどライアンさんとくっついていたくて傍に座ると膝の上に乗せてくれた。
「ん……だいじょぶです……楽しい。ご飯も、いつもより食べられそう」
「それはよかった」
次はどれを食べようかな?
そう思っているとライアンさんが食べていたおにぎりの具が目に入って。
小さな丸くて赤い食べ物で初めて見る物だった。
「これ、なんですか?」
「ああ、梅干しか。これは好き嫌いがあると思ってエリオットもルーの物には入れなかったんだろう……味見してみるか?」
梅干しを指で摘んで僕の口元に近づけてくれた。
「うめぼし……ぴゃっ!?」
少しだけ噛んで見るとあまりの酸っぱさにびっくりして耳までぴょんと立ってしまった。
「悪い悪い。ルーは苦手か?」
僕の反応をみてライアンさんが可笑しそうに笑っていた。
お店の人たちみたいな僕の事をバカにした笑いじゃなくて……何だか別の温かい気持ちがこもった笑い。
「ごめんなしゃい……」
「俺やエリオットは好きで食べるが苦手な者も多い。無理して食べることはない」
梅干しを自分の口に入れてからゴソゴソと籠を漁ってデザートのイチゴを一つ摘む。
「口直しに」
「あ〜んっ」
同じ赤い食べ物でもイチゴは甘くて美味しくて、初めてショートケーキを食べて以来大好きになった食べ物。
「あまい……」
「すっかりイチゴ好きになったな」
「うん」
この前は好きな物聞かれても答えられなかった。
でもこの短期間で少しだけど知れたものもある。
「腹が膨れたら眠くなるなー」
昼食とデザートのフルーツをたくさん食べ終えてゴロンと寝転んで空を見上げるライアンさん。
おいでというみたいにトントンと隣を叩いたので隣に横になった空を見上げる。
温かい日の陽射し、綺麗な風景。
そして一番安心できる人が隣にいてくれる。
そう思うといつの間にか眠ってしまった。
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