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第4話《1》

「おはよう、ルーク」 「……おはよ、ございます。ライアンさん」 今日はライアンさんのお仕事で泊まりがけで出かけることになっていた。 近くに海があって見たことがない僕にみせてくれる為に宿泊場所も海の傍でライアンさんのお仕事している間エリオットさんと待っていることになっている。 移動もエリオットさんの運転で車の移動。 人が怖い僕のために他の人たちとは別の車で3人だけだから緊張しなくていいと気を使ってくれた。 車に乗るのも意識がある時では初めてだから(お店から助けて貰った時も乗ったみたいだけどずっと気を失っていたから)すごくドキドキしている。 昨日も色々考えていたらなかなか眠れなくて……だからかな? なんだか瞼が重くてなかなか起きられない。 準備遅いから、早く起きないと待たせてしまうのに。 「ルー?」 「ごめ、なさ……今、おき……ます」 「……」 ライアンさんの大きな手が僕の頬を触り顔が近づく。 ぼーとしているとそのままライアンさんのおでこが僕のおでこがくっついた。 「……熱いな。エリオット、体温計持ってきてくれ!!」 隣の部屋に待機してるエリオットさんに向かって声をかけるとベッドに座り直して頭を撫でてくれる。 「38.3℃。ウイルス検査は問題ないので今までの疲れがでてしまったのでしょう」 検査をしたり心音や喉の腫れを確認してくれたエリオットさんが診断した結果。 熱あるから身体、ダルいんだ。 冷たいタオルをおでこに乗せてライアンさんが布団を直してくれた。 「車での移動だがこの熱だとしんどいだろう」 「ええ、残念ですが……」 「お前、残るか?」 「もちろんです。ライアン様の車や警備の変更の指示を出してきます」 2人が短時間で話しをまとめるとエリオットさんが部屋から出ていく。 「ルー」 「ライアンさん、僕大丈夫だよ? 少しぼーとするけど、お店にいた頃もこのくらいだと動けてた。だから、いっちゃダメ?」 初めての海は楽しみだ。 でもそれよりも、その場所は遠いから一泊する。 だから今日ライアンさんは帰って来られない。 そんなに長い時間ライアンさんと離れていた事がなくて、不安で…… 「ルーク……俺も出来るなら一緒に連れていきたい。でもその為にルーに苦しい思いをさせたくない」 「…………」 優しいライアンさんの手が耳を撫でて髪を撫で頬を撫でてくれる。 「……ワガママいって、ごめんなさい……僕、ちゃんとお留守番してる……」 「我儘なんかじゃない。ルーはもっと我儘を言って俺を困らせるくらいしてくれていい」 頬をスリスリされるとライアンさんの耳が顔を擦ってふわふわで気持ちいい。 「なるべく早く戻れるようにする。海は今度ゆっくり行こうな……何か欲しいものはあるか?」 大丈夫の意味を込めて首を横に振るとおでこから落ちたタオルを一度水に濡らしてきちんと絞りまたおでこにのせてくれた。 「何かあればすぐにエリオットに言うんだぞ」 「……はい」 ライアンさんと明日まで会えない。 寂しい……けど、言っちゃダメ。 困らせちゃ、ダメ。 「……ルーの体調が早く治るように、おまじない」 「……ライアン、さん?」 ゆっくりとライアンさんの顔が近づいてきて優しく唇に触れて離れていく。

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