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第4話《3》
チクタクチクタク、静かな夜に時計の音だけが響く。
ライアンさんと一緒に初めて眠ったあの日から毎日ずっと一緒に寝てもらっていたから一人で夜過ごすのは久しぶりだ。
全然眠れない。
「ライアンさん……」
少ししか離れていないのに、ライアンさんに会いたい。
ベッドから降りて少しウロウロしてライアンさんのシャツを見つけた。
大きなシャツ。
ギュッと抱き締めるとライアンさんの香りがした。
「うー……」
ライアンさんのことを考えると会いたくて……目頭が熱くなる。
……さっき読んでもらったシンデレラ。
その中に『継母と義理姉に虐められてシンデレラは毎晩泣いていました。優しかった亡くなった父親と母親に会いたくてたまらなかったのです。「どうして私をおいていってしまったの。寂しい。お父様とお母様に会いたい」』っていう所があった。
きっと今の僕と同じ気持ち。
「さび、しい……ライアンさんに、あいたい……」
涙が溢れそうになるけれど右耳を引っ張って噛んでどうにか耐えようとする。
ライアンさんに、ちゃんとお留守番するって約束したから。
……そういえば、こうするのも久しぶりかも。
ライアンさんに会ってからずっと心がふわふわしている。
不安に思うことも少なくて、生まれて初めて心穏やかに過ごせている。
「ライアンさんのシャツ、羽織ったらライアンさんに抱きしめられている気分になって落ち着くかも……」
抱きしめていたライアンさんの香りのシャツを広げて腕を通してみる。
僕より大きな身体のライアンさんのシャツだから腕はでないし脚も半分以上かくれてしまう。
全身しっかりライアンさんの香りに包まれると安心してちゃんとお留守番できると思った、のに……
「……もっと、さびしくなってきちゃった……ライアンさんに、あいたいよぉ……」
我慢していた涙が次から次へと溢れてくる。
ライアンさんのシャツだから汚しちゃダメなのに、ライアンさんの香りがしているので離すことが出来ない。
留守番もちゃんできないし服も汚してしまって情けなくて、申し訳なくて……
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