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「っ、ノ、クシャスさ……ッ、ん……ッ」  名前を呼ぼうとして、その先は唇を塞がれて言葉にすることはできなかった。  大きく、分厚い手のひらに首を掴まれそのまま深く唇を貪られる。咥内いっぱいに広がるアルコールは喉から腹の底へと落ちていき、粘膜中に染み込んでは意識を朦朧とさせてくる。 「っん、む……ッ、ぅ゛……ッ」  乗り上げてくるノクシャス。その体重に圧迫され、息苦しさで呼吸をしようとすればするほどアルコールはどんどん侵食してくる。  長い舌に咥内の粘膜を舐られ、そのまま喉奥まで犯される。ぐちゃぐちゃと品のない音を立て唾液は混ざり合い、粘膜同士を絡められるのだ。 「は、ぁ……ッ、ん、うう……ッ」 「はー……ッ、小せえな……どこもかしこもうっかり潰してしまわねえようにしねえとな」  首を撫でられ、そのまま唇から漏れる唾液を舐められる。ぜえぜえと胸を上下させ、呼吸を繰り返そうとしたとき。ノクシャスの硬い膝が腿の隙間へと入ってくる。 「っ、ぅ、あ……ッ!」  そのまま足を割り開かされ、酒でじっとりと濡れていた下着ごと剥ぎ取られる。剥き出しになった下半身を隠す暇もなく、ノクシャスに腿を掴まれそのまま顔を埋められた。  腿に残った酒を舐められ、そのまま噛み付かれる。食い込む歯の痛みにびくりと震えれば、そのままリップ音を立てて太腿に跡を残される。 「っ、ひ、う……ッ」  ノクシャスの指が、唇が、徐々に下半身へと近付く。先走りでどろどろに濡れた性器を見てノクシャスは鼻で笑う。そして、それを掴んだままノクシャスは開いた腿の更に奥、まだ完全に閉じきっていない肛門へと触れた。  先程までモルグとの性交の跡がまだ色濃く残ったそこをノクシャスに触れられ、羞恥のあまりに「待ってください」とノクシャスの腕にしがみつく。しかし、無論ノクシャスが俺の制止など聞く耳を持つはずがなかった。 「暴れんじゃねえよ」と体を抑え込まれ、そのまま開いたそこに指をねじ込まれる。  太く、長く硬い指先は最早異物に等しい。けれど、柔らかくなったそこにはノクシャスの指は丁度良い。 「っ、ん、ぅ……ッ!」  関節の骨が内壁を押し上げる都度、頭の奥がじんじんと痺れる。指を二本、三本と追加され、容赦なく根本までねじ込まれれば「ん゛ぉ゛」と汚い声が漏れ、腰がびくんと跳ね上がった。 「っ、の、ぐ、しゃ……ッ、ひ、ぅ゛……ッ」 「……いきなりブチ込んでうっかり壊れちゃ堪んねえからな。わざわざ俺が慣らしてやってんだろうが」 「オラ、感謝しろ」と片方の手で尻たぶを揉まれる。尻の肉に埋まる硬い指先にねっとりと円を描くように揉まれながらも更にもう片方の手でぬちぬちと腹の奥をばらばらの動きで弄られる。指を出し入れされる度に前立腺を掠め、その都度脳髄がどろりと溶け出すようだった。 「あ、ぁ、ありがとぉ……ございまひゅ……ッ!」 「声が小せえな」 「うあ……ッ、ひィ……ッ!」  激しさを増す責めに無意識の内に腰が浮いていく。緩急つけて前立腺を指先で揉みながら、閉じようとする内壁の筋肉をこじ開けられていく。絶え間なく快感のツボを圧され続けているような感覚だった。  呼吸は浅くなり、カクカクと震える下腹部は前の刺激を求めようとし、気付けば俺はノクシャスの体に自分のものを擦りつけていた。  そんな俺の痴態を見て、ノクシャスは凶悪な笑みを浮かべるのだ。触れてほしくてたまらず、汁を垂らし続ける性器をわざと触れないようにし、その代わりにというように前立腺を転がす。  それだけで尿道口からは更にとろとろと半濁の体液が滲み、垂れる。 「っ、くしゃす、しゃ……ッ、も、お腹、苦し……ッ、ぉ、俺え……ッ」 「こんくらいで弱音吐いてどうすんだよ。これ、挿れるんだろ」 『これ』とノクシャスは俺の股の下、固く勃起したそれを取り出すのだ。そしてケツの下、剥き出しになった尻の谷間にびたんと押し付けられるその性器の熱に驚いて跳ね上がる。  振り返れば、開いた自分の尻の谷間から覗く赤黒い亀頭にごくりとツバを飲んだ。 「ぁ、あう……ッ」 「挿れるんだよなァ?」  ぺちぺちとわざと性器やアナルに当たるように性器を押し付けられ、触れた箇所から伝わるノクシャスの熱と鼓動、そして硬さに目の前がぐるぐると回り出す。  以前フェラしたときの記憶が蘇る。先っぽを口に咥えるのも精一杯のそれが俺の中に入るとは思えなかった。それでも、この太くて長い性器が全部体内に収まり、長いストロークで内側からごりごりとカリで掻き回される。そんな想像をしては、口の中にじんわりと唾液が滲んだ。 「っ、ぉ、れ……俺ぇ……ッ」 「ああ? んだよ、まだ酒足んねえみてーだな」 「って俺はステーキじゃな……ッ、んむ゛……?!」  新たにボトルを開け、それを自分の口に流し込んだノクシャスはそのまま俺の顎を捉えて深く口付ける。 「ん、う゛……ッ! む……ッ、ふー……ッ」  ぢゅぷ、ぢゅぽ、と人体から発されるべきではない音を立て、腹の奥までアルコールが流し込まれる。ただでさえ火照っていた器官はアルコールが通ると更にその熱を増させるのがわかった。そのまま舌を絡み取られ、その下、散々弄られすっかり口を開いたそこに亀頭を押し付けられる。  亀頭からしてもう常人のそれとは違う、子供の拳くらいはあるのではないかと思うほど太いその亀頭の感触に背筋が恐怖で震えた。柔らかくほぐれたそこを二本の指で大きく広げ、亀頭を引っ掛けてくるノクシャス。わざと焦らして遊ぶみたいに、ノクシャスはそのまま俺の肛門に亀頭を擦りつけ、滲む先走りを塗り込んでくるのだ。 「は、ふ……ッ」 「……っ、ふ、いいツラになってきたじゃねえか、良平」 「っひゃ、ひ……ッ、はへ……ッ」  目の前が、視界の縁が赤く染まっていく。脳に広がる靄は先程よりも濃度を増していた。  呂律だけではない、意識や理性すらも最早怪しかった。ノクシャスに唇を吸われ、しまうことを忘れていた舌を絡め取られ、愛撫される。そのときにはもう抵抗する力すらも残っていなかった。  ノクシャスに腰を掴まれ、そのまま固定されたそこへと腰を押し付けられる。瞬間、先程まで尻の谷間を張っていたその性器、亀頭がぐぷ、と肛門に埋まった。  あ、と思ったときにはなにもかもが遅かった。  目の前のノクシャスが笑ったのと、腹を突き破るほどの衝撃のあまり意識が途切れるのとは同時だった。

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