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13※
「っ、う゛、ふ……ーー〜〜ッ」
内側から圧され、視界が赤く染まる。
自分の下半身を見ることすらも恐ろしかった。肛門を引っ張られ、広げられる。どれほど深く刺さっているのか、もしかしたら先っぽだけなのかもしれない。
逃げようと身動ぐが、ノクシャスに腕を手綱のように引かれれば、更に深く沈むにつれ内壁が裏返ってしまっているのではないかとすらも思えた。
「っ、ぉ゛……ッ、……ッ、そこ……ぉ゛……ッ」
「……ッ、浅ぇな……こんなんじゃ全部入んねえぞ」
「っ、う゛、ひ……ッ、ぅ゛……ッむ゛り、むりれ……ひゅ……ッ」
「何言ってんのかわかんねえよ」
ずん、と更に突き上げられ、声にならない悲鳴を上げた。仰け反った胸元に顔を埋めたノクシャスに、ツンと突き出た乳首を噛まれる。下半身、内部を責められながら同時に乳頭を責められれば頭がどうにかなりそうだった。おのこふほた
「……っの、くしゃ、す、しゃ……ッ、ぁ゛……ッ!」
一応は気を使ってくれているのだろうか。乱暴に挿入されれば本気でケツの穴の形がおかしくなって二度と戻らなくなってしまう。そんな危機感があったが、ノクシャスは無理やり突き上げることはしなかった。
ガクガクと震える腰を捉えられ、必死に異物を拒もうとすればするほど余計ノクシャスの性器を締め付けてしまい、より鮮明に脈打つ性器の形を感じてしまう。
「っ、ふ、ぎ……ッ」
微かな振動すらも増長される。恐怖と性的興奮が混ざり合い、どうにかなってしまいそうだった。
そんな俺を見て、ノクシャスは舌打ちをした。
「っ、良平お前、締め付け過ぎだ」
「ッぅ゛、あ」
「……っ、は……根本まで突っ込みてえ」
「良平」と胸元、乳首を甘く噛まれ、下腹部がきゅっと震えた。まるで胸と中の神経が繋がっているみたいだ、乳首の先っぽを弄られると奥がじんじんと痺れてくる。
途中まで入ったまま、体感すでに奥まで突っ込まれているのだと思ったが、実際はどうだ。まだ竿の半分すらも入っていない。
「っ、む、り……ッ」
「あ゛ー……テメェがボスの弟じゃなけりゃあ、どうしようが咎められなかったんだろうがな……ッ、くそ、イライラする……ッ!」
「っ、待っ、う、ごかな……ッ、ひ、ぃ゛……ッ!」
亀頭の凹凸の部分まで腰を引かれ、浅い位置で性器を出し入れされる。短いストロークで前立腺を亀頭で擦られ、下腹部に微弱な電流を流され続けるようなそんな感覚に陥る。逃げようとすれば、腰を掴まれる。
「っ、う゛……ッ、うぅ〜〜ッ」
「……おい、発情期の犬見てえな声ばっか出してんじゃねえよ。余計クんだよ」
そういうノクシャスの性器はドクドクと脈打ち、体内で更に大きくなっていく。勘違いなどではない、動かないでもらえればそろそろ呼吸できるまでくらいは取り戻せると思ったのに、先走りを塗り込むようにぐちゅぐちゅと浅いところを亀頭で擦りつけられ自分のものとは思えないような声が漏れた。
「ッ、ぅ、ぐ、ひ……ッ、う……ッ」
拡張され続け、徐々に奥までゆっくりと肉壁を掻き分けて侵入してくる性器。無理だって言ったのに、手加減しながらも更に奥へと腰を進めてくるノクシャスに堪らずしがみつく。
「っ、の、くしゃす……さ……ッ」
これ以上は無理です、と小首を横に触れば、確かにごくりとノクシャスの喉仏が上下した。
「テメェは……ッ、……」
そしてノクシャスがなにかを言いかけた矢先だった。指が食い込むほど強く、ノクシャスの大きな手に腿を掴まれた。そのままソファーの座面の上、大きく股を開かされた状態で腰を持ち上げられる。開いた股の間、限界まで引っ張られ捲りあがった結合部が丸見えになる。
見たくないのに、頭を埋め込んだノクシャスのものから目が逸らせなかった。そのままノクシャスは息を吐く。その呼吸に合わせて脈がどくんどくんと流れ込んできて、混ざり合う。
「ぉ゛……ッ、あ……ッ!」
そして限界まで引き伸ばされたあとは受け入れることしかできなかった。
下腹部を掴まれたまま、ノクシャスのものが入ってきた。頭に血液が流れ込んでいく、そんな甘い痺れに溺れ目の前が白ばむ。開いた口から声を殺すことなどできなかった。
苦しくて、怖い。痛いはずなのに、次第に感覚が麻痺していく。性器の太い管からどくんどくんと血液が流れ込んできて、溢れる先走りを塗り込むように更に沈んでいけば獣のような声が漏れた。
湯船に使っているわけでもないのに逆上せているようだった。ふわふわとした意識の中、ただ中に挿入された性器の感覚だけが鮮明だった。
一秒すら長く感じた。ノクシャスから逃れることは出来ないとわかってても、逃げようと動く腰を引き寄せられ、そのまま俺の体を掴むように腰を進めた瞬間。
「――ッ、ぉ゛」
ぶつんと、頭の奥、辛うじて保っていた糸はノクシャスによって断ち切られる。
まだ全て収まってるわけではないのはわかっていた。そもそも俺の体はノクシャスのように恵まれているわけではない。限界はある。
あるのだ。
ノクシャスの性器の形に膨らんだ腹部。人体の構造的にも行き止まりとされているそこを亀頭で押し上げられた瞬間、俺は確かに気を失っていた。
それもほんの一瞬のことだ。
「っ、クソ! やっぱ狭えな……ッ、おい、少し力抜け……ッ!」
「……――ッ! ……ッ、――〜〜ッ!!」
ずん、と下腹部から突き上げてくるその衝撃のあまり体が大きく跳ね上がる。そこで意識は現実へと引き戻された。
ぐち、ぐちゅ、と音を立てて、突き当りの閉じた口を何度も亀頭で押し上げられる都度息が止まりそうになった。
逃げたいのに逃れられない。それどころか、ぐっと窪みへと亀頭をねじ込まれればカリが引っかかり、出し入れの都度下半身が跳ね上がった。
苦しいのに、逃げ場がないほどの圧迫感に強制的に追い込まれる。頭の奥がじんじんと熱くなる、下腹部も、胸も。一方的に与えられるあまりにも強い刺激と快感になにも考えられなくなる。
「……っ、聞こえてねえな……っ、たく……っ」
そう、腹の中でノクシャスの低い声が響いた。
そして次の瞬間、更に腰をぐ、と押し込まれる。脳天から爪先まで駆け抜ける快感に耐えられず、ぴんと伸びた体をノクシャスの腕でがっちりと抱き込まれた。
「ん゛ぉ゛……ッ!!」
「……ようやく戻ってきやがったか……っ、おい、言ったそばからまたトんでんじゃねえよ……っ!」
「っ、ぁ゛ッ、ぉ……ぐ……ッ!」
「っ、息、止めてんじゃねえって。おら、口開けろ」
「っ、ぉ゛ッ、んむ゛……っ!」
顎を掴まれ、唇を塞がれる。太い舌先で唇を舐められ、挿入される。喉の奥までこじ開けられ、空気を押し流されるのだ。
白かった世界に次第に色が戻ってきた。太い舌を絡められ、俺はそれに身を預ける。奥をぐぽぐぽ慣らすように優しくじっくりと形を覚えさせるように、ノクシャスにキスをされ歯を舐められれば段々自分が愛されているような、そんな錯覚に陥っていく。
「ッ、フーッ、ぅ゛……ッ!」
恋人のように抱き締められ、直腸までこじ開けられる。ノクシャスの手によって開かれた腿は負荷に耐えられず痙攣していた。
それでも痛みは和らいでいた。慣れてきたのか、わからない。それともとっくに体の一部がぶっ壊れてしまったのか。はたまた脳内物質のお陰だろうか。
ノクシャスにきつく抱き締められて奥を愛撫されると、息苦しさはあるものの内側と外側から圧迫されることに快感を覚えつつあった。
覚え込まされるように歯の表面、顎裏までたっぷりと舐められ、呼吸が整う。
苦痛がなくなれば次になにがくるのか、俺はそれを知っていたはずだ。はずなのに。
気付けばノクシャスから逃げるということを忘れていたのだ。
それが自分の首を締めることになるとわかってて、その背中にしがみついて必死にキスに応えようとしていた。
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