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06※
「ん、ふ……っ」
「……っ、良平」
顔に熱が集まっていく。ふわふわとした意識の中、体温が溶けて混ざり合っていくようだった。
恋人みたいにキスをされ、抱きしめられ、あっという間にシャツの前を開かれる。
直接素肌に触れてくる指先が熱くて、堪らず声が漏れそうになった。
「っ、ん、ぅ……っ」
「良平。昼間の話だけど」
「ん、は……はい……」
「なあ、初めてはどんなだったんだ?」
胸を柔らかく撫でられ、ぴくりと全身が震える。胸筋から胸の先端まで、指の腹でつうっとなぞられ喉の奥から小さな声が漏れそうになった。
「そ、れは……っ」
「気持ちよかったのか?」
昼間の会話、てっきり忘れられたものだと思っていただけによりによってこんなタイミングで掘り返してくるなんて。
それとも、こんなタイミングだからだろうか。
指の腹で、膨らんだ乳輪から根本の際際の部分を優しく円を描くように撫でられる。それだけで全身の神経は望眼に触れられるその一点に向けられてしまうのだ。
より一層触れられないそのつんと尖った中心部を意識してしまい、じわりと汗が滲む。
「い、言えないです」
「は、酔ってても駄目か。……正直、すげー興味あるんだけどな」
「ん……っ、望眼さん……」
「誰がお前をこんな風にしたのか」
どういう意味なのか、と望眼を見上げたとき。指先が乳頭を掠め、上体がびくりと震えた。
ただ触れただけ。そう思ったが、再び両胸を揉むような形で鷲掴みにされ、ひくりと喉が震えた。
「ぁ……っ、も、ちめさ……っん」
嫌な予感がして、望眼を止めようと視線を向けたとき。望眼と目があった。目があい、「その反応」と望眼は小さくつぶやく。
「男の喜ばせ方、よく知ってんな」
「っ、うぁ……っ!」
ずっと触れられたくてうずうずしていた胸の先っぽを柔らかく掻かれただけで、堪らず声が溢れた。そんな俺の反応に「そういうの、可愛い」と望眼に囁かれてより一層全身が熱くなる。
「っ、ん、う……っ」
「良平、お前胸いじられんの好きなのか?」
「ぅ、す、き……です……っ」
「正直すぎだろ」
「っご、めんなさ……っ、ん……っ!」
呆れたようなその声に恥ずかしくなって声が上擦る。望眼さん、と続けようとするがその先の言葉は出なかった。
そのままぐり、と乳輪へと埋めるように突起部分を捏ねられた瞬間声が漏れる。
「じゃあ、もっと弄ってやるからな」
そう舌なめずりをした望眼は維持の悪い顔をしていたのを俺は見逃さなかった。
待ってください、と止めるよりも先に、右胸に顔を埋める望眼。その前髪の感触に震えるのも束の間、敏感になっていた乳首に吐息がかかり身動ぐ。瞬間、口を開いた望眼に乳輪ごと咥えられた。
「ぁ、あ……っ!」
望眼の口の中は熱くて蕩けそうだった。乳輪から突起へと、ねっとりとまとわりついてくる舌の動きはより鮮明に伝わってきた。
逃げようと背を仰け反らせるが、ベッドの上では思うように動けない。濡れた音を立て、敏感になった突起をねぶられ、転がされ、甘く吸い上げられる。空いた胸も指で擦られ、絞るように柔らかく絞られる。
両胸を執拗に責められれば股の間がじんじんと甘く疼き出すのだ。
「ん……っ! く、ぅ……っ!」
下腹部がきゅうっと苦しくなって、つい自分で弄ろうと伸ばした手を望眼に掴まれる。
まだだめだ、そういうかのように乳首の先っぽを舌の表面で擦られ、「ひ」と声が漏れた。
「っ、も、ちめさ、ぁ……っ」
なんでそんな意地悪をするのだ、と泣きそうになりながらも逃げられない胸からの刺激に、熱に、どんどん体中の神経が高められていくのがわかる。
下半身に熱が溜まっていくのがわかった。もどかしくてじれったくて、自然と腰が揺れた。
股の間、割って入ってくる望眼の筋肉質な太ももに軽く下半身を押し上げられればぞくりと体が震える。
「……っ、は、良平、お前エロすぎ」
「ん、う……っ、も、ちめさんだって……」
流されたのは俺かもしれないが、あんな風に人に強請ったのは元はといえばこの男だ。こんな風に生殺しにするのはずるい。
そう望眼を見上げたとき、柔らかく乳首を引っ掻かれ、思わず仰け反った。
「まあ正直、割と我慢してる」
「……っ、ん……が、まん……?」
「成り行きとはいえ、俺ばっか気持ちよくなるのはあんま好きじゃねえから」
「ん、う」
望眼らしいと思った。多分それは嘘ではないのだろう。少しだけ恥ずかしそうに顔をしかめ、「なんでこんなこと言ってんだろうな」と望眼は咳払いをした。
そんな望眼がなんだか急に愛しく思えて、「望眼さんも、正直ですね」と口にしたとき、望眼は目を細める。
「お前な……先輩をおちょくるなよ」
照れたような、なんだかばつが悪そうなそんな笑顔だった。それ同時に腰を掴まれ、そのまま更に開かれた腿の奥の膨らみを刺激される。
ぐりぐりと強弱つけて柔らかく潰されれば、欲しかった下半身への刺激に堪らず声が漏れた。
「っ、ん、も、望眼さん……っ」
「先に聞いておくけど、付き合ってるやつは?」
「なんで、今」
もしかして考藤とのやり取りのことを思い出したのだろうか。「念の為」と小さく呟き、そしてそのまま頬を撫でられる。
ほんの一瞬ナハトの顔が過ぎったが、俺とナハトはそういう関係ではない。ナハトのことは好きだけど、ナハトはきっと俺のことをそういう風に見てるわけではないだろうし。
「……いません」
そう口にしたとき、「そうか」と望眼に唇を塞がれる。
舌を重ね、スラックスを寛げさせられた。下着ごと身につけていた衣類を剥ぎ取られれば、そのまま窮屈だった性器が顕になる。散々愛撫で固くなっていたそこを隠そうとすれば、望眼にそれを邪魔された。
「それ聞いて安心した」
「っ、それって、どういう……」
「そのままの意味だよ」
腿の付け根の奥、這わされた指に窄みを優しく左右へ押し広げられる。そこに指を挿入され、中を揉みほぐすように愛撫され、開かれていくのだ。
まだどこかふわふわとした頭の中、望眼の指が気持ちいいところに掠めるたびに「ん、ぁ」と喉の奥から声が漏れた。
「ん、もちめさん……っ」
「はー……なんかすっげえ悪いことしてる気分」
「……っ、やめますか?」
「その質問は有り得ねえだろ、こんな状況で」
自分のベルトを緩め、前を寛げる望眼。下着越しでも形がくっきりとわかるほど浮き上がったそれから思わず目を逸した。
「っ、は……」
布が擦れる音までも近く聞こえる。そしてすぐ、腹の上にべちんと乗せられるその感触に息を飲んだ。掌で顔を覆い隠す。
なんだかここにきて望眼の言うとおり、本当に悪いことしてるじゃないか。そんな気がしたのだ。
「どうして顔隠すんだ?」
「ぁ……明日から……思い出してしまいそうで、今夜のこと……っ」
「……嫌か?」
顔を覆う指の隙間、望眼と目があった。
普段見たことのない顔をした望眼がいて、ひくりと喉が震えた。
腹の上に置かれていた性器がそのままゆっくりと奥へと下がっていく。探るように、開かれたままの肛門に亀頭を柔らかく擦りつけられれば声を我慢することはできなかった。
ぬちぬちと窄みに塗りこまれる先走り。指で解されたあとの柔らかくなったそこに今度こそ照準を合わさせられる。
「……っぃ、や……じゃ、ないです」
望眼が小さく息を吐いたのと、そのまま亀頭が中へと沈み込んできたのはほぼ同時だった。
「っひ、……っ、ぁ……っ!」
逃げそうになっていた腰を掴まれ、そのままゆっくりと俺の呼吸に合わせて挿入される性器。腫れた亀頭に中をこじ開けられ、過敏になっていた内壁を硬く膨れ上がった擦りあげられていく。
ドクドクと流れ込んでくる望眼の鼓動、吐息、その間隔がどんどんと短くなっていき、中が慣れていくとその抽挿の間隔も早まった。
口数が減った代わりに、二人分の呼吸が混ざり合う。
「ぁ……っ、んんっ!」
「っ、良平」
「ぅ、ん、うぅ……ッ」
覆いかぶさってくる望眼に唇を舐められ、咄嗟に口を開けばそのまま深く唇を重ねられた。濡れた音が頭の中に響いているようだった。ふうふうと胸で呼吸をするのが精一杯で、望眼は「苦しくないか」と優しく俺の頬を撫でてくれる。
腹の中、結合部から伝わってくる望眼の低めの声が気持ちよくて、つい頬を寄せれば目の前の望眼の喉仏がごくりと小さく上下したように見えた。
「だ、いじょ……っ、ぶ、れす……ッ」
「……っ、そうか」
ならよかった、と望眼は俺の腰を持ち上げる。浮いた下半身に驚いたのも束の間、そのまま腰を動かされた瞬間、先程までとは違う位置に亀頭が擦れ、瞼の裏で火花が散った。
声をあげることもできなかった。何度も中を行き来する性器、亀頭やそのカリの凹凸の部分で責立てられる。
「っ、はッ、ぁ゛……ッ!!」
「なあ、良平、お前の中すげえ気持ちいい……熱すぎんだろ」
「ぁ、あ……っ! そ、こ……ッ!」
「……ここ、擦れんの好きか? ……っ、ナカ、すげえ締まるな」
「っ、ふ、ぅ……ッ!」
辺りに肌と肌がぶつかる音が響く。探るように内壁を隈なく性器全体で犯され、亀頭から根本まで長い竿によるストロークに耐えられることはできなかった。
何度も往復して前立腺ごと潰すように中を摩擦する性器の感覚しか感じることができなくて、前後不覚の中、触れ合う唇にただ応えるように舌を伸ばすのが精一杯で。
「……っ、良平、お前、すげえかわいい」
「っ、い、わない……っ、れ、くださ……ぁ……ッ! んんぅ……っ!」
「なに、照れてんのかよ。感じてる顔、もっと見せろよ」
「ん、っ、う」
言葉と体、両方で気持ちよくされてみろ。わけわからなくなる。
恋人みたいに何度もキスをされて、隙間ないくらい深く腹の奥まで性器をずっぽりと収められた状態でそのまま唇を貪られる。
その状態から少しずつまたゆるゆると腰を動かし始め、先走りを塗り込むように中を摩擦され、突き当りを亀頭で突かれる度に断続的な声が漏れる。
粘着質な水音は次第に大きくなり、否応なしに圧迫感にも慣れさせられていく体。
臍の裏側を削るような挿入に快感が増していく。
「っ、ぁ、んん……ッ、ふ、ぁ……ッ!」
――望眼とセックスをしてる。
何故こうなったのか、思い出そうとしても内側から犯されるだけで気持ちいいということしか考えられるなくなり、俺は目の前の望眼にしがみつくことで精一杯だった。
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