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 それから、さらに時間は経過する。 「お……おい、良平……? 大丈夫か?」 「……らいじょうぶ……じゃ……ない、れす」 「あー、悪かった。無理して声出させて悪かった。ほら、水飲め水」  ガラッガラに枯れた声。  望眼が用意してくれた水の入ったボトルごと唇に押し当てられ、そのまま「んぐぐ」と飲まされる。  火照った体にはまだ痺れるような名残が残っており、ベッドに座る望眼に体を抱き起こされ、そのまま肩を抱かれただけで反応してしまいそうになるのだ。これはどうしようもない。  望眼さん、と隣の先輩を見上げれば、望眼はばつが悪そうな顔をした。 「……悪い、手加減したつもりだったんだけど」  寧ろしてたのか、あれで。 「望眼さん、俺……立てないです」 「あー、悪かった。ここ、泊まってってもいいから。ほら、寝とけ」  よしよしと肩と背中を撫でられればつい暖かくなってうつらうつらしそうになってしまったが、脳裏にナハトの顔が浮かんだ。  昨日も望眼の部屋に泊まることになってしまったし、流石に二日も部屋に帰らないのはまずい。  ナハトやモルグにも筒抜けだったし、そのまま兄のところまで報告がいく可能性を考えたら冷や汗が滲んだ。 「望眼さん、俺……やっぱり今日は帰ります」  それに、望眼の好意に甘えるわけにもいかない。  そう断れば、少しだけ望眼が傷付いたような顔をするのを見てハッとする。 「あの、望眼さんと一緒にいるのが嫌とかじゃなくて……」 「あー、分かってる分かってる。……そうだよな、お前にもお前の都合があるわけだし」 「望眼さん……」 「ま、風呂くらいは入ってもいいだろ? ……そのままじゃ気持ち悪いだろ」  確かに、流石に汗やらなんやらで汚れた体の上からスーツを着るのには抵抗があった。  頷き返せば、望眼は「だよな」と笑った。その笑顔は安心したようにも見えた。  そして、望眼が用意してくれた風呂で汗を流すことになった俺だった。  が。  ――浴室。 「……っ、ぁ、ん、んうう……っ!」  男二人浴槽の湯船に浸かったまま、望眼の膝に座らせられた俺は何故だが望眼に胸を揉まれていた。  背後、項に感じる吐息の熱と、時折押し付けられる望眼の唇の感触に身体は震える。 「良平、やっぱり帰るのか?」 「っ、は、……か、帰ります……」 「本当に?」  微かに膨らんだ乳首の先端を乳輪ごと柔らかく絞られた瞬間、「んんっ」と身体が仰け反った。  さっきも答えたばっかりなのに、それも納得したような望眼はどこに行ったのか。  湯船の熱に火照った身体は水気で更にふにゃふにゃになっているようだった。  片方の胸の突起も、くるくると周辺の柔らかくなった薄い皮膚をくすぐられるだけで全身が震える。 「ぁ、も、お、俺……上がります……」 「未だ身体、全然洗ってないだろ」 「だ、って、そこばっか……ひ、ぅ……っ!」  言った側から、今度は散々引っ張ったそこを指の先でカリカリと引っかかれ、潰されては芯を持つそこを更に擽られる。  直接射精に繋がらないもどかしい微弱な快感は幾重にも重なっていくようだ、浴槽から上がろうと浮かした腰に望眼の腕が回され、再び望眼の膝の上に座らせられた。 「っ、ふ、ぅ」  矢先、小さく波立つ浴槽。  そして隠すものもなく、剥き出しになった臀部に押し付けられるその硬い感触に息が漏れる。  ――勃起してる。あんなにしたのに、もう。 「……っ、望眼さん、だ、駄目です……」 「わかった、わかったから。……挿れないから、このまま触ってていいか?」 「っ、ん、そ、んなこと……したって……」 「因みに俺は全然イケる」  谷間の下、割れ目に添えるように押し付けられる望眼のモノから意識を逸らすことはできなかった。  仮にも先輩である望眼にそんなことさせてもいいのかと思う反面、ここで流されては駄目だという理性もあった。  けど、コリコリと執拗に乳首を伸ばしながら揉まれ、耳の溝の凹凸を舐められるだけであっと言う間にどこかへと消え去った。 「っ、は、ぁ……っ、お、お風呂……体洗うだけだって、望眼さん……」 「だからほら、洗うだけだな」 「ん、う……っ」  ボディーソープを追加され、そのまま白みががかったソープを胸全体に塗り込むように大きな手のひらが這わされた。  無骨な手が乳首を掠めるだけで背筋が震え、その反応を見逃さなかった望眼は再び執拗にそのまま胸を揉むように刺激してくるのだ。  最初は違和感しかなかったのに、執拗に触られている内に違和感は大きくなって、気付けばお湯の中、自分のものが頭を擡げていることに気付いて余計顔が熱くなった。  望眼にはバレないようにしなければ、と思った矢先、腰に回されていた望眼の手がそのまま下腹部に伸ばされる。  お湯の中、固くなったなったそこを指ですり、と撫でられ、思わず内股になる俺。そんな俺を見て、「どうした?」と笑うのだ。意地の悪い笑顔だ。 「っ、そこは、綺麗にしなくて大丈夫です……」 「遠慮するなよ、今更だろ?」 「だって、望眼さんの触り方……っ、ん、ぅ……ッ!」  言った側から二本の指で乳首を挟められ、そのまま胸を柔らかく揉まれれば、ピリピリとした甘い感覚が胸の奥に広がっていく。  ソープ特有のぬめりが余計いやらしくて、照明に照らされる胸や望眼が手を動かす度にぬちぬちと恥ずかしい音が浴室内に響いて余計逆上せてしまいそうだった。 「ぁ、や……っ、」 「俺の触り方がなんだって?」 「っ、う、も、望眼さん……っ、ん、……っ」 「俺は可愛い後輩の身体を労ってるだけだって」 「な?」と耳を吸われ、首筋を舐められる。先程よりも明らかに大きくなる尻の下のもの。  この流れはまずい、と思いながらも、俺自身抵抗する気力も理性もまだ取り戻せていなかった。

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