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57※微機械姦
それから、俺はモルグとともに一度本社へと戻ってくることになった。
なんだか久し振りに帰ってきた気がするのは気のせいではないはずだ。
扉を抜けた先は研究室の一角に繋がっていたようだ。モルグは抱えていた気絶していたサディークを、待機していたロボにそのまま受け渡してどこかへと連れて行かせていた。
なんだか、前にもこんなことがあった気がする。
いつの日か紅音と再会したときのことを思い出した。
……とはいえど、あのときはサディークも意識はあったはずだが。
「まさか、彼がネズミ君だったなんてねえ」
壁に出来た扉を閉じたモルグはそのまま壁に触れる。瞬間、モルグの指先を中心に電子的な光が広がり、先程まで確かにそこに存在していた扉は光と共にじんわりと消えていった。
ただの無機質な壁になったそこを撫で、モルグは俺を振り返るのだ。
「モルグさん、サディークさんには事情があって……」
「あーさっきボスにも言ってたやつだね。そりゃ、誰だって生きてりゃワケアリだからねえ」
「サディークさんをどうするんですか?」
「ま、一旦拘束して尋問受けることにはなるだろうね。……見たところ彼は怪我はなさそうだし、手当もいらないだろうしねえ」
「それよりも」と言いながら、こちらをじっと頭から爪先まで見下ろしてくるモルグ。
「う、な、なんですか……?」
「善家君、こっちにおいで~」
「い、いや、俺は大丈夫です……っ! お気になさらず……っ!」
「いやいやいや、僕から逃げようだなんて百万年早いからねえ~?」
厭な予感がし、慌てて壁の隅っこまで逃げたが呆気なくモルグに捕まってしまう。そのままぎゅっと抱き締められ、あらゆら余韻が蘇ってぎょっとするのも束の間。そのままモルグに抱きかかえられた俺はそのまま研究室の奥にある謎のゲートに潜らされる。
瞬間、足の爪先がそのゲートのセンサーに触れた瞬間機械音が鳴り響き、それを無視して全身通されればその警告音は重なりに重なって『ビー!ビー!』と叫んでいた。
「うわ、わ、モルグさんなんかすごい音が……っ!」
「これはねえ、君の普段のバイタルと異変があれば全部教えてくれる優秀なゲートちゃんなんだけど~……うーん、すごいねえ。取り敢えず……その服脱いでお風呂から入ろうか」
ゲートに取り付けられたパネルを操作しながら、そのままモルグは片手間に俺のシャツを脱がしにかかる。待ってくださいと暇もなかった。シャツやスラックス、ベルトに靴下まであっという間に剥ぎ取られ、そのまま別の装置に身に着けていたもの全てを放り込まれる。
そうなると必然的に俺は着るものがなくなってしまうわけで。
「も、モルグさん……っ、ふ、服を返してください……」
「うんうん大丈夫だよぉ、ちゃんと返すからねえ。……滅菌が終わったらね」
「え、……ッ、わ、わ……っ!」
必死に股間を隠す俺を無視し、そのまま俺を捕まえたモルグはそのまま研究室の奥まで歩いていくのだ。
天井に取り付けられたあらゆる機械がこちらを見ている気がしてならないが、隣にいるモルグのお陰かなにもしてこない。
そして少しだけ長い通路を渡ったその奥、連れてこられたのはシャワールームのような場所だった。
けれど、普通とは違う。扉から入ってすぐのところが簡易脱衣室になっているようで、そこの奥
ガラス張りの壁を隔てた向こう側には無機質なタイルが張られた空間があった。何故そこが風呂場かと分かったのかというと、そんな感じのピクトグラムが扉に書かれていたからだ。
肝心のシャワーヘッドもなにも見当たらないが、天井から明らかになにかが出てくるような仕組みになっているのが少し怖かった。
「じゃあ、綺麗綺麗しないとねえ」
「あ、あの……モルグさん、俺自分で大丈夫です……っ」
「あは、君ってばそんなこと言って。残念だけど、これただのお風呂じゃないからねえ」
両手を掴まれ、そのまま頭の上で拘束される。「モルグさん?!」と驚くのも一瞬、自然と持ち上がってしまう脇の下に滑り込むモルグの指にすうっと脇腹まで優しく撫でられ、ぞくりと背筋が震えた。
「っ、ぁ、あの……っ」
「ちゃーんと消毒、しないと」
「ん、ぅ……っ!」
脇から胸筋へと伸ばされた手に体を支えられたまま、俺はモルグに歩かされる。
モルグに反応したように自動で扉が開き、そのままモルグはシャワールームへと足を踏み込んだ。
背後で自動で扉が閉まるのを聞きながら、少しひんやりとしたその空気に身を震わせる。気付けば性器も縮こまっていた。
「モルグさん……俺、なにされるんでしょうか」
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。言ったでしょ~? ただの消毒」
「しょ、消毒って……」
そう言いかけたときだった、背後から伸びてきたモルグの左手がそのまま下半身に触れる。
ふに、と震えていた性器を柔らかく撫でられた瞬間、亀頭にじんと熱が集まった。
「ぁ、う……っ」
「善家君、まだ機械は怖いでしょ~? だからぁ、怖くないように俺も手伝ってあげようかと思ってさ」
言いながら、天井から伸びてきた数本の管がそのまま胸から下半身まで降りてくる。その先端は刷毛になっているようだ。その先っぽの部分にはなにやらピンク色の液体が滲んでいる。
そしてそのまま、胸や性器、脇、臍、太腿など、首から下を重点的に刷毛を這わされ、「ひっ」と堪らず飛び上がりそうになった。仰け反り、逃げそうになったところをモルグにやんわりと支えられる。
「っ、ぁ、く、くすぐった……っ、も、モルグさん、や、……っ、んん……っ!」
「あれえ? くすぐったいのは嫌い? 君、ただでさえ感度がいいからねえ、ちょーっときついかもしれないけど壁を乗り越えたら多分、気持ちよくなってくるから我慢だよぉ」
「き、もちよくって……っ、きゅひ……ッ!」
よくわからない液体を際の際、隈なく塗り込まれるだけであまりのくすぐったさに体が震えた。
何度も身を捩って逃げようとするが、機械は容赦なく追いかけて胸の先をぬちぬちと攻めるのだ。
それだけではない。下半身、ガクガクと震えるそこをモルグに開かされたと思った次の瞬間、亀頭から竿までねっとりと這わされる刷毛に脳の奥がビリビリと痺れる。
「っ、ひ、ぅ゛……ッ!」
「あは、気持ち良さそうな声出すねえ善家君。……困るなぁ、僕、一応勤務中なのに」
「っも、モルグしゃ、ッ、ゆ、ゆるめて……っ! こ、これ……っぇ゛、やば……ッ!」
「ん~? きもちい?」
「っ、ぎもぢ、ぃ……れふ……っ、ぅ゛……ッ!」
塗り込まれる液体になにか効果があるのか、塗布された皮膚は甘く熱くなっていく。あっという間にどろどろに濡れた性器の前、更に細い一本の管が亀頭へ近付くのを見て、びくん、と下半身が震えた。
「っ、は、も、モルグさん、これ……ッ!」
「取り敢えず、先におちんちんの中も綺麗にしないとねえ」
「――ッ、え」
どういう意味ですか、と聞き返すよりも先に、綿棒よりも更に細い透明のカーテルがいつの間にかにガチガチに反り返っていた性器の亀頭部分に近付く。
そして肉色に濡れたその尿道口に触れるカーテルに震えるのも次の瞬間、溢れ出て、とろとろと滴る先走りを助けにカーテルが尿道口の中へと入っていくのだ。
「ぃ゛――ッ、ぅ゛……ッ!!」
「あは、すごーい。びくびくしてるねえ。気持ちいい?」
「っ、あ゛、ご、めんなさ、ッ、ぉ、おれ……ッ!」
「大丈夫だよ、ちょっと中を洗い流すだけだから。そんなに怖がらなくてもね」
耳元、耳朶を甘く唇で啄まれながら、囁いてくるモルグの声が悪魔のように聞こえてならなかった。
拒もうとしても全く敵わない、手を緩めることもせず容赦なく奥まで入ってくる異物に頭の奥があまりの熱でどうにかなりそうだった。滲む視界の中、大きく足を開いたまま腰を抜かしそうになる俺を掴まえたままモルグは肛門に触れるのだ。
「いまの内にこっちも綺麗にしてもらおうねえ」
そんな鬼のようなことを言いながら、ぐに、と柔らかく推し拡げられる肛門。そこに尿道口とは比にならない太めのチューブが迫るのに気付き、汗が滲んだ。
「っ、ぁ、や……っ、も、モルグさ……ッ、ぅ゛ひ……ッ!」
「ほら、じっとしないと~ 」
朦朧とした頭の中、尿道口の内側に広がる体温に近い温度の液体を押し流される。膀胱からせり上がってくるそれがなんなのか、薬なのか別のものなのかもわからない。逆らうこともできないまま、尿道を内側から文字通り洗い流される。
「っ、ぅ、あ……っ、あ……っ!」
カーテルが引き抜かれる瞬間、栓を失いぱっくりと開いた口から尿のように透明な液体が勢いよく吹き出し、腿を、タイルを濡らす。
それを見てモルグは笑う。そして噴出したあとも断続的にちょろちょろと溢れる体液の感触に脳髄まで痺れていくようだった。
「よしよし頑張ったねえ」
「も、るぐしゃ……」
「前は終わったから、次はこっちだね」
なんて言った矢先、体内で蠢く異物の感触に思わず悲鳴をあげそうになった。
俺はモルグのことを甘く見ていたかもしれない。
容赦なく全身隈なく洗浄消毒され、ようやく俺がシャワールームを出たときには全身ふやふやになっている気がしてなかった。
「すごいねえ善家君、ちゃんと意識保ってる人初めてかも~」
頭から落ちてくるモルグの声を聞きながら、今まさに俺は力尽きそうになっていた。
モルグの腕に抱き締められたまま、俺は「ありがとうございます」と返事しようとしてそのままその言葉は声になることはなかった。
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