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「……っは、良平……」 「ナハトさん、我慢してくれたんですよね? ……ありがとうございます」 「別に、俺はあんなくだらないやつに一々腹を立てたりしない」 「ナハトさん……」 「目障りだから消してやろうかと思っただけ」  言いながら、ふい、と顔を逸すナハト。  スライは最もナハトが嫌いそうなタイプだと分かってた分、だろうなとは思った。 「あいつら何? ……あいつもアンタが担当したってこと? 俺がいない間に」 「えーと、まあその……望眼さんが忙しいときに少しだけ代わりに会ったくらいで……」 「何かされたの」  ビキ、とナハトの額に青筋が浮かぶ。まずい、返答によってはナハトの怒りが爆発するだろう。 「えーっと……何も、特には……少し食事しながらアンケート調査したくらいで……」 「なに目を逸してんだよ」 「……あの、まあ、その……」  体に触れられたことはあったが、ナハトが考えてるようなことはしてない――はずだ。  言い淀めば淀むほど、ナハトの表情がみるみる内に険しくなっていく。 「――やっぱり殺す」 「わーっ、だ、駄目です! ナハトさん……っ!」 「殺す、玉を爆発させたあと去勢して殺す、全身の血液に毒を流して殺してやる」 「い、そ、その発言は俺にもダメージくるのでやめてください……っ!」  望眼たちのところへ引き返そうとするナハトにしがみつき、全体重を掛けて止めれば、なんとかナハトは冷静になってくれたようだ。すっかり不機嫌な顔のままナハトはこちらへと振り返った。 「アンタはどっちの味方なの」 「み、味方って……それはさっきのスライさんが悪いというか……」 「……」  あ、少しだけ落ち着いた……。  けれど、この様子では暫くは引きずるだろう。ナハトの案外粘着質な性格は俺もよく知ってる。  ならば、と考え、思いついたまま「あの、ナハトさん」と声をあげた。 「せっかくので、デート……なんですから、気分転換しませんか?」 「……気分転換?」 「はいっ、気分転換です! ……あの、今ヴィランの人たちの人気のスポットがあるとお伺いしたんです」 「人気……それ人多いの?」 「い、嫌ですか……?」  一応調べたところは中は人は少なそうだが、待機列は多少ある感じだった。恐る恐る聞き返せば、ナハトはむっと一文字に口を結ぶ。 「……アンタが行きたいなら、別に構わないけど」 「な、ナハトさん……っ! ありがとうございます! 絶対ナハトさんは気に入ると思って調べたんです!」 「ふーん。気に入らなかったらどうする?」 「う、そんなこと言われたら……」 「……冗談。今日は、アンタに付き合うって決めたんだから多少許容してやるよ」  感謝しろと言わんばかりの物言いであるが、先程よりも少し表情が和らいでるのを見て安堵した。  やっぱり、ナハトさんには怒ってるより笑っててほしい。そう思ってしまうのはおかしなことではないはずだ。 「つまらなかったらアンタに変声薬でも飲ませるかな」なんて別のところで楽しそうにしてるのはひとまず置いておこうと思う。

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