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14※

 それから、俺はナハトとともに自室待機することになった。  ナハトも俺も元々インドア派ではあるし、自室待機も珍しいことではないのだが、今回は別だ。 「……」 「ねえ、なんでそんなに隅っこにいるの」 「え?!」 「……え、じゃなくて」 「ぁ、す、すみません……つい」 「なんのついだよ」とナハトにチクチクされながらも、俺は呼ばれるがままナハトの座っていたソファーの隣に腰をかける。  ――まさか、今になっておうちデートという存在がネックになるなんて。 「おい、良平」 「は、ひゃ、ひゃい!」 「言えてないし……さっきからなに? まさか、さっきの変な薬の効果が出てるんじゃ……」 「あ、いえ、そういうわけではなくて……!」 「じゃあなに、……急に距離取り出して」  せっかく邪魔がなったのに、と小さく呟くナハト。その顔は不貞腐れてるようにも見える。  確かに言われてみれば、ナハトからしてみれば急に避けられてるようなものだ。  誤解されることだけは回避しなければ。 「あ、あの、違うんです。……少し、考え事してて」 「考え事? ……ああ、あの変態のこと?」 「それもそうですけど、その……お、おうちデートについて……」 「…………」  そして沈黙。  口にしてから、流石にこれは身も蓋もなかっただろうか。もっとムードを大切にすべきだったかと激しい後悔に襲われる。  案の定、ナハトは言葉を失っているようだ。あまりにもいたたまれなくなり「やっぱなんでもないです」と再びソファーの端へと逃げようとしたとき、ガシッとその腕をナハトに捕まえられた。そして、そのままずりずりとナハトの隣まで引きずられる。 「なはっ、ナハトさん……ち、近いです……っ」 「……お前、どんだけデートしたいの」 「だ、だって……た、楽しみにしてたので……」 「……はあ」  ――た、溜息……っ?! 「……アンタさぁ、俺のこと好き過ぎじゃない?」  俺はまた間違えてしまったのだろうかと思った矢先。そのままずい、と迫ってくるナハトに顔を覗き込まれ、今度こそ俺は心臓が停まりそうになった。  すぐ鼻先にナハトの整った顔があるというだけでも心臓に悪いのに、飛び出てきた指摘にぐうの音も出ない。 「なんでそこで黙り込むの」 「……っ、ぁ、う……」 「……よーしーひーら~?」 「ぃ、虐めないでください……っ!」 「いじめてないし。てか、……本当のこと言ってるんだけど?」  気付けばソファーの上、ずい、と乗り上がってきたナハトに押し倒されていた。明るい部屋の中、顔を隠そうとするが、ナハトがそれを阻止する方が早かった。腕を掴まれ、そのまま頭上で拘束される。  そんな状態でまじまじと俺の顔を覗き込んでくるナハトに、俺はもうなんだか穴があったら入りたい状態に陥っていた。 「う、うぅ~~……っ、ナハトさん、見ないでぇ……っ」 「ヤッてるときより恥ずかしがってんじゃん」 「だ、だって……ナハトさんの、ぃ、意地悪……」 「なにそれ、……俺が優しいだけの人間だと思った?」 「ぉ、思ってはないですけど……」  思わず正直に答えたらナハトにそのままかぷりと耳を噛まれ、「あぅ」と変な声が出てしまう。そのままぬるりとしたナハトの舌が耳朶の凹凸に這わされた。 「ぁ、ちょ、みみ、耳は駄目です……っ、ぅ、ん……っ!」 「……良平のくせに生意気言うから」 「だ、だってナハトさんが……っ、ぁ、ふふ、くすぐったいです……っ」  息が吹きかかるし、ナハトの声が近いし、ドキドキするけど、なんだか大きな猫にじゃれつかれてるような感覚もあった。  たまに意地悪だし冷たいし短気だけど、そんなナハトさんに優しい一面もあるということは俺が知ってる。 「ふふ、な、ナハトさん……っも、ちょ……っん、ぅ」  今度は目が合えば唇を舐められ、そのまま深くキスをされる。顎の下から耳の付け根をうりうりと撫でられると、自分がナハトの犬にでもなった気分になるのだ。  じゃれ合いだけの触れ合いも、体を重ねてる内にどんどん甘ったるいものを帯びてくる。  「ん、ぅ……っ」  舌を絡め取られ、口の中、先っぽ同士をこすり合わせるようにぬちぬちと深くキスをすればあっという間に頭の奥が痺れ出してきた。  膝にナハトのものが当たり、硬くなったそれに恐る恐る手を伸ばす。 「……良平」 「ぉ、おれも……ナハトさんに触れたい、です……」 「…………良平のくせに、生意気」 「っ、な、ナハトさ……んんっ、ぅ……」  ナハトに手を取られたと思えば、俺の手ごと自分の下半身に触れたナハトはそのままウエストを緩める。そして下着越し、既に先っぽが先走りで濡れ、下着の一部を濡らしたそこを握らされるのだ。 「っ、な、ナハトさん……」 「ほら、さっさとしなよ。……触りたかったんでしょ? 俺のに」 「っ、は、はい……」  ナハトの目に見下されながら促されると、それだけでゾクゾクする。  ぬち、と音を立てながら、俺は恐る恐るナハトの下着に手をかける。瞬間、溢れんばかりに飛び出す性器から目を反らせなかった。 「な、ナハトさん……したかったんですか?」 「ああそうだよ。さっさとお前と二人きりになって、どうやって犯してやろうかってことばっか考えてた」 「……っ、……っ、な、ナハトさん」 「気付かなかった?」  唇から頬へとぷに、と押し付けられる亀頭に鼻がひくひくと反応する。ナハトの匂いだ。極力存在感を薄めるために作られたヴィランスーツを身に着けているときとは違う、抑えつけられていない生きてるナハトを味わってる。  滲み出る雄の匂い、唇の下でドクドクと脈打ち更に大きくなるそれがまさか自分に興奮してくれているからと考えただけで下半身が熱くなった。 「っ、ん、ふ……っ、ナハトさん」 「……ま、誰かさんはそこらへんの犬に興奮してたみたいだけど」 「っ、そ、それはぁ……っ、ん、ぅ……っ!」 「……分かってるよ、全部嫉妬。……本当、余計なことばっかしてくれるよね、お前」 「ん、む、ぅ……っ」  リップかなにかのように唇にカウパーを塗り込まれ、「舐めて」と低く囁かれれば拒むことなどできなかった。膝立ちになったナハトの下半身に顔を寄せ、俺は亀頭にキスをする。ちゅ、ちゅ、と尿道から裏っ側、玉の付近まで優しくキスをしながら、顔の上で重たくなっていくそれに必死に舌を伸ばし、滲むカウパーを舐め取った。 「っ、にゃ、はとしゃ……っ」 「は……っ、ん、……だらしない面。チンポにキスしてそんなに楽しい?」 「ん、む……っ、な、ナハトさんのなので……」 「……ふーん?」 「ぁ、んむ……っ」  玉と竿の付け根から裏筋の凹凸までちろちろと舌を伸ばしてるのと、ドクドクと鼓動が大きくなるのが伝わった。  それに、普段わかりにくいナハトの感情が直に伝わってくる部分だ。ナハトが気持ちよくなって反応してくれるだけで、俺も楽しい。  なんて言ったら、ナハトにフェラをやめさせられそうなので黙っておく。

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