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「んむ、ぅ……っふー……っ、む、んぶ……っ」 「っ、は……」  ナハトの腰を掴み、口や唇、舌全部を使ってナハトに奉仕する。  ナハトさんは俺のことを変態だとかチンポ好きとかボロカス言うけど、ナハトさんだって以前よりも明らかに“こういうこと”をする回数が増えてることに気付いてるのだろうか。  口いっぱいに性器を頬張ってもまだ完全に飲み込み切れず、舌の上でびくびくと跳ねるそれを粘膜で包み込み、舌先で優しく丹念に愛撫する。  以前は咥えることだけでパニックになっていたが、呼吸することを覚えれば大分余裕が出来ていた。  ふうふうと鼻から息を抜きながら、舌先で亀頭を転がせば、ナハトは心地よさそうに目を細める。 「そんなに美味しい?」 「っ、ぉいひ……れふ」  唾液の滲む口内。舌を出しながら答えれば、ナハトは口元を歪めた。  笑った、とどきりとした次の瞬間、 「――変態」 「……っ、ん゛、ふ……っ!」  伸びてきたナハトの細い指に、悪戯に服の上から乳首を摘まれる。血液が集まり、硬く凝り始め、衣類の下から主張していたそこを摘んだまま柔らかく指で潰すナハト。  乳輪ごと乳頭まで柔らかく引き伸ばすように引っ張られ、そのままこりこりと先っぽを重点的に刺激されるだけで胸はびくりと跳ね上がる。  先端部へと集まる、じんじんと痺れるような快感に堪らず身を攀じれば、「そのまま」とナハトに囁かれる。そんなことを命じられてしまえば、今度こそ俺は動くことはできなかった。  ――集中、集中しろ、俺。 「っ、ふ、ぅ……っ、んぶ、んん……っ」 「止めるなよ」 「……っ、ん、む」  こちらを見下ろしてくるナハト。濡れたような黒髪の下、こちらをじっと見下ろしてくるその目が興奮に濡れてるのを見て、全身を巡る血液が煮え滾るように熱くなる。  ――余裕が出てきたからと言って、鈍るわけではない。寧ろその逆だ。  快感を拾う余裕が出てきて、ナハトの一挙一動、笑い方や息の吐き方まで全てを感じることが出来てしまうのだ。  ナハトに胸を揉まれ、細い指で乳輪ごと扱かれながら奉仕する。先っぽを摘まれる都度脳の奥がぴりぴりと痺れ、下半身が疼いた。 「ん、んん……っふー……っ、ぅ、ぶ……っ!」 「は、良平……っ」  もっとたくさん気持ちよくなってもらいたい。  ナハトが心地よさそうにしてると嬉しいし、反応してもらえるともっと嬉しくなって、少し無理してでもナハトに気持ちよくなってもらいたくなってしまう。  顎が外れそうになるのを堪えながら、そのまま性器を更に喉の奥へと咥えていく。器官を完全に塞がないように気をつけながらも、喉奥まで侵入してくるそれに舌を這わせた。乳首をカリカリと引っ掻かれる度に喉全体が締まり、ナハトのものが舌の上で跳ねるのが分かった。頭を前後させ、唾液でたっぷりと濡れたそれを唇で締め上げながら、尖らせた舌で先っぽを責める。 「っ、んぶ、……っ、ん゛……っふー……っ、な、はとひゃ、ん、ぅ……っ、きもひぃ……れふは……っ?」 「っ、そこで喋んないでくれる? ……ってか、……っ、は、なに、それ、どこで覚えたの」 「ん、ぅ……っ、ん゛、んう゛……っ」  じゅぶ、じゅぷ、と唇を性器に見立てて、どんどんと口の中溢れ出しては唾液と混ざり合うカウパーを更に絡めるように舌で裏筋をたっぷりと濡らした。裏筋のカリの境目の凹凸、そこを舌先で擽られるのがナハトは好きなようだ。  ただでさえ色白の肌は紅潮し、小さく息を乱したナハトは何故だか怒ったような顔をしてこちらを見ていた。  俺はその表情と眉間の皺の意図がわからないまま、早くイキたいのだろうと解釈し、更に舌を動かした。「んっ、ん」と裏筋に軽く吸い付きながら、そのまま目の前の睾丸に触れれば、「は、」とナハトは息を漏らす。  フェラしながら玉とかを優しく触ると気持ちいいと、モルグや望眼は言っていた。男ならば誰でも反応してしまう場所だ。俺はここまで得た経験を活かし、最大限ナハトを気持ち良さそうとじゅぶじゅぶ顔面汁まみれになりつつ必死に目の前のチンポをしゃぶる。  あれほど余裕ぶっていたにも関わらず、気付けばナハトにイってもらうことに必死になりすぎて、まともに会話をする余裕もなかった。  ナハトの目にどんな風に自分の姿が映っているかなんて、考えたくもなかった。  ナハトの呼吸と性器伝わってくる鼓動、それらの間隔が次第に短くなっていくのに合わせ、俺も愛撫に緩急をつけ、優しく包皮の中の睾丸をマッサージするように根本から先っぽまでガチガチに反り返ったナハトのものにキスをした。それから間もなく、俺の口の中でナハトは果てる。どぷ、と尿道口から勢いよく溢れる精液を舌で受け止めるのを忘れ、そのまま喉の奥までたっぷりと注がれるそれに思わず俺は口を離し、ゲホゲホと咽る。 「っ、ちょっと……ほら、飲まなくていいから。……あーあ、何してんの」  けほ、と喉からこぼれそうになる精液を掌で受け止める俺に、ナハトは「吐きな」とそのまま口をこじ開ける。舌を引きずり出すように、そのまま舌の付け根まで伸びてきたナハトの指。そのままぐり、と舌を押された瞬間、喉か開き、嗚咽とともに喉に絡みついていた精液が逆流してきた。 「ぉえ……っ、んぁ、ゃ、あ……っ」 「や、じゃないし。……こんな不味いもん、毎回飲まなくていいから」 「ら、っへ」 「なに?」 「けほ……っ、ナハトさん、こういうの、好きかと思って……」 「……好きで飲ませてるわけじゃないし。別に、ゲロぶち撒けられてまで飲ませたくないし……アンタには」  ほら、とテーブルの上に置かれていた布巾で汁まみれになっていた口元を拭われる。そのままされるがままになってると、ナハトに体を引っ張りあげられた。そして、向かい合うような形で膝の上に跨がらされる。自然と開いた股の間、その下から押し上げてくるナハトの性器に、ひくりと喉が震えた。 「っ、ん、ナハトさ……っ」 「無理しなくていい、って言ってんの」 「も、もしかして……ぃ、いや、でしたか?」 「……嫌なら精子出ないでしょ」 「……っ! ん、ぅ」   腰にナハトの手が回される。そのままナハトに抱き寄せられ、その鼻先が近付いたとき。ちゅ、と触れるだけのキスを唇に落とされるのだ。角度を変え、柔らかく粘膜同士を触れ合わせ、お互いの体温を感じるようにキスをする。額にかかるナハトの前髪。睫毛がぶつかりそうな程の至近距離に、俺はもうナハトから目を離すことはできなかった。 「っ、ん、な、はとさ……っ、んん……っ」 「は、……精子臭、アンタ」 「そ、れは、ナハトさんの……っ、んん……っ」  嫌ならキスしないで良いじゃないですか、と言いかけた矢先、再び唇を重ねられる。絶対に嫌がりそうなのに、それでもキスをやめようともせず、それどころか次第に深くなっていくその口付けに頭の奥が熱で溶かされていくようだった。  もっと、もっとナハトさんとキスしたい。  ぎゅっとされるの、気持ちいい……。  そう目を細め、ひたすらナハトとのキスに夢中になっていたお陰で胸を揉まれてることも気にならなかった。それどころか、もっと全身を触ってほしいと自分から服の裾を持ち上げ、ナハトに肌を晒してしまいそうになる。  駄目だ、こんなんじゃまたナハトさんに変態だって思われてしまう。  頭の片隅ではそんな恐怖が浮かんだが、それもナハトからのキスで優しく溶かされてどうでもよくなった。 「……っは、ナハトさ……っ、ん……っ」  ちゅ、と軽くリップ音を立て、唇を吸われる。いつもの噛み付くようなキスとは違う、感触を味わうように触れる舌先に自然と口は開き、ナハトを招き入れた。  このまま本当にとろとろになって混ざり合うのではないか。目の前のナハトにしがみついたまま、その胸に体を預けてキスに耽っているときだった。  いきなり、部屋の中に来訪者を告げるインターホンが鳴り響く。  予想だにしていなかった来訪者に、俺とナハトな一気に現実へと引き戻された。そして、忌々しそうに舌打ちをしたナハトは俺から体を離した。 「誰だよこんなときに」 「さ、さあ……ぁ、俺、確認しますよ」  慌てて立ち上がろうとすれば、ナハトに腕を引かれ、再びソファーに座らされる。  そして、「その面で人前出るつもり?」と呆れたようにナハトは吐き捨てた。 「俺が出る」 「でも、ナハトさんも……」 「アンタと違って切り替えは利くから」  ぴん、と甘く勃起したままになってた性器を指で跳ねられ「んぅ」と思わず感じてしまう。つられてナハトの下半身に目を向ければ、流石だ。言葉通りナハトの下半身はすっかり落ち着いているではないか。 「す、すみません……じゃあ、お願いします」 「アンタはその顔でも洗ってきたら?」 「……あと、口も」と頬を撫でられ、そのこそばゆさに目を細める。はい、とだけ頷き返せば、そのままナハトは訪問者の対応へと向かった。  それにしても、一体誰が来たのだろうか。そんなことを考えながら、よろよろとシャワールームの方へと向かおうとしたときだった。 「っ、ぼ、ボス……っ?!」  玄関口の方から聞こえてきたナハトの声に、俺は思わず転びそうになった。  ――ボスって、まさか。 「ナハト、今日も良平の面倒を見てもらって助かるよ。……ところで、良平はどうしてる?」 「あ、アイツなら今、奥に……」 「そうか。少し邪魔するぞ」  そう、二人の声と足音が聞こえてくる。  本来ならば嬉しいはずなのに、今はあまりにも間が悪すぎた。精液をまとわりつかせたまま兄の前に出るほど俺も愚かではない。慌ててリビングの奥にあるシャワールームへと駆け込み、そして、扉を閉める。 『……良平?』  間一髪、なんとか兄と鉢合わせになる前に扉を閉め切ることができたものの、安心できる状況ではないことは間違いない。  俺は扉を閉めたまま、慌てて「兄さん、ごめん」と声を上げた。 「兄さん、ちょっと待ってて……か、顔洗うから……っ!」 『急に来て悪かった。……が、別にそこまで身嗜みを気にする必要はないんだからな』 「け、けど、兄さんの前だし、一応……」 『そうか、分かった。じゃあ少しリビングで待たせてもらうよ。……お前に話があってな』 「う、うん。ごめん、すぐそっち行くから……」  そう兄に返せば、扉の前から足音が遠ざかっていく。一先ずホッと息を吐き、俺は慌てて顔を洗って服を着替えることにした。  ――それにしても、話ってなんだろう。  声色からして悪い話ではないと思いたいが、と考えたところで俺はつい先程までリビングのソファーでナハトのチンポをしゃぶっていたことを思い出す。  換気、したっけ。

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