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 ノクシャスから遊園地のことは聞いたあと、俺もネットで色々調べた。 『パニッシュメント・デス・パーク』、通称パニパ。もしくはPNP。  邪悪の化身であるマスコットキャラ・アビズ丸が女子の中では人気が高いだとか、家族連れから若者に人気だとかそんな地上の遊園地と相違ない内容が掲載されていたが、なんとしても目玉は実際に処刑や拷問を体験できること!……らしい。  この時点で俺はページを閉じかけたのだが、ノクシャスさんやうちの会社とも関わりがあるのならきっと良いところもあるはずだという思いでなんとか耐えた。  ノクシャスさんは「見た目だけだ、派手なのは。実際中は女子供向けのテーマパークだからな」と言っていたが、あくまでもヴィラン限定だということを忘れていた。  ……いや、俺もここにきて暫く経つ。いい加減この地下世界にも慣れなければ。  ということで念入りにページを調べたあと、口コミサイトやSNSで検索して評判を調べてみる。  ノクシャスの言った通り、ファミリー層や学生からの評判が多かった。血みどろの液体被った笑顔の子供の写真を見たときは失神しそうになったが、どうやらそういうアトラクションのようだ。  ……なら大丈夫か。  と思ったとき、ふと気になるコメントを見かけた。 『PNP最近客層変わった?』 『パニパって昔から変な噂あるじゃん。よく皆行けるね。』 『パニパ行った友達が帰ってこないんだが……』  どれも別々のアカウントだし、どうやら一般ヴィランの投稿だったがなんだか不穏なものを感じた。  ネットで検索したときもちらほらと黒い噂も見かけたが、よくあるデマや印象操作の投稿かもしれない。実際、大方は楽しんでる声の方が多かった。  それに、テレビで特集されるような有名なテーマパークだ。信用……できるのか?というか、ヴィランに人気っていうのなら黒い噂は本当だった方が良いのか?  そんなことをぐるぐると考えながらも、時間を縫って当日までに念入りにノクシャスと打ち合わせをした。  ノクシャスに思い切って噂のことも尋ねたが、ノクシャスは「お前はそんなことは気にしなくていい」としか言ってくれないのだ。 「とにかく、目的はお前とトリッドを遊ばせることだ。そうだろ?」  なんて、逆に説得までされる始末だった。  確かにその通りだ、と丸め込まれつつも、とにかく俺は紅音との休日を過ごすことに集中した。  そして数日後、作戦決行日はやってきた。  紅音に会いに行く前、ノクシャスが俺の部屋へとやってきた。 「準備は大丈夫か、忘れ物は?」 「は、はい。問題ありません」 「……って、ガチガチじゃねえか。ちゃんとシミュレーションしてるから大丈夫とか言ってなかったか?」 「ええと、その、シミュレーションに力を入れすぎてしまって」 「……まさか、眠れなかったとか言わねえよな」  ワントーン落ちるノクシャスの声。  恐る恐る頷き返せば、ノクシャスは呆れたように息を吐いた。 「ガキかよ」 「う、俺もそう思います……こんなにドキドキして眠れなかったの、小学校の遠足以来です」 「そりゃ良かったな。テメェはただでさえ生身なんだから、あんま無茶な真似すんじゃねえよ」 「は、はい……!」  あくまで今回の主役は紅音であり、俺は付き添いなのだ。  取り敢えず、乗り物系には気をつけないとな……と思いつつ、着替えと支度を済ませた俺はふと連絡用端末にメッセージが入ってることに気づいた。  ――無雲だ。 「あ? なんだ?」 「えと、一応今日の表向きの護衛が無雲さんになってるみたいで……」 「無雲……あー、あいつの後釜か」  今日はノクシャスは表向き特別任務扱いとなっていて、俺の護衛は無雲ということになっていた。 「あの、念の為ノクシャスさんもいるってこと、無雲さんに伝えた方がいいでしょうか」 「必要ねえだろ。やることは一緒だ。それに、本当に腕利きの野郎なら即気付くだろ」  そうボトルに入ったコーラを一気にがぶ飲みしたノクシャスはそのまま空になったそれを捻り潰し、ダストボックスへと投げ入れる。  ノクシャスはどうやらあまり無雲のことは信用していないらしい。ナハトも疑っていたが、やはり素性がはっきりしない相手は信用できない、ということなのだろうか。  とまあ、そんな会話を交えつつ、俺は準備のため先に出るノクシャスを見送り、その後紅音との待ち合わせ場所でもある社員寮のフロントへと向かうことにした。

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