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第31話

足音が自分の寝室に近づいてくるのを、日下は浅い意識の中で聞いている。ノックの音と共に、ドアが開いた。 「衛さん、おはよう」  毛布にすっぽりと包まる日下のすぐ傍らに、誰かが立つ気配がした。 「衛さん、起きて。朝だよ」  毛布を剥がされ、日下は目を閉じたまま不満の意を伝えるため、眉間に皺を寄せる。嫌だ、まだ起きたくない。 「あと五分……」  剥がされた毛布の中に再び潜ろうとする日下に、徹が呆れたようにため息を吐いた。 「衛さん、さっきもそう言ったよ。もうその五分だよ」  うそだ、そんなはずはない。  そのまま放っておいてくれればいいのに、その場から動こうとしない徹の気配に、日下はますます眉間の皺を深める。 「衛さん、起きて。……起きないとキスするよ」  そんな冗談めいた言葉と共に布団がめくられ、無防備な状態でベッドに取り残される。そのとき、徹の近づく気配を感じて、日下ははっと目を開けた。 「ああ、残念」  目を開けた日下を待ち構えていたように、徹はにこりと微笑んだ。 「おはよう、衛さん。朝食ができているよ。早く下りておいで」

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