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第3話

 通されたリビングは外と同じかそれ以上に暑かった。  奥さんは今日もタンクトップだ。下はダボっとしたハーフパンツ。あれは見たことがあるぞと考えて、最初にここへ来た時に芦屋が履いていたものだと思い出す。  道理で奥さんには大きいわけである。  奥さんが小柄というわけではないが(むしろいい体つきだ)、芦屋のガタイが良かったので、彼と比べれば奥さんの肉付きは薄かった。 「エアコンの故障ですか?」  花隈はタオルで汗を拭いながら尋ねた。  奥さんが「はい」と頷いて、困ったように眉を寄せる。 「リモコンが全然反応しなくなって」  花隈はテーブルの上にあったリモコンを手に取り、スイッチを押した。が、反応がない。  なるほど。 「それはお困りでしたね。ちょっと点検しますね」 「お願いします」  頭を下げた奥さんが、キッチンへと引っ込んで行った。また麦茶でも淹れてくれるのだろうか。  花隈はダラダラと汗が落ちてくる猛暑の室内で、リモコンを(いじ)り……ふと、電池パックを確認して思わず笑ってしまった。  電池が少し浮いている。これではスイッチが入るはずがない。 「奥さん、故障じゃないですよ」  電池を嵌め直し、花隈はピっと冷房のスイッチを入れた。 「これ、ただ単に電池が……」  言いながら振り向いた花隈は、そこで固まった。  予想通り麦茶をテーブルに置いてくれた奥さんが、タンクトップの裾で顔の汗を拭いていたからだ。  当然、まくれたシャツの下が露わになる。  適度に筋肉のついた腹部と……その上の、胸まで丸見えだ。 「え? あ、すごい。エアコンが点いてる!」  奥さんが目を丸くして歓声を上げた。  その手は裾を顎元まで持ち上げたままだ。  汗で濡れた乳首が、ぷくりと尖って花隈を誘っていた。 「どうやったんですか、花隈さん」  奥さんが花隈の傍らに立ち、リモコンを持つ花隈の手に手を重ねてきた。  ふわり、と奥さんの香りが鼻先に漂う。  汗を掻いているのにどことなく甘い匂いがして、花隈はたまらなくなり、リモコンを放り出して奥さんの手を握った。 「お、奥さんっ」 「えっ、あ、花隈さんっ?」   奥さんが驚いたように一歩後ずさり、距離を取ろうとする。それをゆるさずに花隈は、彼の手を自分の上腕へと導いた。 「俺の筋肉、さわりますか?」 「え……あ、あ……」  奥さんが戸惑う眼差しを送ってきた。恥じらいの色を浮かべつつも、その目は揺れている。  いける、と花隈は思った。  押せば、いける。 「どうぞ。触ってください」  花隈は汗で濡れた上のシャツを脱いだ。  露わになった筋肉がきれいに見えるよう、上半身に力を込める。奥さんの目が、上腕二頭筋や腹筋に向けられ、色香に潤んだ。 「い、いいんですか?」  囁きのトーンで問われ、花隈は頷いた。 「その代わり」 「え?」 「俺の筋肉を触る代わりに、俺にも触らせてください」  戸惑いを表して、奥さんが忙しない瞬きをした。 「さ、触るって、オレの体にですか?」 「はい」 「でもオレは筋肉はあまり……」 「ついてないですか? ちょっと力を入れてみてくださいよ」  どさくさで花隈は奥さんの腕に触れた。  奥さんが右ひじを折り曲げて、ぐっと力こぶを作る。  女の細い腕とは違う、しっかりとした感触であった。   その盛り上がった部分を撫で上げ、腕の付け根からわきの下に指を滑らせる。 「あっ」  奥さんが身もだえた。  汗で湿った腋窩(えきか)を、花隈は探った。  毛がない。ツルツルだ。  ムダ毛を処理しているのだとわかり、花隈は奥さんの肘を掴み、そのままぐいと持ち上げた。  タンクトップの隙間から、きれいな脇が見えた。そこをくすぐるように弄ってやると、奥さんが卑猥に体を捩った。 「く、くすぐったいです」 「くすぐったいってことは、性感帯ってことですよ、奥さん」 「え……」 「舐めていいですか?」 「え? ちょ、あっ、ああっ」  奥さんの返事を待たずに、花隈はれろりとそこを舐めた。  舌先に、汗の味がする。しかし舌を這わせている内に、奥さんの肌本来の、なんとも言えぬ味がしだした。 「ひっ、あっ、あっ、あっ」  切れ切れに奥さんが喘いでいる。  こそばゆいのか感じているのか、腰が左右に揺れて花隈から遠ざかろうとしていた。  それを花隈の手で拘束して、引き留める。  花隈は己の唾液でべとべとになった脇を解放し、慌ただしい仕草で下半身を寛げた。  作業着のズボンのファスナーを下ろし、そこから猛ったムスコをブルンと解放する。  勃起したそれを見て、奥さんが息を呑んだ。  その目に嫌悪の色はない。  むしろ、花隈の大きな男根に釘付けになっている。 「奥さん、コレ、脇に挟んでください」 「え?」 「腕のトレーニングですよ。ほら、そこに座って」  花隈が奥さんの肩を押すと、奥さんが従順に床に膝をついた。  奥さんの脇の下にガチガチになっている陰茎を差し込むと、なにも言わずとも奥さんが脇を締めた。  ぬちゅ、と花隈はくぼみをこするようにして、それを動かした。  ぬちゅ、ぬちゅ。  唾液と汗とで濡れているそこを往復すると、奥さんの吐息が徐々に上がってくる。  花隈は奥さんのタンクトップの肩口を指先に引っ掛けた。  服の生地が奥さんの肌から浮く。  背中側から腋窩を通過した花隈の亀頭部が、その隙間から入り込み、奥さんの胸をこすった。  ぷくり、と立ち上がった乳首の感触を、裏側に感じる。  いい。  すごくいい。  裏筋の辺りをそこにこすりつけると、コリコリとした手ごたえがあって、脇コキと相まって奥さんの乳首の触感に花隈は夢中になった。  奥さんも気持ちいいのだろう。  その突起を陰茎でこする度にビクっ、ビクっと肩が跳ねている。 「あっ、あんっ、あっ、あっ」 「あ~っ、いいっ、奥さん、もうちょっと脇締めて、そうっ、最高ですっ」  花隈の腰が止まらなくなった。  ピストンの速度を上げると奥さんの喘ぎもひときわ大きくなる。 「ああっ、あっ、あぅっ!」 「出るっ、出しますっ、出しますよっ」  獣のようなうめき声とともに、青臭い白濁が花隈の先端からびゅびゅっと飛んだ。  それは奥さんのタンクトップの中を汚し、どろりと滴った。  花隈がはぁはぁと肩で息をしていると、奥さんがもぞりと動いた。  やばい。怒られる。下手したら警察沙汰だ。  射精したことで一気に冷静さを取り戻した花隈は青くなったが、奥さんは花隈の予想に反して、うっとりとした目つきでくたりとした花隈の性器を握ってきた。  え、と思う暇もなく、花隈のムスコが奥さんの口の中に迎え入れられる。  先端に残った精液を啜り、ちゅばちゅばと。吸われた。  うわっ、と花隈は驚いた。  花隈のことが好きで好きでたまらないと言わんばかりの愛撫で、奥さんが口淫をしてくる。   なんて丁寧なフェラチオだろう。  歴代の彼女にもこんなに熱心にしゃぶられたことはない。 「……美味しいですか?」  あまりにも美味しそうに頬張られて、花隈は思わずそう訊ねていた。  奥さんが花隈を見上げて、こくりと頷いた。 「はい。美味しいです。……あっ、硬くなってきた。嬉しい」  にっこりと笑った奥さんが、硬度を取り戻してきたジュニアを褒めるように、てのひらで先端をよしよしと撫でてくれたから。  花隈のそれは俄然力を取り戻して臨戦態勢となる。     「花隈さん」  奥さんがしゃだんだ姿勢のまま、片手で自身のハープパンツをずり下した。  布地面積のめちゃくちゃ少ないパンツが露わになる。脇同様、陰部も毛の処理をしているのだろう。見える範囲に陰毛はなかった。どこもかしこもツルツルだ。  奥さんが立ち上がった拍子に、ハーフパンツが足元までストンと落ちた。  夫のハーフパンツを脱ぎ捨てた妻が、テーブルに手をついて花隈へと尻を向ける。 「今度はこっちで、ゴシゴシしてみませんか?」  と言って、奥さんがほとんど紐状のパンツを横へずらし、尻たぶを掴んでその窄まりを見せつけてきた。

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