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第六十四話 18禁

 お腹の中、愁くんのであったかくて、ふわふわして……幸せ。 ……だけど……やっぱり、ちょっと足りない。  立ち上がって、ソファの背もたれに手を置いて、お尻をちょっと突き出してる僕。 下半身はすっぽんぽん……でも、もう全部見られてるんだから、今さら恥ずかしがる段階じゃないよね。 「拭きますね……」  愁くんはしゃがんで、あたたかいタオルで そっとお尻を拭ってくれる。 その温もりに、思わず「はぅぅ……気持ちぃ……たくさん、出したね♡」なんて言っちゃった。 「っ……ご、ごめんなさい……」 振り向いたら、耳まで真っ赤な愁くん。 ……かわいい。この顔、もっと見てみたい……。 「ふふふ……ほとんど脱がさないでして、興奮しちゃった?」 「ぁ……う、はい……」 あーもう、恥ずかしがるのほんと反則。 喫茶店の幸薄げな店長が、若いイケメン店員くんに後ろから幸せ注ぎ込まれる――なんてBL物語を見たら、僕だって興奮するもん……♡  ……って、あぅ……やっぱり……一回じゃ興奮おさまってないや……僕。  だって、いつも最低でも5回は…… 「エッチなんだね、愁くん……ふふ……今度、 際どい下着着て、してあげようか……」 「ふ……ぇ……?」 その瞬間、愁くんの指先がきゅっと力を込めて、僕の中心を、くにっと押してくる。 「んっ……ぁ……♡」 あ、だめ……声が漏れちゃった……。 「ん……だってぇ、そっちのほうが妄想が捗るでしょ……殆ど紐みたいなセクシーなのとかさ…… それとも、フリフリの付いた可愛いのとか……」 ……僕、これ完全に誘ってるな……。  時間的には今、ちょうど30分くらい……でも、あと10分くらいなら―― 「そんなの、なくても葵さん……素敵です……ぁ……けど、セクシーなの、が……」 「ありがと……♡ じゃあ、それを着た僕を……どうするの……紐をずらして……しちゃう?」  さぁ、来て……妄想の僕じゃなくて、こうやってお尻を突き出して待ってる僕を―― 「っ……じゃなくて……」  愁くんは顔を赤くしたまま、すっと立ち上がると、手際よく僕に代えの下着とスラックスを履かせて、身なりを整えてくれた。  パチン、パチン……ってベルトの音がやけに 現実的。 「凛が、待ってますから……」 髪まで優しく整えながら言う、その声が妙に真面目で。 「ぁう……はい…………」 気づけば僕は、しゅんと頷くしかなかった。  アパートに着いた頃、ちょうど凛くんと玄関 でばったり―― 「たっだいまー♪」  次の瞬間、愁くんの胸に勢いよくダイブ。 愁くんはふっと息を吸っても、その体をしっかり抱きとめる。 ……あの腕の中、絶対気持ちいいよね、いい匂いがしてさ……僕もさっきまで……。 「おかえり、凛♪学校、楽しかった?」 「うん、ほら、ボクしばらく海外行ってて通ってなかったけど、僕とっても可愛いから皆ちやほやしてくれて、すっごい楽しかったよ♪」  その無邪気さ、ちょっと羨ましい。 いや、ちょっとどころじゃなく羨ましい。 しかも本当に可愛いから困る。制服まで、まるで特注みたいに似合ってる。 「そっか、良かった。お腹空いてない?晩ご飯まで少しかかるから、空いてたら何かオヤツでも 用意しようか……」 「ううん、愁ちゃんの作ったご飯、たーくさん食べたいから待ってる♪」 「そう♪じゃ、腕によりをかけて作らなきゃね。ふふ……♪」 「やったー♡」 愁くんが優しい手つきで、凛くんの猫っ毛を ふわふわ撫でる。 凛くんはとろんとした目をして、愁くんに甘えっぱなし。  ……いいなぁ。僕もあんな風に撫でられたい。さっき愛してもらったのに、もう欲しくなってる自分がいる。 ……それにしても愁くん、最近“ママ味”がどんどん増してきた気がする。 前はクールで格好良くて優しい彼だったけど、 今はエプロンが似合いすぎて……なんだろう、 全部包み込んでくれそうな安心感。  笑い方まで「うふふ」って柔らかくなって……なんでもしてくれそうで……なんでも……。 「ただいま、葵ちゃん♪」 「はっ!」  気付けば妄想タイムに突入していた。 視界には首を傾げた凛くん。 「どうしたの?ボーッとして」 ちょっと覗き込まれる。 愁くんを幼くしたような可愛い顔、やわらかな 匂い……今の僕、ちょっとドキドキしてる……。 「う、ううん、なんでもないよ……はは」 「変なの。ま、いっか。葵ちゃん、ご飯まで昨日の続き観よ♪」 「う、うん……」 ――嬉しい。でも、欲求不満です。  夜は、愁くんの美味しい晩ご飯を食べて、 シャワーを浴びて、3人で映画を見て笑って……。  そして今。  シングルベッドの布団の中。 向かいで愁くんは「スー、スー」って静かな 寝息。寝顔が、もう、可愛すぎる。  ……けど。 純粋な君の寝顔の横で、僕の中の欲求は、 もう爆発寸前。 ――愁くん……もっと……もっと、してほしい……。 けど、隣の部屋には凛くんが寝てる。  我慢しなきゃ。 でも……がまん、できないよ……。 愁くん……あぁ、ほんと、寝顔が……可愛い。 綺麗すぎて、同じ人間とは思えないくらい。 ……ちゅぴ……ちゅぷ……  そんなことを思いながら、僕は自分の指をそっと口に含んで、丹念に濡らす。 夕方、愁くんがしてくれた時みたいに……あの優しい舌づかいを思い出しながら。 ぬるぬるの自分の指と、隣で寝息を立てる愁くんの顔を、交互に見比べてしまう。 ……ごめんね、愁くん。僕、こんなにエッチで…… そっと、寝間着のズボンを背中側からまくりあげて、下着の中に指を忍び込ませる。 触れた瞬間、そこはまだ夕方の余韻を残してて、柔らかく、あっさり僕の指を受け入れてくれる。 「ん……ぁ……っ……」  声が漏れそうで、思わず片方の手で口を押さえる。だって、こんな声で愁くんを起こしたくない。  指が動くたび、くち……くち……って、 いやらしい音が布団の中に広がる。 気持ちぃ……けど、なのに、全然足りない。 前はこれだけでよかったのに……もう僕の身体、愁くんじゃないと満たされなくなってる。 ……足りない……足りない…… 泣きそうになりながら、でもそんな顔を見られるのは嫌で、僕は寝転がって愁くんに背を向けた。 そしたら―― 「もぅ……」 と、耳元で小さく囁く声。 次の瞬間、私の背中が包まれた。布団じゃない。愁くんの腕に。 「し……愁くんっ……!」 「だめ、ですよ…… 凛が、起きちゃいます……」 「ご、ごめん……起こしちゃった……」 こしょこしょ声でのやりとり。 「いいですょ……」 耳にかかる愁くんの息が、なんだか気持ちよくて、同時に妙に安心する。 「それに、葵さんだけじゃない……ですから……」 「ぁ……」 その一言で、僕のお尻に当たる愁くんの“熱”を 感じてしまう。 「なんだ……愁くんも一緒……ふふ……」 思わず笑ったら、愁くんが小さくムッとした気配。 「葵さんが、あんなこと言うから……」  耳元で、かすかに震えた愁くんの声が落ちてきた瞬間、胸の奥がきゅうっと甘くなる。  「はぅ……っ」  次の瞬間、シャツの裾から忍び込んだ彼の手が、ためらいがちに胸の先端を探ってきて――  ……ひゃっ……そこは……っ。  指先が先端に触れた瞬間、ふわっと電気が走る。  「がまん、しようとしてたのに……」  あぁもう、声がちょっと拗ねてて可愛い……! ついさっきまでママみたいに優しい顔してたのに、この手つきはぜんっぜん優しくない…… しっかり男の子……♡  「声、抑えてくださいね……」  ……そんなこと言われたら余計出ちゃうんだけど。   でも僕は必死に両手で口を押さえて、こくこくと頷く。  その間も、愁くんの指は遠慮なんて知らない みたいに――つまんだり、押したり、爪先でカリカリって小さくひっかいたり……。  「……ん……んっ……んんッ♡♡っ……♡」  びくびくって何度も腰が勝手に跳ねて、頭の中が真っ白になる。  気づいたら、両手の力も抜けちゃって、  「はっ……はっ……ひど……‥ぃ……しゅう、く……」  とろけた声で訴える。  「乳首だけなんて……や……だ……ちゃんと……」  あぁ、自分で言っておいて顔が熱い……。  思わず布団の中でズボンと下着を脱ぎ捨てる。下着はもうしっとりしてて、ちょっと脱ぎにくかったけど……。  ついでに愁くんのズボンもおろして、おち○ぽを空気に触れさせたら――彼の喉が小さく 「コクリ」って鳴った。  「これで、して……」  うつ伏せになって枕に顔を埋め、振り返って 彼を見上げる。  「いれて……最後まで、じゃなきゃ……やだ……」  「……もぉ……本当……」  小さく笑いながら、僕の背に覆いかぶさる愁くん。  その笑い方が、なんだか嬉しいような悔しいような……。  そして――彼の熱い先端が、そっと僕のおま○こ……押し分けてきた。  「ふ♡……ぉ……あッ♡……」  枕に顔を埋めても、声は抑えきれない。  愁くんは、ベッドが軋まないように、ひたすらゆっくり、ゆっくり。  ねっちゅ……にちゅ……じゅぷ……じゅぷ……  いやらしい音が、静かすぎる部屋にやけに響いてる……。  

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