109 / 173
第百九話
退院のお祝いパーティーの話を、その魅力的な笑顔にとろとろにされながら、息も上手く整わないまま……それでもなんとか愁くんに伝えた。
「わぁ……嬉しい……♪」
ぱぁっと花が咲いたみたいに笑ってくれる
愁くん。
その声も柔らかくて……もう……たまんない……
正直、ふたりっきりなら、このまま……。
「だったら、明日、朝退院なので……3人へのお礼で、俺が料理作ります♪」
えっ……って思わず目を瞬いた。
「ぁ……い、いいよ……愁くん。退院したばっかりで……少しは、休まないと……」
僕がそう言うと、愁くんは首を横に振って、
にっこり。
「大丈夫です。たっぷり休ませてもらいました
から……もう、すっごく元気です♪」
――その笑顔に、胸が、お腹もキュゥ……って
鳴る。
だって……もう、何日も愁くんのご飯を食べて
ない。正直、恋しくて……あの味が。
「じゃ、じゃあ……お任せ、しようかな……♪」
そう言った瞬間。
にゅるん……っと横から伸びてきた腕。
京之介さんが、愁くんの肩に顔を寄り添わせて
にやり。
「愁の手料理……♡楽しみやなぁ……♪
せやったら、明日は早〜う終わらせて帰らな……
な♪」
わざとらしいくらい甘い声で囁くから、心臓が
ドクンッ……て揺れた。
愁くんの背中にぴとっと抱きついてた凛くんも、
ひょっこり顔を出して、にぱーっと天使みたいに笑う。
「えへへ〜♪なんか、ちょっと食べてなかった
だけで落ち着かないんだよね……愁ちゃんの
ご飯、食べたいな〜♪」
あぁ……ズルい。
ふたりのズルさに、僕もがまん出来なくて愁くんの胸にまた、ぎゅむって抱きついてしまった。
「愁くん……じゃ……僕も、楽しみに……してる……♡」
3人にぎゅうぎゅうに抱きしめられて、愁くんは少し赤くなりながらも、ふわっと微笑む。
「うふふ……♪じゃあ、腕によりをかけて、頑張りますね♪」
そう言って、キュッと小さなガッツポーズ。
――ドキュゥゥン……ッ!
その仕草に、僕も京之介さんも凛くんも、完全にノックアウト。
「はぁ……好き……♡」
「ぁうう……大好き……♡」
「ん……愁ぅ……♡」
気づけば3人で同時に、愁くんの頬や肩にすり
寄っていた。
ふわふわ、ぽかぽか、胸の奥まで温まって……
あぁ……今日も、愁くんに蕩けさせられて……
遅くなりそう……♡
ともだちにシェアしよう!

