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第百九話

 退院のお祝いパーティーの話を、その魅力的な笑顔にとろとろにされながら、息も上手く整わないまま……それでもなんとか愁くんに伝えた。 「わぁ……嬉しい……♪」 ぱぁっと花が咲いたみたいに笑ってくれる 愁くん。 その声も柔らかくて……もう……たまんない…… 正直、ふたりっきりなら、このまま……。 「だったら、明日、朝退院なので……3人へのお礼で、俺が料理作ります♪」 えっ……って思わず目を瞬いた。 「ぁ……い、いいよ……愁くん。退院したばっかりで……少しは、休まないと……」 僕がそう言うと、愁くんは首を横に振って、 にっこり。 「大丈夫です。たっぷり休ませてもらいました から……もう、すっごく元気です♪」 ――その笑顔に、胸が、お腹もキュゥ……って 鳴る。 だって……もう、何日も愁くんのご飯を食べて ない。正直、恋しくて……あの味が。 「じゃ、じゃあ……お任せ、しようかな……♪」 そう言った瞬間。 にゅるん……っと横から伸びてきた腕。 京之介さんが、愁くんの肩に顔を寄り添わせて にやり。 「愁の手料理……♡楽しみやなぁ……♪ せやったら、明日は早〜う終わらせて帰らな…… な♪」 わざとらしいくらい甘い声で囁くから、心臓が ドクンッ……て揺れた。 愁くんの背中にぴとっと抱きついてた凛くんも、 ひょっこり顔を出して、にぱーっと天使みたいに笑う。 「えへへ〜♪なんか、ちょっと食べてなかった だけで落ち着かないんだよね……愁ちゃんの ご飯、食べたいな〜♪」 あぁ……ズルい。 ふたりのズルさに、僕もがまん出来なくて愁くんの胸にまた、ぎゅむって抱きついてしまった。 「愁くん……じゃ……僕も、楽しみに……してる……♡」  3人にぎゅうぎゅうに抱きしめられて、愁くんは少し赤くなりながらも、ふわっと微笑む。 「うふふ……♪じゃあ、腕によりをかけて、頑張りますね♪」 そう言って、キュッと小さなガッツポーズ。 ――ドキュゥゥン……ッ! その仕草に、僕も京之介さんも凛くんも、完全にノックアウト。 「はぁ……好き……♡」 「ぁうう……大好き……♡」 「ん……愁ぅ……♡」 気づけば3人で同時に、愁くんの頬や肩にすり 寄っていた。 ふわふわ、ぽかぽか、胸の奥まで温まって…… あぁ……今日も、愁くんに蕩けさせられて…… 遅くなりそう……♡

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