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第百三十八話 18禁

 京之介の唇は、甘く痺れるように柔らかかった。触れ合った瞬間、愁はもう引き返せなくなっていた。  最初は軽く啄むだけだったのに、京之介が唇を開き、舌をそっと差し出して触れてきた瞬間―― 心臓が跳ね上がる。 「……ん、ん……ぁ、ちゅ……♡ 」  ぬるりと絡んだ舌先はすぐに深みに沈み、互いに溺れるように結ばれていく。  ちゅぷっ、じゅる、くちゅ……いやらしい水音がとめどなく響き、溢れた唾液が口端から 零れ落ち、顎を伝い、京之介の首筋にとろりと 糸を引いて落ちていく。  愁は舌を絡めたまま、その雫さえも惜しむように吸い上げる。 「……ちゅ、ん……じゅぷっ……ふ、ぁ……♡ 」  息を継ぐ間もなく貪り合い、京之介は涎を涙のように垂らしながらも、潤んだ瞳で愁を見上げ、震える腕で必死に抱き寄せて離さない。  首筋をつたった涎が鎖骨へ、さらに胸元へと 流れ落ちていくのを、愁は肌で感じていた。涎が 溢れて溢れて、抑えきれない。 ちゅるるっ、じゅぷっ、くちゅ……唇を吸えば 吸うほど、甘く淫らな糸が幾筋も垂れてシーツを濡らし。 「んぁ……っ、ふ、ぁ……♡ ん、ちゅ……くちゅ……♡ 」 淫らな音と甘い声をこぼしながら、京之介はさらに深く舌を絡めて求めてくる。その必死さが可愛くて、愁も同じ熱で応えた。 「ちゅり……ぁ……は……♡ もっと、教えて……もっと、愁の気持ち……」 「っ……京之介さん……」 唇を離した瞬間、銀色の糸が何本も伸び、首筋から襟元へ垂れる。互いにそのいやらしい光景を 見た途端、理性がまた崩れ、ふたりは我慢できずに再び口づけを重ねた。  愁は舌をねじ込み、口内の奥まで貪るように味わう。甘く体温と唾液が混ざり合い、啜り合う たびに零れ落ちる。  「……んっ……ちゅる……♡ じゅぷ……ちゅっ……んぁ……♡ ぷぁ……ぁ……♡ 」 荒く唇を離し、潤んだ瞳で愁を見上げながら 京之介が小さく囁く。 「な……して、愁……♡ うちが、寂しくならへんくらい……うちのこと……愛して……♡ 」 その声に、愁はそっと微笑み 「……はい」 短く優しい言葉を返し、再び口づけを落とす。  京之介の唇は柔らかく開き、愁の舌を深く受け入れる。  ねっとりと絡む舌と舌の熱に浸りながら、 愁の指はゆっくりと紐ネクタイの結び目を解き、引き抜いて、上からひとつずつボタンを外していく。  布の隙間から少しずつ露わになっていく肌に、指先が触れるたび、京之介の吐息が甘く震え―― ……そこで、愁の手はふと止まった。 「……これ……」  愁の指先に触れたのは、京之介の首に揺れる メッキの剥がれかけた安物のネックレス。 トップには、小さなリングが下がっていた。  京之介は頬を染め、少し照れたように微笑む。 「んふ……懐かしいやろ? こないだは気ぃ付いてへんかったみたいやけど……」  「……まだ……持っててくれるなんて……」 驚きに息を詰めながら、愁はぽつりと呟いた。 「そらそうやん……あんたが、うちにくれたもんやもの。男のうちに“お嫁さんになって!”って……あの可愛らしい言葉と、一緒に……」 その囁きに、愁の頬は一気に熱を帯びた。 子供の頃の記憶が、胸を焦がすように甦る。 「……それは、子供の頃……そう伝えれば、 ずっと一緒に居てくれると思ってたから……」  恥ずかしそうに俯く愁を見て、京之介はくすりと笑い、頬に手を添えて撫でる。 「んふふ……♡ その言葉ぁ、嬉しおしてな…… それからずっと、うちはあんたのこと…… 好きやから……ずっと……」  潤んだ瞳、熱に染まる頬。その震える声に 愁は名前を呼ぶ。 「京之介さん……」 「……愁……んっ♡ 」 互いの名が重なった瞬間、自然に唇が触れ合い、深く、いやらしく絡み合う。  じゅるっ、ちゅぷ、ぴちゃ……淫らな水音がとめどなく響き、溢れた涎が糸を引きながらふたりを繋ぎ止める。  愁の指はまた動き出し、シャツのボタンを ひとつずつ外していく。その隙間から覗く 白い肌は眩しくて、視線を奪われる。 「ぷ、ぁ……ゎ……綺麗……」 思わず零れた本音に、京之介の瞳が泳ぎ、唇が 震える。 「ぁ……あほ……そんな真剣に言うんやない……よ……んッ♡ 」  声を詰まらせた耳元に、愁はそっと口づけを 落とす。 「……恥ずかしがるとこ……可愛ぃ……」  その囁きに、京之介はくすぐったそうに身体を震わせる。愁の唇は首筋を辿り、何度も優しく、だが熱を込めて吸い付き、舌が鎖骨のくぼみを なぞるたび―― じゅるっ……ちゅっ……ぴちゃっ…… 「ん、あぁ……んふ……っ……あはっ……っ♡ 」 甘ったるい吐息が零れるたび、京之介の細い肩が小さく跳ねる。 愁の唇が薄桃色の突起を捉えた瞬間―― 「っひゃあっ……んんっ……ん、あっ……♡ 」 舌がねっとりと這い、乳首をぐりゅりと巻き込むように吸い上げると、京之介の腰がびくん、と 弓なりに反り上がった。 じゅぶっ……ちゅぷっ……ちゅるるっ…… 舌先で転がしながら唇で強く吸い上げ、唾液で 濡れた乳首はてらてらと淫らな光を帯びる。 反対側は指先にきゅっと摘ままれ、擦り上げられるたび、きゅぅっと硬く尖り上がっていく。 「んっ……あ、はぁぁぁ……♡ んんっ……だ、めぇ……乳首……両方……っ、あはぁぁんっ♡ 」 最強の小太刀使いのはずが、愁の口に啜られる だけで女のように背を反らし、甘い嬌声を 喉の奥から絞り出す。 ぬちゅっ……じゅるっ…… 愁は片方をしゃぶりながら、もう片方を指で転がし、やがて唇を這わせて左右交互に攻め立てた。 れろぉ……ちゅくっ……はむっ……♡ 舌で撫で、唇で挟み、吸い上げながら細かく 噛む。 「んひっ……っ、あ、あぁぁぁぁ♡ だ、だめぇ……そんなぁ……っ♡ んっ、んんんんんっ……♡ 」 指で擦り上げ、口で貪り、まるで玩具のように 両方の乳首を弄ばれるたび、蜜音がいやらしく 響き、狭い部屋は京之介の甘い悲鳴で満ちていく。 「あぁぁ……っ……両方……ぴんぴんに……っ♡ んあぁぁんっ♡♡♡ あッ……ぁあ……ッッ」  声が切れ切れに上がり、愁はその熱を味わう ように口を離した。片腕をベッドに突いて顔を寄せ、赤い瞳を真上から覗き込んだ。  影の奥で潤むその表情を、もっと近くで、 もっと長く見ていたかった。 「はっ……はっ……なんでっ!? なんで止めてまうの……なっ」 涙に濡れた目で縋るように見上げられて、愁は 思わず微笑んだ。 「……可愛いから」  囁くと、その顔が一瞬で赤く染まる。 愁はその愛おしい表情を逃さぬよう、片手を 胸に伸ばし、指先で片方の乳首をくにゅ、と つまんだ。 「ふ、ぅ……♡ しゅ……しゅう……ンンッ♡ 」  小さな痙攣が胸元から伝わる。 顔を覗き込みながら、愁はその震えを確かめる ように、ゆっくりと指を押し込む。 「……最強で、いつも嵐みたいに強引なのに、 今はこんなに可愛くて」 「んあッ……♡ そ、そないなわけっ……あッ♡ ぁ……あ……ん……」 震える声が甘く耳に刺さり、愁の胸を熱くさせる。指先がきゅっと硬く勃った乳首を転がすたび、京之介の顔が蕩けていく。 「エッチだから……。その顔、もっと近くで見てたくて……」 「ひっ……ん、ふ……っ♡ やぁ……んんっ♡ 」 喉を詰まらせるように声を上げ、汗で濡れた頬がさらに赤く染まる。愁はその反応を独占するように、囁きを耳元へ滑り込ませ。 「乳首……で、いっぱい、気持ちよくなって…… もっと、見せてください……」 「んッ♡ ぃ、いけず言わん……ッといて…… 恥ずかし……ぃひッ♡ 」 「……俺の指で蕩けて……もっと可愛い顔、 見せて……。」 きゅっと乳首を摘まみ上げる。 「ん、ふぁ……っ♡ や、やぁ……んんっ♡ 」 指先が乳首をくにゅ、くにゅ、と弄るたび、 ぴちゃりと濡れた音と喘ぎが重なり合う。 甘やかに鳴る音が、愁の耳を痺れさせ煽る。 「んふ……んっ……♡ ぁ♡ あか、んッ……声、 止まらへ……ッッ」 「……止めないで。ここには、ふたりだけ……」  熱を孕んだ声で囁きながら、愁は耳朶に唇を 寄せ 「その、いやらしい声も……俺だけに聞かせて……もっと……」 低く囁き。指先で、硬く勃ちきった乳首をきゅっと抓むと 「~~っ♡♡♡ んんんっ……ぁ、ぁあぁっ♡ 」 声を張り上げて、京之介の身体がびくびくと 弓なりに反り返る。  汗に濡れた滑らかな胸元が激しく上下し、全身を小刻みに痙攣させながら、甘い果てに沈み込んでいく。 「はぁっ……はぁっ……♡ あっ……んんっ……♡」  荒い吐息をこぼし、震える睫毛の下から涙で潤んだ赤い瞳が愁を見上げる。その頬は赤く上気し、唇はまだ熱を欲しそうに震えていた――

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