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第百七十七話

 ――夜が明ける。  けれど、その光は救いではない。  エッフェル庭園だったものは、いまや “地獄の臓腑”となり、蠢き、呻き、腐臭を吐き 続けている。  血霧が空気の代わりに漂い、肉塊が地面の 代わりに重なり、夜光虫みたいに脈打つ “人間もどき”が、まだ何百万と這い寄ってくる。  愁はその中心で戦っていた。  超硬ナイフが閃くたび、肉が裂ける音では なく“開く音”がした。  拳で殴れば、頭蓋は“潰れる”というより押し 広がり、赤黒い泥水のような脳が地面に溢れた。  老人型の鋭い義肢を素手でへし折り、飛び 散った骨片が愁の頬を薄く切った。  そのしわくちゃな顔を踏み潰すと、腐った繊維のような皮膚が剥がれ、愁は奪った義肢を 次の“もどき”の口に突き刺すと、口腔から後頭部にかけて黒いポタポタとした体液が噴き出した。  凛も、愁の傍で暴れていた。  レベナントは弾切れ。だが凛自身は止まら ない。  回し蹴りの軌道に沿って、断ち切られた頭が 三つ、花火のように飛んだ。  踏み台にした胴体が潰れ、内臓の束が地面に 長く伸びながら凛の足首に絡んだが、凛は気に せずもう一体の首を蹴り折った。  「愁ちゃんっ! あとどれくらい!」  呼ばれた愁がガントレットへ視線を走らせる。 赤い警告文字が瞬き――《充電率92%》。  「もう……少しっ――!」  ――足元の肉の海が揺れた。  玲真が巨躯の集団を粉々にしながら突き進む。  殴った箇所が“壁の穴”みたいに抉れ、背中側に破片が噴き出す。  足元を這う赤ん坊爆弾を持ち上げると、赤ん坊の口が意味不明な呻きを発しながら膨張する。  玲真は跳躍。  それを《群体》の頭袋に押し込み―― 次の瞬間、群体の頭部は中身が破裂したスイカのように弾け、青黒い臓器と細長い骨片が周囲に シャワーのように降り注いだ。  それでも、まだ迫ってくる。  京之介の放った蝙蝠型三次元デバイスに―― 薄い膜状の刃に細かく刻まれてなお、奴らは斬り刻まれた仲間の死骸を盾にして、ずるり、ずるりと這い抜けてくる。  玲真の脚に、力が入らない。  『……くッ』  今回の戦果は京之介、愁と並び上位。  “製造人間”としての出力は突出しているが、 その分カロリー消費が尋常ではない。  空腹になると、彼の身体は極端に鈍る。  だがそんな事情で待ってくれる敵ではない。  飛び散った死骸の影から、白濁した目を爛々と光らせた大群が一斉に彼へと殺到し。  「玲真っ!」  愁が駆け込む。  玲真に向かう醜い顔面を殴り砕き、石畳をさらに濃い赤へ染めながら前へ出る。  だが止まらない。  次から次へと、縫い合わせられた顔面、膨れた腕、異常に鋭利な義肢が波のように押し寄せて くる。  数時間戦い続けた愁も、さすがに疲労が滲む。  拳で一つ醜面を砕けば、二つ三つと更に迫る。  玲真のフォローまで完全に回しきれない。  「ッ……!」  そこへ――  「んふふ……♪ お友達のためによう頑張っとるなぁ……うち、そういうとこ……ほんま好き やわぁ……♡」  赤いロングコートを風のように揺らし、京之介が滑り込む。  その小太刀が一閃するたび、愁と玲真へと 迫っていた“継ぎ接ぎの群れ”は、元の姿を思い出せないほど細かく、艶めく乱舞の軌跡と共に 切り裂かれていく。  斬撃は音さえ置き去りにし、ただ血飛沫だけが遅れて線を描いた。  京之介の微笑は妖艶に、戦場の只中でまるで 舞踏の最中のようにゆらりと花開き。  「はぁ……大丈夫……?」  愁が肩で息をしながら問いかけると、玲真は 血飛沫に濡れたマスク越しに短く返した。  『……ああ……けど……一人でも、なんとかなった……』  その強がりに、愁は小さく笑う。  京之介が与えてくれた休憩。ほんのひと呼吸の 間でも、互いの背中を預けられるだけで違う。  「そうかもね……♪」  軽やかな声のまま、愁は左腕のガントレットを操作し、“カシャ”と玲真のマスクの口部を強制 開放。  その隙へ、食べかけの携行食を遠慮なく押し 込んだ。  「むぐッ!?」  文句を言う暇すらなく、玲真は咀嚼を強いら れる。  愁はすでに周囲へ意識を向けていて、玲真の 抗議のジェスチャーなど一切見ていない。  もぐ……もぐ……ごくり。  飲み込むや否や、玲真は慌てて“シャコ”と 口部を閉じた。  『い、いきなり……何をするッ!!』  愁はくすっと笑い、血に濡れた頬を緩める。  「俺の食べかけだと嫌だって、駄々こねられても困るなって思ってね……ふふ♪」  『ッ……!!!』  その一言は、玲真の脳に“間接キス”の単語を 爆弾のように投げ込んだ。  マスクの中の顔が一気に熱を帯び、赤く染まるのが自分でもわかる。  「それで……もう少し頑張って」  愁はそう言い残し、血海を蹴って再び前線へ 走り出した。  『……あ、ああ……。それと――』  呼び止めようとした瞬間。  死骸の山の隙間から、“人間もどき”がミミズのようにぬりゅり、と這い出した。  背骨の折れた音を立てながら跳びかかってきたが――  玲真のグローブ内で硬化した拳が、頭部を 泥団子のように潰した。  白濁した眼球が石畳を転がり、筋が切れた顎がぶらりと垂れ下がる。  見ると、少し離れた場所で京之介が、肩から杭を突き出した醜悪な化物の群れへ風のように斬り込み、愉悦を滲ませて小太刀を振るっていた。  朱を含んだ髪が揺れ、舞うような斬撃が次々と怪物たちを屠っていく。  京之介が空けた一瞬の隙へ、義肢の軋みを ガチ、ガチカチ……と耳障りに響かせながら、蛆が腐肉から溢れ出るように老人型の群れが どっと雪崩れ込んだ。  その濁った眼孔は一斉に玲真を捉え、一心不乱に迫ってくる。  『ッ……ありがと、よ……』  玲真は小さく、愁の背中にだけ届けばいいほどの声で呟いた。  そして迫り来る老人型たちを、地獄の底へ叩き落とすかのように拳で粉砕していく。   ***  愁のガントレットは赤い警告文字を明滅させ ながら示す――《充電率95%》  雪緒の刃は、風の如く。  「せぇいッ!!」  斬られた“人間もどき”の身体が、一拍遅れて ズルリ……と縦に割れ、暗い地面へ滑り落ちた。  「はぁ……は……ッ」  いったい何千体目なのか。  雪緒は耳の奥まで響く鼓動を抑え込み、周囲の気配だけを頼りに剣速を落とさないよう限界 ぎりぎりの集中を続ける。  (……愁さんも、凛さんも……九条さんも、新人の子でさえ、あんなに頑張ってるんだから……)  額の汗が目に入り、切断面から立ちのぼる 温い蒸気が鼻を刺す。  その鉄臭さにむせ返り、喉が焼ける。  腕も脚も重い。  それでも――止まれない。  (……それにっ……)  横を見ると、咲楽が前方の老人型の義肢と鍔 迫り合いしていた。  だが、その背後……腐った皮膚をズルッと 引きずりながら別の老人型が忍び寄っている。  「ッ……まだまだ……!!」  雪緒は疲れの滲む膝を無理やり蹴り出し、一瞬で距離を潰した。  咲楽へ迫るその醜面を、刃が一息で縦に裂く。  肉塊が散り、地に叩きつけられて潰れた。  「……雪緒くんッ!!」  咲楽は同時に、自分を押し返していた老人型の皺だらけの顔面へブレイドを突き刺す。  刺され涙を流す顔面を蹴り飛ばし、雪緒の通った軌道をなぞるように、二撃、三撃。  ぎこちないが、必死で足を引っ張らないように食らいついている。  「はぁ……っ、は、ぁ……っ……ごめんね、僕の フォローまで……」  疲労の声が滲む咲楽に、雪緒は肩で息をしながら答えた。  「……平気だ。……それに、終わったら訓練もあるし……たくさん疲れてた方が……ケーキ、美味 しいだろ……?」  雪緒は咲楽の方を見なかった。  けれど、その微妙に震えた声音は……少しだけ照れていた。  「ッ……うん……! 絶対、美味しいよ!」  咲楽は思わず笑みを浮かべ、白の差した黒髪がふわりと揺れる。  頬が、ほんのり熱い。  ほんの一瞬の、甘い呼吸。  だがそれを嘲笑うように、“人間もどき”の大群が四方から奇声を上げながら迫ってきた。  恋も愛も忘れた、ただの醜悪な化物たちの 嫉妬。  「……次から次へと……」  その醜い顔面に向かい雪緒は重心を落とし、 霞の構えを取る。腕は震えていたが、それでも 刃先は揺らがない。  「咲楽……まだいけるか……?」  咲楽はブレイドを、見様見真似で構え直し ながら頷く。  「雪緒くんが一緒なら……いけるよ!」  その声に、雪緒の胸がわずかに熱くなる。  痛みにも疲労にも似た、別の熱。  ふたりは同時に駆け出した。 ***  《充電率97%》  稲妻の軌跡を描きながら、京之介は巨躯の 群れを片端から細切れにしていった。  踏み潰した肉が爆ぜて弾けるよりも早く、 次の一歩。  愁から贈られた大切なヒールブーツ、ソール 以外を汚すつもりなど微塵もない。  「んふふ……♪」  (……雪緒も咲楽も、よう頑張ってる…… そやけど、まだ、ちょい危ないな……)  割れた頭蓋を足場に軽やかに跳び、血溜まりを風のように渡っていく。  眼鏡の奥の瞳が戦場全体を撫でるように 見渡し、雪緒と咲楽の周辺へと蝙蝠型三次元 デバイスを集中させ、その行く手を鮮やかに 補佐する。  そして――  『あと少しです――』  愛しい愁の声がイヤホンに優しく震えて届く。  「ん、了解♪」  最後の女型を斬り伏せると、その肉体がぱっくり裂け、背骨ごと引き抜かれた子宮のような器官が刃にぶら下がった。  京之介はそれを“花弁でも払うように”楽しげに振り落とし――  「ふふ……終わったら、愁と……♡」  細い笑みを引く。  その視線の先で、腐肉の山から湧き出す寄生虫めいた“人間もどき”が蠢き、仲間の死骸をぐしゃり、ぐしゃりと踏み潰しながら迫ってくる。  愁からの“お願い”もあるにはある。  だが正直なところ、京之介はもうこの戦場の 数だけの“弱者たち”に飽き始めていた。  今、彼の頭の中を満たしているのは―― この戦いのあと、愁と過ごす“次の時間”。  その唇には、自分でも抑えられない、艶めいた笑みが浮かぶ。 《充電率98%》 ***  《充電率99%》  愁は計画通り、“地獄を一か所に圧縮”して いく。  離れて単独戦闘を続けていた京之介を呼び戻したのも、そのためだった。  視線を前から外さぬまま、愁は静かに重心を 落とす。  左手で腰の鞘を強く握りしめ、右手は宙に 浮かせたまま、極限まで研ぎ澄まされた隙の ない構え。  そんな彼の周囲を、京之介の眷属である 蝙蝠型三次元デバイス群が旋回する。  赤黒い光跡を引きながら滑るように空間を切断し、愁に迫る継ぎ接ぎの顔面を片端から細切れにし地面へ叩き落としていき。  細かな肉片と砕けた頭蓋が足元へ雨のように 降り積もった。  少し離れた場所では、凛が獣のように地を 蹴り、群れへ躍り込む。  肉塊と骨片を踏み砕く反動すら利用し、空中で身体を捻った。  叩き込まれた回し蹴りが頭蓋を粉砕し、砕け 散った骨片と脳漿が雨のように飛び散る。  着地するより早く、次の一撃。  踵が胴を抉り、肋骨ごと内臓を潰し抜くと、 裂けた腹腔から赤黒いものが零れ落ちる。  凛は血飛沫を浴びながらも軽やかに後方へ 跳ね退く。  肉と骨が潰れる鈍い音を背に、赤い瞳だけが 昂ぶりを宿して輝いていた。  (……早く、終わらせて……)  胸の奥で、熱が弾む。  この地獄が片付いたら――京之介よりさきに愁の腕に抱き寄せられて、あの優しい声で名前を呼ばれたあとの、熱くて、甘いキスを独り占めしたい。  だから、止まれない。  だから、蹴りはさらに鋭く、さらに残酷に なる。  「……もう少し、だから……っ」  吐息混じりに呟き、凛は再び地を蹴った。  恋心を燃料に、血と肉の嵐の中へ―― まっすぐに。  そして――  京之介の小太刀は、喉奥から零れる愉悦の笑いと重なって閃く。  刃が走るたび、継ぎ接ぎの肉山は悲鳴さえ上げられず裂け、爆ぜ、まるで血と臓物でできた 花が次々と咲き誇るように散っていった。  骨は削がれ、縫い合わされた筋肉は糸のようにほどけ、残ったのは原型を失った赤黒い残骸 だけ。  「んふふ……♪ 早う終わらせなあかん なぁ……」  囁くような声には、戦場への集中と同時に、 その先――愁と過ごす“ご褒美の時間”を思い描く 甘さが混じっている。  その期待があるからこそ、京之介の動きはさらに冴え、残酷さは洗練され、踏み込む一歩一歩が対象物の死を確定させる舞踏になる。  彼は血に濡れた刃を軽やかに返しながら、次の獲物へと視線を滑らせた。  (……眼鏡……似合うてるて……♡ やったら次は 眼鏡“ぷれい”♡ ん……眼鏡“ぷれい”って、なんやろ……? ちょい調べとこ……♡)  「んふふふふふふ……♪」   その想像だけで、京之介はまた楽しげに笑い、小太刀を振るう。  雪緒と咲楽も連携し、押し寄せる死肉の奔流を相手に必死で踏みとどまっている。  踏み出すたび、ブーツの下で潰れるのは土ではなく、砕けた骨と粘つく臓腑。呼吸のたびに、 鉄と腐臭が肺を満たす。  そこへさらに《群体》が現れる。  百足のように継ぎ接ぎの巨体をうねらせ、波打つ胴体の節々から生えた無数の腕―― その一本一本に接がれた刃物が、進路に立つ “人間もどき”構わず刻み、削ぎ落とした肉塊を撒き散らしながら突進してくる。  潰れた頭部が蹴り上げられ、重油のように濃い血が雨となって降り注いだ。  「いくぞッ!」  「うん、合わせる!」  短い声が重なり、視線も交わさず、呼吸だけが揃う。  雪緒は荒い息を吐きながら刀を握る。右手の人差し指と中指は痺れ、刀身がかすかに震えた。  それでも――傍に咲楽がいる。ただそれだけで、赤い瞳の奥の火は消えない。  ふたりは同時に踏み込み、跳んだ。  《群体》の胴体前方が巨大な腕のように持ち上がり、無数の刃をふたりに向けたまま振り下ろされる。  ――それを瞬時に避けたふたり。  「ッ……!」  「今の……!」  上半身が叩きつけられた地面は死骸ごと粉砕され、爆ぜた血潮が噴水のように吹き上がった。  雪緒は悲鳴を上げる腿を無視して上へ抜け、 咲楽は歯を食いしばり、地を滑るように左へ。  ――間合いが重なる。  「「はぁあああァッ!!」」  左右から放たれた斬撃が、振り下ろされた上半身と下半身の境目を、寸分の狂いもなく断ち 割る。  一拍遅れて、上半身がずるりと崩れ落ちる。  切断面からは濁った体液と黄色い脂肪が溢れ、内側から押し出されるように零れ落ちた。  「……はぁ……っ、は……」  「はぁ……咲楽……大丈夫か……?」  「は……ぅ、うん……」  倒れ伏した《群体》の残骸が、まだ痙攣する ように蠢いている――  息が、続かない。  それでもふたりは崩れない。互いの存在を支点に、次の《群体》へと視線を向ける――。  百足のような継ぎ接ぎの胴体がうねり、死骸で出来た地面を踏み砕くたび、ぐちゅりと嫌な音が連なっていく。  その背後には、無数の老人型。  ガチカチ、ガチカチ……義肢の軋む音が重なり合い、腐った歯茎を剥き出しにした口が、雪緒と咲楽を狙って歪んだ。  「……っ、来るぞ……」  雪緒の喉から零れた声はかすれている。  腕は重く、指の痺れは消えない。刀身は疲労を映すように、わずかに揺れていた。  咲楽も同じだ。  ブレイドを構える腕が鉛のように重く、息を 吸うたび胸の奥が痛む。  けれど―― それでも、後ろに退く選択肢はふたりになかった。  「……雪緒くん」  「ああ……最後まで……」  死骸で出来た地面が、どん、どんと揺れる。  迫る足音は、確実に距離を詰めてくる。  ――そのとき。  赤いロングコートが、血霧を切り裂いた。  「んふふ……♪ ほんま、健気で可愛ええ子らやなぁ……気に入ったわぁ……♪」  稲妻のような軌道。  京之介がジグザグに疾走し、踏み台にした頭蓋が砕ける前に、次の一歩へと跳ぶ。  小太刀が閃いた瞬間、《群体》の胴体が花が裂けるように弾け飛んだ。  腕ごと、脚ごと、繋ぎ目ごと―― 本来“ひとつ”であったはずの肉の集合体が、 より細かい破片へと分解されていく。  「――っ!」  「……さすが……」  雪緒と咲楽の視界を塞いでいた《群体》が、 一息の間にバラバラにされる。  切断面から噴き出した濁液と脂肪が、雨のように降り注いだ。  間髪入れず、京之介は老人型の群れへ。  ガチカチと鳴る義肢ごと、小太刀が滑る。 皺だらけの顔面は笑う間もなく落ち、胴は縦に 割かれ、内側の臓物が地面へ叩きつけられる。  「んふ……♪ しっかり見て、覚えて、次に 活かしてや」  振り向きもせず、軽やかに言い放つ。  その背中は、雪緒と咲楽の前に“壁”として 立っていた。  「……まだいける?」   京之介の声が、ふたりに投げられる。  雪緒は歯を食いしばり、刀を握り直す。  咲楽も、震える腕に力を込めてブレイドを 構えた。  「……はい!」  「……まだ、戦えます」 その答えに、京之介は楽しげに笑う。  「よろし♪ ほな――一緒に、おなおし しましょ♪」  再び、赤い稲妻が走る。  ふたりの前に立つ影は、圧倒的で、そして 強烈だった。  全員が、地鳴りのような轟音の中で戦い続けている。  愁を中心に、地獄の渦が一か所に押し寄せ、 圧縮され、暴れ狂っていた――

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