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第3話

「繋、先行くぞ」 「うん、俺、トゥンナイに送ってもらう」 「お互い頑張りましょうね」 バスの時間に間に合わなかった俺は兄ぃたちに遅れる事10分、ひとりで家を出ていた。 指笛を鳴らすと、1つ目の大きな青い鳥の妖怪、トゥンナイが来てくれる。 「おはようございます、繋おぼっちゃま」 「ごめん、寝坊しちゃって。学校の近くまで乗せてって欲しい」 「承知しました」 小さい頃から背中に乗せて色んな所に連れて行ってくれるトゥンナイ。 わがままばかり言ってるのに、いつも嫌な顔をせず力を貸してくれる頼れる存在だ。 「坊っちゃま、着きましたよ」 その背中で教科書を読んですぐ、トゥンナイは俺をバスターミナルまで送り届けてくれる。 「ありがとう、本当に助かったよ!帰りは大丈夫だから」 「お役に立てて光栄です。行ってらっしゃいませ」 普通の人には見えないのをいい事に、俺はバスから降りた学生に混ざってすぐ近くの学校に向かおうとする。 「また妖怪の世話になったのかよ、繋」 「輝政」 が、同い年の異母弟、輝政に見つかってしまい、呆れた顔で見られた。 弟って言っても10日しか違わないから実質双子みたいな感じで、学校でも二卵生双子って事にして同じ学校に通っていた。 輝政は俺とは違って明るくて、俺と同じく所属している生徒会でもかるた部でもムードメーカーだ。 少しお調子者な所もあってたまに兄ぃに叱られるような事もあるけど、兄ぃや俺とは少し違うタイプのイケメンとして、俺以上に女の子からモテている。 「アイツらに甘えんの、いい加減やめろよ。妖怪なんだぞ?気が変わって殺してくるかもしんねーじゃん」 「そんな事、絶対にないと思うけど……」 輝政は俺を、そして妖怪の事を嫌っていると思う。 輝政は母親が違う事もあって別の場所で暮らしていて、俺や兄ぃみたいに小さい頃から身近に妖怪が当たり前のようにいる暮らしを経験していないからか、妖怪はいつかこちらに危害を加えると思っている所があった。 そんな風に思っているから、妖怪と仲良くしている俺の事も嫌っているようだ。 妖怪は友達だったり、信頼出来る、頼れる存在だったりするのに。 それを兄ぃからも指摘された事があったけど、輝政の考えは変わらなかった。

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