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第8話

部屋には俺とコシンプ、そして兄ぃが残っていた。 「コシンプ……俺……」 「お願いです。魁人さまの最期の願い、どうか叶えて下さいまし」 兄ぃの傍に座ったコシンプは、三つ指をついて俺に頭を下げた。 「こ……これしか……これしかなかったのか?他に何か……」 「あればこの様な事にはなりません」 顔を上げたその瞳には涙が滲んでいた。 「繋さまならばお分かりでしょう。だからこそ魁人さまも貴方様を跡継ぎにと願われたのです」 「…………」 災害を察知して人々を救うという事は、時に自分の生命を捨てる場合もあるという事。 『いつ死ぬか分からないからこそ、少しでも明るく前向きに楽しく、自分の心のままに生きたいんだ。そしたらいつ死んでも後悔なんかしないと思うんだよ』 兄ぃ。 早すぎるよ、兄ぃ。 俺、まだ全然兄ぃに追いついてないのに、それなのに……。 兄ぃの言葉を思い出しているうちに涙が溢れ出て止まらなかった。

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