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第18話

「へー、ボクの事も見えないんだー!!じゃあここにいてもいいよね?久に聞いてくるー!!」 食事を運んできてくれたチロは、そう言ってしばらくすると自分の分の食事を持って戻ってきた。 「え、えっと、見えないと思うけど、さっき話してたチロっていう妖怪が一緒にいるから」 「分かりました」 向かい合って一緒に夕飯を食べる。 俺の隣にはチロがいた。 「繋、なーんにもしてないんだね」 「う、うるさいな。当たり前だろ、そんないきなりとか有り得ないってば」 この様子を見たからなのか、俺のココロの声が聞こえるのか、チロがからかってくる。 「…………」 「ふふっ、あの子ボクの事が気になるみたいだね。繋が自分の時と違う事にヤキモチ妬いちゃってる。繋の事、ちゃんと好きになってくれてるよ」 「チロ、もう少し黙ってろよ、お前、姿が見えないからって……」 俺を見ている松若くんの視線が気になって、チロの口を塞ごうとする俺。 「あ、そうだ!久にダメって言われたけど、こうしたらあの子にもボクが見えるよ!!」 そう言って、チロはコシンプがしていたようにその赤茶色の耳としっぽを引っ込めて、人間の姿になった。 「はじめまして〜!!ボク、繋の幼馴染で相棒のチロンノップカムイです!!今度から『森永ちひろ』って名前で学校にも行くからよろしくね!!」 「は?聞いてないけど」 「うん、今言った。でもさ、コシンプ見てたら分かるじゃん」 あっけらかんと話すチロに、俺はツッコミを入れてしまう。 「よ、よろしくお願いします」 「雅美くん、だっけ?繋の事、よろしくね。いつ死ぬか分かんないけど」 「……それは……覚悟してます。小さい頃から言われてきたんで……」 「…………」 チロの試すような言葉に、松若くんは鋭い目を向けてきた。 「……そう、ならいいんだ。繋が死ぬ時はボクもキミも一緒に死ななきゃいけないの、分かってなかったら困るからね」 「…………」 俺は、このしきたりが嫌だ。 人々を救うために俺が死に、そのせいで妻になる人と相棒の妖怪も一緒に死ななければならない。 生きていいのはあとの世代を担う子供だけ。 例えその子がどんなに小さくても、母親が傍にいる事は許されない。 「繋、結婚したばっかりなのにそんな暗い顔しないでよ。まだ交尾もしてないんでしょ?」 「ふ、ふざけんな!!暗い顔させたのはお前だろ!?」 「あ〜そっかぁ〜!ごめんねぇ〜!!」 リラックスさせに来てくれたんだと思うけど、引っ掻き回してないか?チロ。

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